「自分らしいキャラクター」を作るために
KUAイラストアドベントカレンダー、12月17日はカヤマタイガ先生から『「自分らしいキャラクター」を作るために』です!
はじめまして。京都芸術大学イラストアドベントカレンダー17日目を担当する、イラストレーターのカヤマタイガと申します。
私は現在、絵本やゲームのお仕事を行っており、かわいいモンスターをメインにいろいろなキャラクターを作っています。
そこでよく「カヤマさんらしいキャラクターでお願いします」というご相談をいただくのですが……改めて言われると「自分らしい」とはどんなものだろうと、私自身考えてしまうことがあります。
みなさんは「自分らしいキャラクター」を作るには何が大事だと思いますか?
私は、自分らしいアイデアと、その組み合わせ方が大事だと思っています。
キャラクターには、いろいろな要素があります。モチーフやパーツ、比率などなど……。
その一つひとつのアイデアが、自分だけの特別な視点で発見されたもので、さらにそれらを楽しみながら組み合わせた結果「自分らしいキャラクター」になるのではないかと思います。
今回は私なりの、楽しくアイデアを見つける・組み合わせる方法を、共有させていただけたらと思います。
アイデアの組み合わせを楽しもう
まずは、私の作ったキャラがどのようなアイデアを組み合わせているのか、実際にご紹介させていただきます。
こちらは、タマゴをモチーフにデザインした3体のキャラクターです。ヒビ割れたカラや白身のプルプル感など、自分が面白いと思うタマゴの要素を、アイデアとしてデザインに入れています。
私はキャラを作るとき、一見してわからないような隠しアイデアを入れることが多いです。このキャラの場合、タマゴの弾力性から連想して、隠しアイデアに「お相撲さん」を加えて大柄なシルエットにしています。また、内臓が見えている透明な「深海魚」のイメージも入れて、黄身のハートが見えるデザインにしました。
隠しアイデアは、オリジナリティを出せて、モチーフ本来の面白さも引き立ててくれる、料理の隠し味のようなものです。
こちらは死神をモチーフにしたキャラクターです。隠しアイデアの「ツアーガイド」は〈死神はあの世へ連れて行く→案内人→ガイドさん〉という連想で加えました。ネクタイや、揺れる旗のようなカマに、そのイメージが表れています。
こちらはゴーストをモチーフにしたキャラクターです。果物ジュースの甘酸っぱさや、ソフトクリームのしっとり感が、全体の隠しアイデアとして入っています。
このように、表面的なアイデアと隠れたアイデアに何を置くかを実験することで、より楽しみながらキャラクターをデザインできると考えています。
「自分らしいアイデア」を見つけよう
私は、アイデアの中にも「自分らしいアイデア」というものがあると考えています。「自分らしいアイデア」とは、自分が“面白い、好き、大事”と感じ、惹きつけられるアイデアのことで、日常的に探そうという意識がないとなかなか見つけることはできません。
ここからは、そんな「自分らしいアイデア」を見つけるために役立つ方法を、いくつかご紹介させていただけたらと思います。
モチーフをさまざまな角度から観察してみる
たとえば「タマゴ」は、一見するととてもシンプルなモチーフです。しかし見る角度によってシルエットは変わりますし、状態がいろいろと変化する面白いモチーフでもあります。
物を見るときは、いろいろな側面を観察してみましょう。もしも魅力的と感じる部分を発見できれば、それが自分らしい視点で手に入れた「自分らしいアイデア」になります。
アイデアで連想ゲームをする
日常の中で、いつも自分が面白いと感じるアイデアを見つけられるとは限りません。そこで、一つのアイデアから「類似点」を見つけることで、触れるアイデアの数を増やしてみましょう。
たとえば、カエル→緑のブヨブヨ→スライム……というように。
こうすることで、カエルという一つのアイデアから、スライムというアイデアを取り出すことができました。この方法で得たアイデアは、類似点があるため組み合わせて使いやすいという利点もあります。
またそこから発展して、連想ゲームをしてみましょう。
カエル→スライム→バケツ→掃除→ホウキ→魔女……。
こうすることで、一つのアイデアをきっかけに、たくさんのアイデアを取り出すことができます。面白いアイデアに辿り着けなくても、その過程で得たいろいろなアイデアは、キャラクターをデザインする際の心強い味方になってくれます。
自分の持っているアイデアを知ろう
落書きをする習慣をつける
みなさんも授業中、ノートに落書きをしたことがありますよね。落書きは気ままに描くことができるため、自分がどんなモチーフをよく選ぶか、どんな線を引くときに自分が心地よいと感じるかなど、自分の”好き”を発見するきっかけになります。
また、頭の中の漠然としたアイデアを形にできたり、意図せず引いた線が面白いアイデアに発展することもあります。落書きは、自分の内にあるアイデアの源泉です。自宅でもお出かけのときでも、ペンと紙を常備して、暇があれば落書きをしてみましょう。
アイデアをコレクションしよう
見つけたアイデアの中で、ときに面白いと感じたものは、自分の中にコレクションしていきましょう。文字やスケッチで残しても構いません。私は頭の中にアイデア専用リュックがあって、そこにアイデアをしまっていく……というイメージをしています。
頭の中でアイデアを散らばらせるのではなく、いつでも取り出せる場所に、どんどんアイデアを集めていきましょう。
コレクションがあればキャラを作る際に選択肢が広がりますし、「さっき見た植物と、自分が持ってるこのアイデア、組み合わせたら面白いキャラが作れそう!」というような、アイデアをかけ合わせた発想もできるようになります。
まとめ
「自分らしいキャラクター」とは、“自分らしいアイデアと、その組み合わせ方”によって生まれる
アイデアを組み合わせるときは、面白みを出すために「隠しアイデア」を入れてみる
アイデアの中にも「自分らしいアイデア」というものがあり、意識して探すことができる
良いアイデアはコレクションし、いつでも取り出せるようにしておく
面白そうなアイデアを探して、それらのいろいろな組み合わせを試す……そうシンプルに考えると、キャラクターデザインはより楽しいものになると思います。自分らしいアイデアをたくさん集めて、個性豊かで素敵なキャラクターを作りましょう!
それでは、ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
プロフィール
カヤマタイガ
京都芸術大学通信教育課程イラストレーションコース採点講師
京都生まれ京都育ちの絵本作家&イラストレーター&キャラクターデザイナー。ゲームのような世界観のイラストを得意とする。
著書:「だっしゅつせよ! ゾンビタウン(文響社)」https://t.co/bHkbMsazLO
Twitter:https://twitter.com/taiga080521
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