つい惹かれるイラストに! サムネをクリックさせる「視線誘導」のコツ
KUAイラストアドベントカレンダー、12月5日はkaito先生から『つい惹かれるイラストに! サムネをクリックさせる「視線誘導」のコツ』です!
こんにちは。イラストレーションコース研究室のkaitoです。
日頃、SNSで描いたイラストを公開している方も多いかと思います。たくさんのイラストが流れてくるなかで「自分の描いたイラストをじっくり見てもらいたいな……」と思うことはありませんか?
そこで今回は、サムネイルをクリックしてじっくり見たくなるようなイラストにするための「視線誘導」についてお話しします。
「じっくり見たい!」はどうやったら生まれる?
じっくり見たくなるようなイラストとはどういったイラストでしょうか。
「色味が好き」「描かれているキャラクターやモチーフが好き」といったことを挙げる方もいるかもしれませんね。
しかし、見る人の好みは、描き手にはコントロールすることができません。
下の図を見てみてください。
見る側の好みがあまり入らないよう、モノクロの図形だけで描かれた図です。Aはなんとなくぼんやりと全体を眺め、Bは図形の並びに沿って視線が動きませんでしたか?
好み以外の点で、じっくり見たくなるようなイラストとは「イラストのあちこちに、ぐるぐると視線(意識)が移動するようなイラスト」=「視線誘導がしっかりできているイラスト」ではないでしょうか。
それではここから、どうしたら視線誘導ができるのかを知り、実際に視線誘導を仕掛けましょう。
構図でイラストの世界に引き込む
“構図”と聞くと「難しそう」「自由がなさそう」と思う方もいるかもしれません。でも、構図は見る人の視線をコントロールできる便利なものでもあるのです。
〈構図の効果〉
(1)メインのものを目立たせる
(2)動きがでる
(1)メインのものを目立たせる構図
日の丸構図(点構図)
フレーム構図
三分割構図
(2)動きが出る構図
放射線構図
曲線構図
黄金螺旋(黄金比)
上記は、「点構図」「放射線構図」「黄金螺旋」を使って描いたラフです。図中の①〜⑤のように視線が誘導されるのではないでしょうか。
色や具体的なモチーフ、気になるキャラクターがいなくても、構図で見る人の視線をコントロールすることができるのです。
色彩設計でイラストの世界に引き込む
「色彩設計」でも視線誘導をすることができます。
デザインでは意図を持って配色することを「色彩設計」といい、見せたい物に視線を誘導できるように色のコントラスト(違いの差)を考えて配色します。
「コントラストが強い(高い・大きい)」という言葉は、イラストを学んでいると耳にすることがあるかもしれません。コントラストが強い部分は目立ち、視線が誘導されます。
色には以下の三要素があり、色のコントラストはそれぞれの掛け合わせでも発生します。
明度:色の明るさ(明暗)
彩度:色の鮮やかさ(鮮やか、鈍い)
色相:色あい(赤、青、緑など)
(1)明度の差(明度のコントラスト)による視線誘導
周りが明るいなかにある暗い色は、暗い色が目立って視線が誘導されます。また、その逆も同様です。
(2)彩度の差(彩度のコントラスト)による視線誘導
鈍い色のなかにある鮮やかな色は、鮮やかな色が目立って視線が誘導されます。また、その逆も同様です。
(3)色相の差(色相のコントラスト)による視線誘導
同系色(青系)のなかにある色相環で遠い色(黄色)は、目立って視線が誘導されます。
人間が注視しがちなもの
広告は視線誘導を非常に意識して制作されています。人間が注視しがちなものについてさまざまなところで調査を行い、その結果を反映しているのです。
たとえば、人の顔(特に瞳)や人の手のあたりは、一般的に人間が注視しがちなものと言われています。
見るのは同じ人間なので、やはり人間の顔に最も目線がいきやすいようです。瞳がクローズアップされたイラストに、思わず目を止めたことがある方も多いのではないでしょうか?
また、顔を見ればその人が何をしているのかが気になりますよね? なにかの動作をするには手を使うことが多いので、手に持っているもの、指し示しているもの、手の先などに目線がいくのでしょう。
もちろん、多くのイラストには顔や手が描かれていると思います。しかし、最初に顔、次に手に視線が動くということを知っていれば、ポージングや構図を工夫でき、見る人の視線をコントロールすることもできるのです。
まとめ
イラストをじっくり見てもらうには視線誘導の仕掛けが必要です。そのためのポイントを今回は3つご紹介しました。
構図で視線誘導する
色彩設計で視線誘導する
注視しやすいものをうまく使う
見る人の好みはコントロールできませんが、見る人の視線は描き手がコントロールすることができます。視線誘導で見る人の視線をコントロールしてイラストの世界に引き込めば、よりじっくりイラストを見てもらうことができるのではないでしょうか。
ぜひみなさんもイラストをじっくり見てもらうために、視線誘導を意識してみましょう!
プロフィール
kaito
京都芸術大学 通信教育部 イラストレーションコース
講師
https://akutamokutaaa.tumblr.com/
イラストレーター・漫画家(別名義)
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