留学フェローシップ体験記②〜令和版、松下村塾?〜
こんにちは。前回の記事に引き続き、この記憶を忘れたくなくて、深夜2時に暗闇でキーボードを叩いておりますくらるです。
前回はこのサマーキャンプの基本情報をかいつまんでお話ししたため、私が何を感じたか、などはあまり書けていませんでしたので、今回はがっつり、語りたいと思います。覚書のようなものなので、目次から、気になるトピックがあれば、読んでみていただければと思います。
⒈フェローたちとの出会い
期間中、一番関わりが多かったのは、やはり自分と同じフェロー(参加者)でした。一番たくさん話して、長い時間を過ごした仲間たちとの出会いは、大きなものでした。
誰も、知り合い同士のいない、全員完全アウェーの状態で始まったキャンプ。人見知りには地獄じゃないか、と最初こそ白目をむいていたものの、ふと去年の夏を思い出したのです。昨夏、私はカナダの東端でひと月を過ごしました。その1ヶ月間で覚えた心構えは、「今だけ」という感覚。世界は狭いねぇ、とよく言うけれど、一応75億人は確実にいらっしゃるのがこの地球という星なわけであって。相当のことがない限り、ここで会った人に2度会うことはない。そう言い聞かせて、どんな黒歴史製造も受け入れよう。と思いながら過ごしていました。カフェでの注文が全く聞き取ってもらえずため息をつかれても、文法がはちゃめちゃになって先生に苦笑いされても、「恥ずかしいのは今だけ」と思う。その積み重ねで、異国の地での1ヶ月を乗り越えた私です。今回はちょっと、2度会ってしまう可能性は上がりますが、私は日本でも他の地域から隔絶された島に住んでいるので、相当なことがない限り、大丈夫。黒歴史製造認可済。
失敗してもすぐ忘れてくれるだろう、という強すぎるマインドをマスクに、キャンプに臨みました。
心配は少しあったものの、みんな基本はいい人たち。無視されることは滅多にありませんでした。ルームメイトとは最初、かなりの壁を感じて帰りたくなりましたが、ホームグループの存在が、私を支えてくれました。一緒に散歩に出かけて、足湯に浸かっているうちに、そんなに気負わなくてもいいんだな、と感じることができました。ホームグループにルームメイトとの関わり方の難しさを相談したわけではないし、そんな話は全くしていないのに、関係ない話をしているうちに、大きな心配の必要はないんだ、と自分の中で整理がついたんです。その感覚はとても不思議で、今まで感じたことがないものだったので驚きました。
1日の終わりに、グループ関係なく議論する感じとか、「ここは本当に楽しい」と口に出せるところとか、今まで出会ったことのない人たちばかりで、同じ熱で語り合える仲間と出会って4日間を過ごせたことを本当に嬉しく思っています。
⒉メンターたちとの出会い
キャンプが始まってから終わるまで、私はメンターたちからにじみ出るクリエイティブさとパッションに、惹きつけられっぱなしでした。海外大学という、自分を言語化することが求められる場所で学び、探求する人たちはやはり、伝えるのが上手かったです。頭の中を整理して、他人にわかるように説明するだけでなく、聞いている人の気づきにつながる問いを投げかけることもできる、すごい人たちでした。そして、メンターたちは人としての魅力も満載!大人だなあ、と感じさせられた次の瞬間、やっぱり大学生だな、みたいなノリがあったり、時には小学生みたいなこともあったり。メンター一人ひとりが、すごく魅力に溢れた人たちでした。
圧倒されたメンター Aさん
Aさんは教育学を専攻する予定のギャップターム生。「日本の教育を変えたい」という強い意志を持っている人でした。2日目の昼食の時、初めてAさんの考えを聞きました。一方的ではありましたが熱い思いが、血管がつながったようにドクドクと感じられて、びっくりしました。私自身も日本の学校教育を気に入っていない人間の一人なので、Aさんの主張に賛成反対とかではなく、ただ、なるほど、なるほど、と思いながら聞いていました。
救ってくれたメンター Bさん
私は先日、3者面談を受け、海外大学進学を考えていると担任に告げたところ、「現実が見えてくれば、その考えも変わっていくかもしれないね。(日本の)大学進学者向けの模試とか受けてみれば、ね…」と言われてしまい、結構なダメージを受けていました。3日目の夕食で、”純ジャパテーブル”に座った時、隣に座っていたBさんは、私の表情を見て、食堂から出た階段で話を聞いてくれました。肩をさすりながら「よくやってるよ」と言ってくれる優しさに、泣きそうになってしまいました。海外大学志望者が学年で他に誰もおらず、経験者も周りにいない中、「現実を見ろ」という人はいても、「頑張ってるね」と認めてくれる人は一人もいませんでした。私は、「1人」ではなかったけれど、進学に関しては完全に「独り」でした。いつでも連絡していいよ、電話も出るからね。と言って安心させてくれたBさんは、今回のキャンプで1番感謝したいメンターです。
新しい世界を見せてくれたメンター Cさん
Cさんは西洋文学を学んでいる人で、模擬授業で私がとった「フランス文学」の講師をしていました。Cさんのすごいところは、そのワードセンス。センスという言葉で片付けて良いものか迷うくらい、素敵な言葉を紡ぐ人でした。事前に作成したシナリオを一つ一つ読んでいくかのように話すので、引き込まれてしまうのです。Cさんの発音を聞いて、フランス語はかっこいい言語だと思いました。英語とほとんど綴りが同じの単語も、全く違う発音だったり、独特な濁りが混じっていたり。興味深い言語だと感じました。もともと言語に興味が強くある私ですが、文学を通して学びを深めるのも悪くないな、と新たな思考が生まれるきっかけとなりました。どんな言語を学ぶことになっても、話すことになっても、Cさんのような素敵な人になりたいと思う、ロールモデルになりました。
⒊留フェロは、「令和版 松下村塾」?
昼食時や夕食時、日常コレクションなどを通して、メンターたちは彼らの考えや研究について、幾度となく語ってくれました。食事の前にはホワイトボードに「〇〇(メンター)と___を語ろうの会」や「〇〇と___について考えるテーブル」など、メンターたちが話したい内容からテーブルで集まりを作り、フェローを集めていました。フェローたちは自分が興味のあるテーマのテーブルに座り、熱心にメンターたちの話を聞いていました。その様子が私は、幕末の藩士たちのようだと、そして留フェロという場は、松下村塾のようだと、感じたのです。アツい人たちの元に、アツい人が集まっていたから、山間の涼しい野沢も、私たちのいる間は、少し気温が上がっていたんじゃないかと思います。
⒋プログラムを終えて
4日間、すべての日程が終了してしまった閉会式。メンター1人ひとりから全員に向けて、メッセージをもらって、泣きそうになった私でした(いや、なんなら泣いていたかも)。
ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の千尋が、湯屋の世界から持ち帰ってきたのは、湯婆婆から渡された髪飾りだけ。あとはぜんぶ、忘れてしまいます。幸せすぎる非日常の4日間を過ごした私たちも、日常に戻って、「やらなければいけないこと」に忙殺されるうち、野沢での出来事とのギャップを強く感じて、喪失感に襲われるかもしれない、または、野沢での日々が夢だったのではないかと、記憶が曖昧になってしまうことがあるかもしれない。だけど、ここでの出来事は、少しでもいいから、千尋の髪飾りのようなものだと思って、覚えていてほしい。野沢での日々を、喪失感や虚無感の引き金ではなく、次に進むための踏み台だと考えてほしい。メンターたちから、そんなメッセージを受け取った気がします。
ゆるーいマインドで、しかし強い意志で最後までやり切った4日間。人生を終えるその瞬間まで、覚えていたいと思います。参加を許してくれて空港までの送り迎えをしてくれた両親、一緒に本気で考えたフェローたち、そばにいてくれたメンターたち、見守ってくれた運営。すべての人と出会いに感謝します。
ありがとうございました。みんな、また会おうね。
一つも忘れたくなくて、また長々と書いてしまいました。①より全然役に立たないと思うけれど、独白のようなものなので、お許しください☆
留フェロサマーキャンプ1体験記 おしまい。
ではまた( ´ ▽ ` )ノ