「生理の貧困」を間違って解釈!(毒母あるあるって思っちゃった私)その2
初潮が来る前の年、小学5年の春に初めての宿泊学習があった。環境が変わると生理になりやすいので、学校で女子だけ集められて、レクチャーを受けた。
その数日後、弟がそばにいない一瞬の隙を狙って母が私に話しかけてきた。
「学校で生理のこと習ったでしょ? はい、その通りだから。わかった?」
これだけである。
生理用品はもう用意してあるから、でもなく、何も心配しなくてもいいのよ、でもなく、単なる確認。
「私は欠けていない!」でも書いたけれど、母は中学校の保健体育の教師なのである。少女が大人になっていく第二次性徴のことを、教える大切な役目があるのでは? 現に私は中学の保健体育の授業で詳しく習った。
それどころか。
母は、性に関する話題を、異常なほど嫌がった。初潮を告げた時のリアクションはもちろんのこと、その後もちょっとでもその方向に話が行くとイヤーな顔をするので、言うことができなくなってしまった。
少しでも性に関する話題になりそうになると、焦点をぼかす。だから、何が言いたいのかわからない。けれども、その少ない言葉で、
「察しろ」
と、半ば脅すように命令をしてくる。
たとえば。
中2の晩秋頃。日曜日だった。母が何かの用事で不在だったため、父と弟と近所にできたフィールドアスレチックに出かけた。
高い所に登ったり、揺れる縄を伝って歩いたり、けっこうスリルを味わった。池の中に突き出た丸太を渡っていた時、急に怖くなってしまった。それが委縮の原因となり池に落ちてしまった。
亀でもいそうな緑色した水にずぶずぶと腰まで沈んでしまい、父や弟に笑われた。
夕方帰宅した母に、面白おかしくその様子を語る父。私も一緒になって、失敗談の詳細を報告した。
けれど。
しばらくして、母はいつもの命令口調で、
「お風呂入ったら、お尻よく洗っときなさいよ!!」
と叱ってきた。
あまりにぼやかして言うので、何のことかわからなかった。
言ったのは、本当にこれだけ。ここから、言葉の真意を探るしかない。
お尻?
その範囲は、広い。おそらく肛門周辺のことではなく、女性器にばい菌
が入らないように配慮してよく洗え、ということなのだろう。
だとしたら、言葉が足りなさすぎる。自分がその類のことに触れたくないからと言って、これではあまりに不親切。
そんなに心配しているのなら、すぐにでも入浴することを勧めるべきだし、何も怒ることはないだろう。
また高2の時のできごとにも、呆れてしまう。当時はプロパンガスで、毎月交換に来てくれるシステムだったが、ある月は、屋内のガス器具の点検が義務づけられた。立会いが必要だったけれど、母は当然仕事。それは、試験休みか何かで家にいた私の役目になった。
「ガス屋さん来たら、外に出てなさいよ!!」
怖い顔して。
毎月交換に来るのは、若い男性だったので、多分彼がやって来るだろう。レイプか何かを想定しての命令?
だったら、自分が仕事を休むなりすれば良いものを。
ガス屋さんには、そんな気などなかっただろう。でも、私はさも庭に用事があるようにふるまい、言いつけ通りに外に出ていた。
自分でも、どうしてこんなにまでして母の言いつけを守らなければならないのか、考えると滑稽で笑うしかなかった。
結局母は私に、
「釘を刺した」
という事実を作っておきたかっただけなのだ。
そうして、もしも女性器にばい菌が入り痛い思いをしたり、ガス屋さんに襲われたりしたら、
「ほら、見なさい! あの時言うこと聞かなかったからよ!」
と言うのだろう。したり顔で。
そうして、決して助けてくれない。
きっと私は、この言葉を聞きたくなくて、ガス屋さんと入れ違いに外へ出たのだと思う。
なんとも悲しい私の原動力。いつもいつもマイナスからの、スタートである。
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