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美しい男にはメイクをしたい!仕草から質感まで魅せるイラストの描き方

KUAイラストアドベントカレンダー、12月6日はイラストレーションコース研究室のいなのめ先生から『美しい男にはメイクをしたい!仕草から質感まで魅せるイラストの描き方』です!


こんにちは。KUA通信教育課程イラストレーションコース研究室スタッフのいなのめ(@_inanome)です。イラストレーターとして活動しながら、コース運営というかたちで学生のサポートをしています。

この記事では私が考える、男性キャラクターの「色気」や「質感」の表現についてお伝えしていきます。

“描き手のフェチズム“に色気は宿る

皆さんにとって色気を感じるポイントとはなんでしょうか?男性なら長いまつ毛、伏し目がちな目、骨張った関節のある指?それとも凹凸のある筋肉でしょうか。人によって色気を感じる部分は違ってきますよね。

例えば私なら厚みのある唇や妖艶な仕草の手指だったり、衣装の素材感や艶に魅力に感じます。どうしたら納得のいく表現になるのか、質感はどのくらい描き込みをすれば伝わるのかを、模索しながらイラストを描いています。

色気とは人を惹きつける魅力であり、性的魅力を感じる部分のことです。私は描き手のフェチズムを感じる絵こそ「色気があるイラスト」と言えるのではないかと思います。

色気ってどこから伝わる?手指の仕草、爪の形までこだわってみよう!

記事のサムネイルにもなっているこのイラスト、露出もあまりなく直接的な描写もないのに色気を感じませんか?ラフと着色後の状態を見てみましょう。

←ラフ     着色(線を整えたもの)→

影の描き込みなどがなくても、目線や仕草などでそのキャラクターのもつ雰囲気が伝わってきますよね。

色気というと、流し目や伏し目などあえて視線を逸らす仕草を思い浮かべがちです。ですが手や指の動きもキャラクターらしさや色気が出せるポイントです!

このイラストではミステリアス・繊細・中性的な雰囲気をイメージしたので、手の厚みを薄く、指を長く、少し女性的な動きを取り入れています。関節や骨張っ縦首、爪の形は男性的なのに、動きが女性的というギャップも色気を醸し出しているポイントなのではないかと思います。

逆にマッチョで無骨な雰囲気に男らしさや色気を感じる!という方もいらっしゃると思います。その場合でもやはり手指の動きや爪の先まで、無骨さを感じるような描写を細かくしてあげることで見る人への情報密度が上がっていきます。肌触りまで想像できたら色気を感じませんか?

肌触りまで伝えよう!血色感と柔らかさを出す塗りのコツ

ここからはイラストに活かせる実践的な描写についてご紹介します。

私は肌の質感を出すために血色感や立体感を大事にしています。

血色感を出すためにまずは指先、耳の先、などにピンク〜オレンジ系統の色で乗算のグラデーションを入れてみましょう。それだけでも温度があるものに見えてきませんか?

グラデーションツールは使わず、色混ぜのツールを使って肌色と馴染ませると自然な血色感が生まれます。ツールはCLIP STUDIO PAINT(以下、クリスタ)を使用してます。右上のブラシ設定は毎回固定ではなく、その時々によって数値を変えています。

手の画像下段はその上から影をつけたものです。影の場合は境界線を色混ぜでぼかす、立体を考え丸みを意識して外側から影を入れていくことで、陶器肌のような柔らかさを表現できます。すべて均等にぼかしてしまうと絵に締まりがなくなってしまうので、影の強い部分はくっきり残すなどメリハリをつけると全体的にぼやっとしてしまうのを避けられます。

同じ手順で鼻先、目頭、目尻にも血色感をプラスすることで体温を感じるような肌に仕上げましょう!

美しい男性にはメイクをしたい

最近では男性がメイクをすることも珍しくなくなってきましたね。ゲームのキャラクターでも衣装によってメイクが変わったり、唇にほんの少し色が乗っていたりと流行にも変化が出てきたように感じます。

一時期は瞼にラメを入れるのが流行ったり、今では黒目の上下あたりにハイライトを入れているイラストも増えました。メイクも一つの表現方法として浸透してきたのではないかと思います。

派手な色を使ったメイクでなくても印象がグッと変わるのが分かりますよね。

中でも目周りのメイクは描いていても楽しいポイントですよね。ラメで立体感を表現したり、あえてマットな質感にすることでクールな印象にしたり。特に艶感をマスターすると、濡れたような目元を演出することもできます。

私が必ずやるのは涙袋のメイクです。画像のように、目尻に色を乗せ目頭に向かってだんだんグラデーションにしていくと、リアルに近い描写ができます。これをすると目が大きく見えたり、目力が増したように見えるのでお勧めです!

同じく目元で言うと、まつ毛も細かく描くと少し女性的な色気をプラスすることができます。自分の絵柄では上まつ毛を増やすと女性的になりすぎるので、したまつ毛を細かく描写します。

最近はまつ毛の影まで描いたり、涙袋のすぐ下から陽の光をハイライトで乗せるのも流行りですね。やってみるとかなり印象が変わります。 

唇にもほんの少し色を乗せてあげると、血色や唇の厚みが出せます。上の画像では鮮やかなサーモンピンクを使っていますが、色はキャラクターの肌の色に合わせてあげましょう。唇の光沢もツヤっとさせたい時は真っ白のハイライト、少しだけ艶感が欲しい時は肌の色に近い明るい色を乗せてあげると自然な光沢が生まれます。

実際のメイクを参考にするのも、新たな発見があるかもしれません。美しい男性にはメイク、してみませんか?

質感も色気の一部!素材を研究しよう

衣装の質感もこだわることで、キャラクターや画面全体を引き立たせることができます。特に上質に表現したいものなどは質感を細かく描写することで、高価そうに見えたり肌触りまで想像させることができます。

まずは描きたいものがどんな質感かリサーチしてみましょう!

サムネイルのイラストでは衣装の素材をシルクのような、少し光沢がある布を想定して描いています。綿、シルク、ベロアなど生地の名称を知っておくと資料探しの際に役立ちます。

素材の写真などをよく観察してテクスチャや光の反射の仕方など、イラストに取り入れていきましょう。特にしわの描き方、影の付け方がわからない!という方は実物より写真や、イラスト化されたものを見て描くことをお勧めします。

クリスタのブラシ素材で質感のクオリティをあげる!

私は普段クリスタに初めから入っているデフォルトのペンを多用しています。ラフ、線、着色はGペン、柔らかい線をかきたい時はエアブラシ(強め)、ぼかしたい時は色混ぜを使用しています。

下の画像を描いた際は、上で紹介した3つのツールとエアブラシツールのにじみスプレーを使用して制作しました。

こちらも細かい設定や数値は描きながら変更しています。

にじみスプレーのようなブラシはハイライトの境界線などに使用するととても効果的です。粒子サイズを細かくすれば、先程紹介したようなシルクの素材もそれらしく描写することも可能です。

クリスタのデフォルトツールはとても優秀なので、ぜひ細かい設定を駆使して使用してみてください。他にもクリスタにはASSETSというダウンロード素材を使うことができます。先程言った言ったような特定の生地を描く為のブラシなども配布されていますので、ぜひ活用してみてください!

まとめ

今回ご紹介したのは色気とは何か?色気を表現できるポイント、それを引き立たせる質感についてのお話でした。

冒頭でもお話した通り、何に色気を感じるかは人それぞれです。ですがフェチを詰め込んだ作品は共感できる人には強く刺さります。是非自分なりの色気の表現を研究して、同志を増やしていってください。そして美しい男性をたくさん描いてください!この記事が少しでも創作活動の参考になれば嬉しいです。

プロフィール
いなのめ
イラストレーター
京都芸術大学 通信教育部 イラストレーションコース
講師
https://twitter.com/_inanome


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