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ポーズと構図で魅せるキャラクターの描き方|くるみつ

KUAイラストアドベントカレンダー、12月22日はイラストレーターのくるみつ先生から『ポーズと構図で魅せるキャラクターの描き方』です!


京都芸術大学イラストアドベントカレンダー22日目を担当する、イラストレーターのくるみつです。
さて突然ですが、キャラクターを描く上で大切な要素はなんだと思いますか?さまざまな要素がありますが、その1つとして挙げられるのが「ポーズ」です。

・なんとなくでキャラのポーズを決めている
・ポーズを考えるのが苦手で、とりあえず直立絵を描いている
・キャラとポーズが何となく合っていないような気がする

キャラクターを描く際に、こういった考えに陥る方は多いのではないでしょうか?今回の記事で、そういった方達が少しでも「キャラのポーズの描き方や、その考え方」を分かっていただければ幸いです。

ポーズ・構図って?

シルエットを意識したポーズでの印象

キャラクターを描く際、「ポーズ」はキャラクターの性格を表現したり、キャラクターデザインを引き立てる大事な要素です。

「キャラクターが何をしているかが分かれば、キャラクターの性格も分かる」ため、描きたいキャラクター像が決まっているなら、自ずとポーズも絞られてくると思います。

また、ポーズはとにかく大きく分かりやすいポーズにすることも大事ですね。

このイラストの場合だと、ハロウィンキャラということで「怖く」「強く」見せたいポージングやシルエットを考える必要があります。

  1. 髪の毛を大きく見せることで、強さや怖さを表現

  2. 腕は、(よくあるポーズですが)驚かせるようなポーズを取らせることで「怖さ」や「強さ」を分かりやすく伝えています。

元気な印象

胸や脚を外側に向けると肩が上がり(肩に力が入っている状態)、元気なキャラクターの印象が強くなります。
「活発さ」や「余裕な雰囲気」も表現できるでしょう。

おとなしい印象

逆に、胸や足を内側に向ければ「大人しさ」「緊張」のような静かな雰囲気が出せます。

衣装や小物で構図を見せる

当たり前の話ですが、人間の体って腕も脚も2本ずつしかないですよね。ですから、キャラクターの体だけで表現できるポーズやシルエットには限界があります。

そんな時は、衣装や小物、髪の毛を使って大胆なシルエット構図を取りましょう(これはポーズというよりも「構図」にあたりますね)。

このイラストは、両手の袂を極端に長くしたシルエットで「優雅さ」を演出しています。

こちらはキャラクターを2体並べ、ツインテールを4つ使って“S字”の流れを作りました。髪の毛では「元気さ」を、体のポーズでは「怖さ」を表現しています。

全体の構図を決める

「シルエットを意識したポーズ」「衣装や小物も使って構図を考える」ことを理解したら、全体の構図の方針を決めていきましょう。

キャラクター単体だけでなく、エフェクトや小物などを含めたイラスト全体でのシルエット(構図)をどのように見せたいかを決める工程ですね。
実際の例をもとに解説していきます。

例1:背景と小物を含め、全体を“O型”のシルエットでまとめたイラストです。キャラクターを中央に、その周りに小物やエフェクトを配置しています。
また、キャラクターは快活な性格が出るように腕を大きく広げ、大胆に“大の字”にポージングさせました。

例2:キャラクターの取るポーズが“A型”のシルエットになっています。
加えて背景にもキャラとかぶらないように三角形を配置し、ジグザグ感を演出しました。
キャラクターは大きなポーズは取らせず、脚や腕を組むことでおとなしめの性格を表現しています。

シルエットの種類いろいろ

ここまで「シルエット」とお伝えしましたが、実際にシルエットにはどんな形があり、どんな効果や流れがあるのでしょうか。

具体的に例として挙げてみました!複雑なシルエットにならないよう、シンプルな図形やアルファベットで考えることが多いです。

I型:視線誘導を行いやすいシルエットです。元気さやアグレッシブさを表現するときによく使います。

T型:I型からの派生形です。I型だとシルエットが寂しくなりがちなので、横の流れを入れてT型にすることも多いですね。

S型:最もよく使うシルエットです。体のしなりや流れを魅せたいときに使います。

C型:キャラの曲線を出しやすく、情報の粗密がはっきりと出るシルエットです。キャラ以外の部分にはオブジェクトやエフェクトを入れたり、あえて何も描かないことでシルエットを際立たせたりと、やり方によっては面白いシルエットになります。

A型:重心がバランスをとりやすく、どっしりとした印象になるシルエットです。正方形キャンパスでは正三角形に近いシルエットを使うことが多く、逆三角形のシルエットにすると不安定さが出て面白い印象になります。

実例

ここでは2021年の正月イラストをもとに解説していきます。丑年なので「丑」から着想を得ています。

個人的な話になってしまうのですが、2021年は飛躍の1年にしたかったということもあって、「キャラクターが手前に勢いよく飛んできているような構図にしたいなあ」と考えていました。

①キャラクターが勢いよく手前に飛んできていていることを表現できるようなポーズを決めていきます。勢いを表現するために、エフェクトを追加し全体の構図をO型にしました。

②細かい部分を描き込んでいきます。手前に飛んできているような躍動感を出したかったので、キャラのポーズはC型のシルエットにしてみました。

③最後に全体の構図を決めていきましょう。キャラクターのポーズはC型で(青矢印)、全体的な構図は①のとおりO型で進めていきます。
キャラを邪魔しないよう、キャラとの奥行き感・前後感を出すための小物やエフェクトをO型の構図通りに配置していきます(緑丸)。
ここで、しっかりと構図に沿ってエフェクトと小物の流れを合わせておかないと見栄えが悪くなるので注意!

このような感じで構図を決めていっています。

さいごに

今回は「ポーズ」にフォーカスした記事を書かせていただいたのですが、他にもイラストを魅力的にする要素は他にもたくさんあります。
それは実際に皆さんがイラストを描いて考え、気づいていくのも大切だと思っていますので、ぜひ今回の記事を参考にそんな「気付き」を得るヒントになれば幸いです。

プロフィール
くるみつ
https://twitter.com/krkrkr32
京都芸術大学通信教育学部イラストレーションコース添削講師
イラストレ-ター/ポケモンカード公認イラストレーター、ソーシャルゲームのキャラクターデザインや、カードイラスト、CDジャケットからグッズイラストまで幅広く活動。ポップでとにかく明るいキャラクターイラストを多く手掛ける。イラストメイキングやスキル講座などを届けるYoutubeチャンネル「くるみつちゃんねる」を運営中!

著書

amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4798625949/


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