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最初の1枚

初めてライカMを手にしたのは2015年の6月だったと思うので、かれこれ6年ほど前になります。以来、随分ハードに使ってきましたが、ほとんど故障もなく、大変丈夫な良い子でした。ただ、ボディ表面のグッタペルカ(張り革)がボロボロになっていました。それを先日、ライカのカスタムレザーサービスというものを利用して着替えさせていもらいました。

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(写真は2018年頃と思われるまだ傷も少なかった頃のM240。)

このカメラを使い始めの頃はそれはそれは大切に扱い、少しの傷もつかないように気をつけていました。それでもやはり、撮ることに集中していたり、移動が多くなったりする中で、少しずつ小傷は増えるもの。加えて、M240のボディは上下カバーが真鍮にブラックペイントという作りなので、使い続けていくうちにブッラクペイントが剥げ、地金の真鍮の渋い輝きが顔をのぞかせ始めます。そうなってくるとむしろエイジングしたい気分が高まって、使用し始めて2年ほど経った辺りからは、外見の保護についてはあまり気を使わなくなりました。

また、2019年にニューヨークに行くことがあり、見た目はボロの方が安全かなぁなんて気持ちもあり、ボディ正面のライカマークの赤い色を落としたりしていたくらいですから、グッタペルカの剥げ落ちもその時に限っては歓迎していました。

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(今年2月。見えづらいですが、右手が触れる辺りの表面がボロボロ。)

その結果、最近では随分見た目がしょぼくれていました。時には、格好いいカメラですね!なんて言ってもらえることもありましたが、それはおそらく真鍮が見えている金属部分を見て言ってくださっているのであって、ボディの張り革はやはり残念に見えていたと思います。

そんな折、ライカにカスタムレザーサービスというボディ表面のグッタペルカ(張り革)を取り替えるサービスがあることを知りました。色の種類はなんと35色。ネット上で着せ替えイメージを見ることもできるので、全ての色を眺めてどれが似合うかなぁなんて妄想をしながら、そのことを1度だけ奥さんに話したことがありました。そこから月日が流れて、今年の僕の誕生日の前日、LINEにメッセージが。

「明日大丸行ける?
 ライカのカメラ預けるんだよ
 レザーの張替え
 お誕生日プレゼントなのだ」

え?嘘?それは誕生日プレゼントとしてはあまりに贅沢過ぎやしないかい?日頃から奥さんに贅沢させてあげられているわけではないので申し訳ない気持ちもあります。
しかし、聞けばすでに支払済。
相変わらずのフットワークの良さ。電光石火。

そう言えば彼女はサプライズが好きなのです。どうせやるなら相手が驚くくらいのスピードで行動するのです。コロナの1度目の自粛期間にも、お世話になっている方の元に物資を届けようと突然言い出したことがありました。いきなりでは逆に迷惑ではないかなぁと躊躇う僕を引きずり出して、車の運転をさせて、トイレットペーパー・消毒液・マスクなどともに、たまたま期間限定で近所で売っていた「船橋屋のあんみつ」をお届けしました。僕の予想は外れ、その方は手放しで喜んでくださりました。特に船橋屋のあんみつ」はその方の奥様がちょうど食べたいとお話しされていたところだったそうでとても喜んでいただけました。彼女に後から聞いたところでは、会社帰りに船橋屋の臨時販売を見つけて、これは喜ばれると閃いたとのこと。そしてその数日後には任務を遂行したわけです。その時ばかりは、僕も彼女のことをちょっと誇らしく思ったりしたものです。

ところで、着せ替えをしていただくのは僕が持ち歩くカメラなのですが、こういう場合、色のセレクトなどは奥さんに任せて僕は口を出しません。と言いますか、支払いとともにすでにオーダー済みでした。色については、任せておけば僕は大体いつも満足なのです。

待つこと10日ほど、ついに再会を果たしたライカM240は、もう別物!まるで新しいカメラをプレゼントしてもらったような気分でした。

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すぐにレンズをつけて試し撮り!
最初の一枚。
試し撮りと言っても、カメラの中身はこれまで通りです。
気持ちの問題ですね。

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子どものように喜ぶ僕は知らず知らずニコニコしていたのでしょう。そんな僕と美しいカメラを目の前にして、奥さんも自然に微笑んでいるという、カメラのドレスアップと共に我が家に幸せな時間が届いたというお話でした。




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