【第2回】ツイッター部、ジャズを聴く【Weather Report】
皆さんごきげんよう。京大ジャズ研ツイッター部(@KU_jazz_tw)です。
前回の語彙力皆無なレビューからおよそ3週間が経ちました。各界隈からは「なんだよ金目的かよ」「露骨なRT稼ぎやめろ」「中身薄くね?」「ちくわ大明神」などなど絶賛の声を多数いただきましたので第2回を投稿したいと思います。
今回のアルバムはコチラ。
みんな大好き、ベーシストJaco Pastrius。彼の所属していたバンドとしても有名なWeather Reportですが、このアルバムにはまだ彼は参加していません。Jaco加入前のweatherはいったいどんなバンドだったのでしょう? 例によってアルバム情報は最後に載せてます。
さっそく聞いてみましょう。
# 1 Unknown Soldier ←オススメ!
怪しげに始まるこの曲。バンドがふわっともりあがる時の一体感がたまらなくゾクゾクする。スネアドラムの音に促されるように緊迫感が高まっていく。しかしまだ場面は静か。動と静が非常に洗練されている。静の部分を彩るピアノが実はとても良い仕事。途中から警報のような音が鳴り響き、まるで戦場のようだ。とてつもない鮮明な情景描写。名も無き戦士たちが息を潜めつつ、遠くで鳴る号砲の音から逃れるように走っていく。そしてあるとき、雷鳴のようにシンセリードの音が降り注ぎ、平和を知らせるサックスの音が聞こえてくる。ああ、涙が……。このサックスの音こそ、前回も紹介したWayne Shorterなのだ。このワンフレーズの価値は非常に高い。
# 2 The Moors
エレクトリックかつやや混沌としたファンクのようなナンバーだが、どこかにノスタルジーも感じる。12弦ギターらしい。Pat Methenyも似たようなノスタルジーは感じるのだが、彼のほうがカオスさがもう少し上品な気がするなあ。
# 3 Crystal
まだまだ情景描写的な曲が続く。Crystalと名がつくものといえば、やはりChick CoreaのCrystal Silenceが思いつくが、こちらはもっとアンビエント的。ホルマリン漬けにされたような気分で、そんな薬品の中にある「透明感」を感じる。オペラのオーケストラのように各楽器が必要な場面に登場し、演技をして去っていく。エレクトリックとパーカッションの融合というのはWeather Reportが先駆けになったのだろうなと思う(知らんが)。
# 4 Second Sunday In August
アーティスティックな空間から抜け出て、この曲が力強く始まる。やはりZawinulの曲はどこかに救いがあるというか、心の奥底から湧き出すような活力を、自然なジャズの文脈で表現してくるからズルい。カッコいいんだもん。にしても、ハードマレットで叩きまくったようなティンパニの音は何なんだ……。
# 5 T.H. - Dr. Honoris Causa (Live)
というわけで、こっから残り3曲はライブ音源。しかも場所はなんと東京。いきなり日本語のおっさんがしゃべりだすし、「日本人のメンバーおったんか???」とか思ったけどただの司会者でした。ベースのMiroslav Vitousの作曲「T.H.」。というか曲なのかこれは……。ライブということもあってかファンキーな仕上がり。Shorterのサックスは技巧的なものよりもこういうサウンドに乗せる乗せ方が上手い。伝説の「Live in Germany」でもそのセンスは炸裂している(Jacoばっかりに注目されがちやけど)。後半はZawinul作曲のDr.Honoris Causa。やはり彼の曲が始まった時の「一転攻勢」感がパない。こんなん誰が聞いてもテンション上がる。でもディストーション濃縮還元みたいなシンセはちょっと笑う。
# 6 Surucucu
なんと冒頭からコナッコルのようなリズムが! コナッコルとはインドの伝統的な口でリズムを歌う唱歌(というかもはや言語?)。その奥深さには僕も興味がある。しかしそうと思えばすぐさまweatherの世界へゆり戻される。しかし、そこには先ほどのコナッコル的モチーフが見え隠れしている。というかまたShorterのセンスが炸裂。このあたりはキーボードとサックスの絡み合いを楽しめばいいんじゃないかな。ぼーっと聞いとくのが吉。次でびっくりするので。
# 7 Directions
曲が切り替わり、さらに猛烈な、地獄のような、連符、そして、キメ。さっきまでは結構のノロノロと蠢いていたのが一斉に走り出します。土台はジャズ。エレクトリックを媒介した、インタープレイが展開されます。1曲目でも感じたバンドの一体感がキメによってもっと顕著に。あっという間に終わるこの曲ですが、エゲつないです。
全体を振り返ると、やはりキーボードのZawinulの色が強く出ている気がします。Jaco加入以後は結構ポップな路線にもなっていくので、その前の荒々しいサウンド、オーケストラ的な曲構成や情景描写の源泉はこういうアルバムにあるのかなと思います。僕はZawinulが好きなのでUnknown SoldierとSecond Sunday In Augustがグッときました。1曲目から泣いちゃうってなんだよ。西田敏行かよ。最近あの人1本目の依頼から泣くよね。
というわけで、今回はここまで。あとは皆さん思い思いにシェアしつつ、皆さんの感想も聞かせてくださいね。
では、皆さん良きジャズライフを。
I Sing the Body Electric / Weather Report (1972年)
Wayne Shorter - Tenor Sax, Soprano Sax
Joe Zawinul - Electric Piano, Acoustic Piano, ARP 2600 Synthesizer
Miroslav Vitous - Electric Bass, Acoustic Bass
Eric Gravatt - Drums
Dom Um Romão - Percussion
Andrew White - English Horn
Hubert Laws - Flute
Wilmer Wise - D and Piccolo Trumpet
Ralph Towner - 12st Strings Guitar
Yolande Bavan - Voice
Joshie Armstrong - Voice
Chapman Roberts - Voice
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