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「生理の貧困」を間違って解釈!(毒母あるあるって思っちゃった私)その7
カウンセラーの川波先生に、
「もしお母さんが精神的な病気を持っていてこうなったとしたら、納得いく?」
と聞かれたことがある。
「いきません。どうしてですか?」
「そういう落としどころをみつけると、それならしかたなかったのかも、と思える人もいるから」
川波先生は、そう言った。
もし母が、のべつまくなしにおかしくて誰から見ても病気然としていたなら、話は別。電話の会話のように、外に向ける顔をきちんと使い分けられるのに、病気だなんて受け入れられない。そのくせ私への配慮がゼロなのは、私を一人の人間としてでなく、自分の所有物と思っているからで、自分のことならいくら傷つけても良い、と思っているという見解も、川波先生は与えてくださった。
それは、とても納得がいった。
もし本当に病気だったら、結婚する前に親きょうだいが止めるべきだし、子供なんか産んではいけなかったのだ。
だけど多分私が色々と言っても、親戚一同誰も信じてはくれないだろう。 以前母の兄嫁である伯母が、
「本当に素晴らしい人柄ね。なにしろ先生だものー」
と言っていたので、化けの皮ははがれていないと思う。
けれども、伯母の娘(母にとっては姪)の高校入学時に、教師の特権を生かして口利きなどの面倒を見てあげ、私学に入学できたらしいのだが、
「こっちの休みを返上して何回も○○先生に頭下げに行ってやったのに、2年になる時に留学なんかして、砂かけるみたいな真似してさ」
と悪態をつかれているのは、伯母は知らない。留学。結構じゃないか。こういう醜いところは、親戚は何も知らない。
ある時仲の良い従妹に、チラッと不満を漏らしたことがある。それは、彼女が先にきょうだいがDVで実は家の中がめちゃくちゃだったという告白をした時のこと。その家庭もとても幸せそうに見えていたけれど、事実を聞いてびっくりした。それでも、私は彼女の話を信じたのだけど、私のカミングアウトへのリアクションには、がっかり。
「伯母さん(母のこと)だって仕事を持って忙しかったのよー」
あれ。
私は信じがたいDVの話を受け入れたのに? 私の話が信じられないほど、母の外面が良いことの証明なのかもしれないけれど、また一人味方になりそうな人を失った私は、肩を落とした。
今年来た年賀状の中に母の教え子からの一枚があった。もう70代だと思われるけれど、ひょんなことから直接つながって年に一度のやり取りをしている。ハガキに書いてあったコメントに目を疑った。
「いつも先生には元気と気力と人に対する細やかな心遣いを勉強させていただいております。私共教え子は幸福です」
私の知っている母と同じ人? この教え子の方に、私の告白を伝えたら、完全に私が悪者になってしまうだろうな、と思ったら虚しくて、新年から気分が落ちこんでしまった。
もう私には「生理の貧困」は訪れることはない。なぜなら、もう閉経して、生理用品を買う必要もなくなってしまったから。
けれども、少ないお小遣いを握りしめ、こそこそナプキンを買いに行ったあの状況も「生理の貧困」にエントリーさせてほしい。
本当に、辛かった。
もし今、毒母によって性に関する諸々で気持ち悪がられている若い女の子がいるのなら。
どうやったってあなたの方が有利、と思ってほしい。あなたは、毒母が日々失っていく、もう取り戻すことのできない「若さ」を持っている。
また反対に「気持ち悪がられる」パターンではなく、妙に理解のある振りをして生理の周期や、彼氏との付き合いの段階を聞いてくる毒母にも、要注意。どちらも娘を一人の人間として見ることができず、ものすごくバイアスのかかった歪んだ思考をしているから。
娘の成長を素直に喜べないのは、毒母。
「うちのママ、ちょっとだけヘンなとこあるけど、どこも大体おんなじじゃないかな? 程度の差だと思う」
そう思っていたら、不快に感じていることを冗談交じりでも良いから、友達に聞いてみてほしい。
「え・・・信じられない、そんなことあるの?」
友達が、目をむいてびっくりしたら、今の状態が異常である印。逃げた方が、良い。そうしないと、近い将来病気になってしまうから。私が、パニック障害を患ってしまったように。
最悪の場合は、生きる希望を失い、自分を殺めてしまうこともある。
何度もカウンセラーの川波先生に言われた。
「稀沙さん、あなたが今こうしてまともにいられるのは、20代前半にお母さんの支配を断ち切って、家を出たからよ。それが、本当に良かったのよ」
出て行った後の親の心配なんて、不要。そうしないと自分の命が危ない。
もう誰一人として、そんな思いを抱えてほしくないし、身体の傷と違って、みすみす治りの遅い心の病にかかるほど人生は長くない。
ただでさえ、毒母によって今までの人生めちゃくちゃにされているのだから。一日も早く新しいステップに行けるよう、心から祈ってます。
こんなに長い文章を最後まで読んでくださり、本当にどうもありがとう。今苦しんでいる人がいたら、少しでも明るい希望が訪れますように・・・。
そうして、またアップしたら他のエッセイもぜひ読んでほしい。