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服の皺や質感表現を極める!

KUAイラストアドベントカレンダー、12月7日はいなのめ先生から『服の皺や質感表現を極める!』です!



こんにちは。KUA通信教育課程イラストレーションコース研究室スタッフのいなのめ(@_inanome)です。イラストレーターとして活動しながら、コース運営として学生のサポートもしています。

「服を描くのが苦手」「皺の入れ方が難しい」と感じている方は結構多いのではないでしょうか?私も苦手だと思う時期がありましたが、今ではこのようなデジタル模写もできるようになりました。

自分の描くキャラクターには、素敵な服を着せてあげたいですよね。この記事では、私が服を描く時に意識している「皺の寄り方」や「質感」の表現についてお伝えしていきます。ぜひ一緒に練習していきましょう!


皺になりやすい箇所・なりづらい箇所を覚えよう

服の形状や布の厚みによっても変わるものの、皺になりやすい箇所・なりにくい箇所はある程度決まっています。まずは、なんとなくでもいいので「箇所」を覚えてしまいましょう!下の画像ではTシャツを例に、皺になりやすい箇所に赤線を、なりにくい箇所には青線を引いています。

<皺になりやすい箇所・
・体の関節部分(首・脇・ひじ内側・手首・太もも・膝後ろ・足首など)
・布が余ったり、たるんだりする部分(ウエスト部分など)

<皺になりにくい箇所・
・肩や胸など突出している部分
・襟など、布に厚みや硬さがある部分

形状や厚みが違う服で応用してみよう

Yシャツは会社などフォーマルな場で着ることが多いため、皺になりにくいように襟や袖口に糊付けされています。清潔な印象を持たせるため、生地にも張りがあります。しかし、良く動かすひじの内側などは柔らかな素材より皺が残りやすいため、腕を下ろした状態でも皺を描写するとよいでしょう。

パーカーは厚くて柔らかい生地なので、長く緩やかな皺ができやすいです。袖口や裾部分にゴムが入っているものも多く、そこに繋がっている箇所は布が溜まりやすくなります。

服の構造をすべて理解するのは難しいですが、それぞれの服は「こう着てもらいたい」「丈夫で長く使えるように」など意味を込めて加工されています。そういった事を考えると、自然と皺ができる部分も見えてくるのではないでしょうか。

体の動きに合わせて布の流れを意識しよう

先程は、動きのない状態で皺の箇所を確認しましたが、動きがつくと急に難しく感じますよね。今度は体の動きに合わせて、布の流れを読み取る練習をしていきましょう!動きのある状態では、布が引っ張られたりたるんだりする箇所が異なるため、凹凸を意識することがとても重要です。

画像のようにひじを曲げたり腕を上げたりすると、その関節部分だけでなく広い範囲が引っ張られていることに着目しましょう。引っ張る力がかかる部位に向かって胸の方から流れるように皺がつきます。両サイドに引っ張る力が加わる場合は、一枚の布が伸びるような状態を意識すると分かりやすいですね。

流れから遠くなると布はゆるみ、腕を上げている方は裾も少し持ち上がります。こういった流れを意識すれば、人体の厚みやイラスト全体の躍動感も表現できますよ!

塗るときは線だけでなく面で立体を捉える

今までは線のみで皺の表現をしてきましたが、次は塗りで表現してみましょう。

自分の場合、線で皺を描くと塗る時に邪魔になってしまうため、一度線を消し、その部分に軽く影をつけて、色混ぜツールで馴染ませていきます。

皺の入っている場所は先ほどの線画とほぼ同じです。

④の画像をみると「面で立体を捉える」というのがわかりやすいかと思います。黄色で印をつけている面は上からの光源が当たりやすい面、青く印をつけている場所は影になりやすい面です。

③にうっすらと影をつけている箇所(青い印)がありますが、この影があると線で表現していた時よりぐっと立体感が増しませんか?

何も描かないより情報量が増して見えたり、リッチさも出てきたりすると思います。実際の写真や資料を見ながら、気持ちのいい皺を模索していきましょう!

素材や合成モードを使って質感を伝えよう

皺について理解できてきたら、よりクオリティを上げるために質感を意識してみましょう!今度は光沢や特殊な生地の描き方について解説します。

【光沢感】

左から①写真を見ながらある程度影の場所をつけたもの、②影を描き込んだもの、③光沢を足したもののイラストです。②である程度それらしく見えますが、③で光沢を足したことにより、光源がわかりやすくなり、リッチに仕上がりましたよね。

光沢は合成モードの覆い焼き(発光)を使って描き込んでいます。

【デニム生地】

左から①ベタ塗りしたものにテクスチャを加えたもの、②影のグラデーションと白くダメージを加えたもの、③影を描き込んだもののイラストです。テクスチャを乗せることで、全体的にザラザラとした布の質感を出しています。そこに「滲みスプレー」で白くダメージ部分を描き込み、リアルな質感に仕上げています。

光源を意識して太ももの内側や左側に影を濃く描写することで、太ももの丸みや下半身の立体感がよくわかりますよね。

【使用した素材】
デニムのテクスチャ
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1810683
デニム縫い目
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1691720

生地によってテクスチャやブラシ、合成モードを使い分けることで、リアルな質感を描けるようになります。下のイラストのように、キャラクターにあった上質な雰囲気も表現することも可能です。色々試してみて、使いこなせるようになっていきましょう!


まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は私が気持ちいいと感じる服の皺や質感についてお話ししました。服の構造や皺のつき方は多種多様なので、全てを理解しようとせず「なんとなく」の理解でもよいと自分は思います。

しかし自分が気持ちいいと感じるまで表現できるようになるには、資料や実物を見るなど研究が欠かせません。

私もまだまだ研究中ですが、服を描くことへの苦手意識を取り払えるお手伝いが少しでもできたら嬉しいです!一緒に頑張っていきましょう。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


プロフィール
いなのめ

フリーのイラストレーター、京都芸術大学通信教育部イラストレーションコース講師。主な制作実績に、YOYOGI MORI「白鳥」「黒蛇」キャラクター・衣装デザイン。ANYCOLOR株式会社 NIJISANJI EN グッズイラストなど。
https://twitter.com/_inanome



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