デザイナーがデータを取得できるようになるまでと、デザインチームのデータドリブン
こんにちは! UIデザイナーのmarinです。
デザイナーが自分たちでデータを見ることができるようになってきたので、そのメリットについてと、どのように学習していったか、そしてスペースマーケットのデザインチームでは数値をどう扱っているか、のお話です。
デザインチームも人が増え、今までリソースがカツカツすぎて手出しできずにいたこともちょっとずつ着手できるようになってきて嬉しい限りです。
デザイナーが自分でデータを確認できるようになるといいことづくめ、とはいえ
データドリブンデザインという言葉をよく見かけるようになってから早数年。特に事業会社のデザイナーは、導入しているツールを用いて自分で数字を見られる方やSQL叩いてデータを取得できるという方も多いのではないでしょうか。
デザインをする時は仮説だけでは成り立たず、価値を正しく数値化してくれているデータの存在が不可欠です。とはいえデータだけに頼ると、デザインとしての美しさやブランディングを破壊しかねない結果になる可能性やユーザーにとって必要な情報を削ってしまう危険性もあり、定量と定性の双方をバランス良く取り入れていく必要があります。
特にスペースマーケットのデザインは、現状に課題があり・もしくは課題を見つけて・解決するためにデザインをする、ということがとても多いので、定性のデータは非常に重要な役割を担っています。そのデータを確認するのに、今までは常に誰かの力を借りる必要がありました。
自分で数字を見られるメリットっていくつかあると思うのですが、特に大きいのがこの4点でした。
・欲しい時にすぐ見られる
仕様を考えたりデザインをしている時、現状のデータを確認したいものですが、今までは誰かにお願いしてデータを取ってもらうしか手段がありませんでした。当然ですが、みなさん暇ではありませんので、データをすぐに入手できるわけではありません。細かいところだし今回は仮説だけでいこうかな、という諦めをしてしまうこともしばしばありました。
・心理的負担がない
自分でデータを見れないがゆえに、色んな人に色んなデータの取得のお願いをすることになってしまいます。皆さん快く引き受けてくれてありがたいのですが、忙しいのに申し訳ないという気持ちになり、お願いする時に腰が引けます。今でも分からないことは聞いていますが、ある程度は自分で取れるようになったため、心苦しさがなくなりました。
・「ここ、数字が取れないかな」と自然と思いつくようになる
誰かに見てもらっていた時はあまり閃かなかったのですが、かなり詳細な部分までデータを取得できるということを知ったため、今までならば仮説だけで作っていた小さいところでも「この部分データで見たらまた違うかな」と思う機会が増えました。
・施策の数値を好きな時に追うことが出来、KPIが達成できたのかを自力で判断できる
今まではマーケティング部の方に共有してもらっていたのですが、好きな時に好きなタイミングで自分で確認することができるので、毎日データを見て一喜一憂することも可能です。
また、大きなところではなく、自分しか気にしないような小さなところも自分自身で拾うこともできるので、施策に対する手応えをより感じることができます。
このようにいいことづくめではあるんですが、今まで使っていなかったツールやSQLを学ぶには当然学習コストがかかります。私自身データ分析に関してはほぼ知識がありませんでしたし、デザイナーチームのみんなもGoogle Analyticsを触れる人はいてもSQLを書ける人はいませんでした。
そしてやっぱり当然ですが、毎日施策に追われてバタバタしているため、長い時間をデータ分析の勉強に費やすわけにもいきません。
どうやって学習したか
まずは言い出した私自身がデータを見られるようになろうと、マーケティング部の部長にお時間を頂き、隔週に1回データについての簡単な勉強会を開いていただきました。マーケティング部は日々どんな目標を持ってどんな数字を追っているのか、数字を追うことでどんな戦略を立てられるか等の基本的な知識と、スペースマーケットがデータ分析するのに使用しているGoogle Analytics やRedash の簡単な使い方を教えて頂きました(本当にありがとうございました!)データ分析ツールは他にも導入しているものがありますが、メインでよく見るのがこの2つのツールなので、ひとまずこの2つに焦点をあて、上述した勉強会+独学で本業の合間を見ながら学習していきました。
Google Analytics
いわずとしれたGoogleが提供しているアクセス解析ツールです。私の前提知識は、自分のブログの解析結果を時折眺めるぐらいで(リアルタイムだったり検索ワードだったりを見る)、ちゃんと使ったことはありませんでした。
主に流入先や経路を見るのに使用していて、ユーザーからどこから来てどんな行動をしてCVRに繋がったかを確認しています。とても重たいのがたまにキズです……何をするにも読み込みに時間がかかってしまうのがつらい。
Google Analytics(長いので以下GAと省略します)に関しては、左側に出ているメニューたちはどんな役割を持っていてどう扱うのかを説明して頂き、普段マーケティング部がよく見ているデータや、実際の施策でリリースされたあとどのように数値を反映されたか、データの取り方を教えていただきました。ちょうど学びはじめたタイミングで自分が手掛けた施策のリリースがあったので、数字を追う良い勉強になったのと、CVRが上がることでデザインの手応えをリアルタイムで感じられるのがすごく嬉しかったです。
SQL
後述するRedashからデータを取得するために勉強しました。個人的にはGAよりもSQLの方が勉強しやすかったです。過去に何度もWordPressを触っていた経験からデータベースの仕組みをなんとなく理解していたため、SQLの書き方に馴染みがあったからともいえます。
ProgateのSQL学習コースで基礎知識を学んだあと(とても分かりやすかったです)、SQLの宿題を作ってもらっていたので、Redash上で宿題を解いて答え合わせをしてもらっていました。例題があると、スペースマーケットのデータベースは実際どうなっているのか・どんな風にデータを取れるのかがわかるので、最初の一歩としてありがたかったです。
Redash
OSSで提供されているダッシュボードツールです。この記事を書くまで、OSSだということを知りませんでした……! こんなに便利なのにすごい。
Redash上に集約されているデータを、SQLで叩いて取り出すことが出来るので、SQLの知識が必要になります。
Redashは他の誰かが書いたSQLコードを一覧で見られるのがとてもいいですね! 自分が取りたいデータの書き方がわからなかったら、まずは検索して他の誰かが書いていないかを確認します。自分が欲しいデータって、他の誰かも欲しいと思っているものなので、すでにSQLが書かれている可能性があるからです。
また日本語でもコードでも検索をかけられるため、データの取り出し方のヒントも得られます。皆さんクエリのタイトルをわかりやすくつけてくれているので、今自分が見たいデータとマッチするかどうかも判断しやすいです(名称の部分は見せられないのですが雰囲気で察して頂けると)。
誰かが書いたコードを参照し流用することで、まずはSQLを書くことに慣れるようにしました。データを取り出すことが出来ると単純に嬉しいので、積極的にデータを活用しようというモチベーションが上がります。
余談ですが、スペースマーケットのRedash は多くの社員が活用しています。エンジニアやマーケター以外にも、CSチーム のみなさんまでもが、顧客理解とフォローのために全員がSQLを叩けます。Redashを覗くと、かなり高度なSQLが書かれていてびっくりします。
デザイナーだけのデータ分析・SQL合宿(勉強会)の開催
今こんなデータが欲しい・前からこのデータはどうなっているのか気になっていた等、お互い数字を確認したいものを持ち寄り、デザイナーがもくもくとデータ分析だけをする勉強会をしました。みんなの持っている知識を総動員し、ツールの使い方や解析の仕方を学びました。
私自身も、これまで勉強していた知識を共有し、Redash の使い方や、こういう時はGoogle Analytics・こんな時はSQLを叩くと便利だという話をしました。今までチーム全員で数字だけを見る合宿というのはやったことがなかったので、新鮮でした。
データに慣れるために:定例で各自追っている数値の共有
SQLを書いたりツールに触れたりしない限りは当然いつまで経っても慣れないですし、やらないうちに忘れていってしまうので、毎週木曜日に開催しているデザイン定例にて、各自が追っているデータの発表を各自5分程度で共有するようになりました。
追いたいデータを自分たちで決めて、毎週の推移を見て、この施策の影響で数字が上がった・下がった等の共有をしています。直近で自分が担当した施策があれば、誰に言われずともみんな主体的にデータを取得し、共有するようになりました。デザイナーチームに、新しい文化が生まれたなぁとすごく嬉しく思っています。
おわりに
デザイナーチームとしては、GAやRedashが使えることが目的ではなく、手掛けたデザインのKPIがどうたったかを自力で振り返り、結果を活かして更に改善・提案をしていくことこそが目的ではあるので、完璧に出来る必要はありません。
ただやはり、ある程度は自分でデータが取得できると、誰かにデータ取得をお願いしている時間がないから定性的でしか根拠を作れなかったことも、自分でデータを取得できることで数字をもとに仮説を立てることができるので、デザインの意思決定が早くなったと実感しています。
とはいえ、前述しましたとおり、データだけに頼っていると失敗することもありますので、定性と定量のバランスをとり、ユーザーにとって最適なUIを作り出していきたいと思っています。
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