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03:ハウススタジオ運営の傾向と対策 ー 撮影スタジオ運営メモ ー

レンタルいたばし管理人です。

本格的な撮影スタジオを開設するにはものすごくたくさんのハードルがあるのですが、実はハウススタジオなら誰でもはじめられるんですね。ではどんな物件がハウススタジオとして向いているのか? 今回はそこのところをお話しようと思います。


そもそもハウススタジオとは

ひとくちに撮影スタジオといっても、その種類は様々です。

身近なところでは写真撮影に特化した写真スタジオや、テレビのバラエティ番組などで使われているテレビスタジオ、あるいは大規模なセットが組める映画スタジオなどを思い浮かべる方もいるもしれません。

この項でお話しするハウススタジオとは、普通の家やビルとして建てられた建物を、撮影用に提供している施設のことをいいます。その形態も様々で、民家や店舗を1棟まるごと貸し出したり、ビルの一室に設けられていたり。お店やオフィス、病院や警察署などの内部が再現されている施設もあったりして、シチュエーションに合わせた撮影ができます。

本格的な撮影スタジオの開設には、建築基準法などに基づいた建物を用意しなければなりません。ところがここでいうハウススタジオは、厳密には法律上の「スタジオ」ではなく、あくまで「一般の建物を撮影用に貸し出している」ということになります。だからといって安全に配慮しなくていいわけではありませんが、基本的には法令上の届け出や申請などの手続きいらず※ではじめることができます。

※ 建物の用途を「スタジオ」に変更する場合は必要です。すごく難しいので建築士さんに確認してくださいね。


ハウススタジオというと一軒家を連想しがちですが、前述のとおり店舗やビル、マンションの一室、工場や倉庫だってスタジオとして貸し出すことができます。店舗や工場などは、現役でも大丈夫。営業していない時間だけ、稼働していない時間だけ撮影に貸し出すことだってできるのです。とはいいながら、スタジオに向いていない物件もあったりします。


傾向と対策:その1 道が狭く入り組んでいて出入りがしずらい物件

撮影の移動は基本的に車です。グラビアなどの写真撮影ならともかく、ドラマでは最低でも数台、映画では数十台になることもあります。もちろんその全てがスタジオに殺到するわけではなく各部署ごとに順番に車両を入れるのですが、やはり出入りはしやすい方が喜ばれます。それに出入りがスムーズな方が、近隣に影響を及ぼす可能性も少なくなります。

そんな際は、スタジオ周辺の地図を用意しておくと便利です。どこが狭くてどこが通りにくいのか。マイクロバスやトラックはどこまで入れるのか。駐車場はどこにあるのか。そんな情報を書き込んだ地図を用意して、事前に渡しておくのです。幹線道路や駅からの動線、コンビニなどの位置も書き入れておくとさらに便利です。

道が狭くて入り組んでいる場合に限ったことではありませんが、撮影をする際は必ず担当のスタッフが「ロケマップ」という地図をつくり、車両のドライバーさんたちに共有しています。このロケマップとしても使えるものを用意しておくと喜ばれます。


傾向と対策:その2 都心から遠い物件

映像制作会社も映画会社も出版社も、東京に集中しています。撮影に向かう場合、たいてい朝早く新宿駅に集合して(なぜか新宿駅に集合する場合が圧倒的に多いようです)、そこからロケバスにゆられてロケ地に行くわけです。時間を有効に使う意味からいえば、残念ながら都心から近い方が圧倒的に有利といっていいでしょう。

ところが。以前も書いたとおり、ロケ地の選定基準は「イメージに合うか否か」が第一です。都心から遠くても、何かそこにしかない魅力を出せれば撮影に使われる可能性はぐっと上がります。遠くてもそこで撮りたいと思わせるような、そんな特長を持たせてもいいのかもしれません。周辺の景観とセットにしたり、夜間や早朝の撮影もできるようにしたり。「何もないから」とあきらめる前に、その「何もない」が魅力的な画になったりすることもあることを念頭に入れ、まずは今あるものを活かすことが大切です。


傾向と対策:その3 建物に特徴がない

ある撮影関係の人が言っておりました。

「撮影ニーズのない物件はない」。

大丈夫です。運営者からは特徴がないように見えても、「特徴がない」こと自体が「特徴」だったりするのです。特徴がない建物を求めているから撮影スタッフからすれば、またとない物件です。しかしながら、ある撮影関係の人はこうも言っておりました。

「だが、すごくニーズの少ない物件はある」。

問い合わせをじっと待つのも一手ですが、内装や外装を造りこむ必要性がでてくるかもしれません。私が知っているところでは、外観は一般的な一軒家ですが、お洒落なリビングにして大型のキッチンを入れたり、レトロな和風空間をつくったり、壁を塗り替えられるようにしたり。様々なシチュエーションで撮影できるようリフォームを繰り返した結果、テレビのバラエティ番組などで頻繁に使われているようです。造りこみにコストがかかるようであれば、写真スタジオのような白ホリゾントの空間をつくるのも手です。



何度もいっている通り、撮影に使われるか否かは「イメージに合うか否か」が第一条件です。であれば、その「イメージ」に対応できるような場を用意しておくということが大切です。スタジオによってはありのままを残しているところもあります(私のところは最たるものです)が、それも「イメージ」に対応するためなのです。




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