組織のビジョン、どう浸透・定着させる? #2
ビジョンを浸透・定着させるために
前回のnoteからだいぶ時間があいてしまいましたが、わたしたちは組織ビジョンを浸透定着させるために、ビジョンを理解するための言葉を策定してきました。(言葉の策定の過程はこちらから読んでいただけます)
組織ビジョン「DESIGN FORWARD」を理解するための言葉たちが完成したので、それらをメンバーへ浸透させ、身近な存在になるように、一冊の冊子にまとめて配布することにしました。イメージは学生時代の生徒手帳のように、常に手元にあって、ふとした時に見返せるような冊子です。
冊子をつくるときに決めたことは3つ。
ビジュアルで印象に残るように、言葉と対になる「イラスト」で表現する
サイズは小さめにして、バッグの中でもデスクの上でも、常に置いておけるようにする
楽しくDESIGN FORWARDと向き合えるように、ワクワクするデザインにする
どんなイラストにする?
まずは言葉と対になるイラストをどんなイラストにするか考えました。
わたしたちDESIGN BASEは、経済情報を取り扱うBtoB SaaSプロダクトに特化したデザイン組織なので、ビジネスに必要な誠実さや真面目さを意識して世界観をつくってきましたが、今回は内部メンバーに向けた冊子だということと、何より本を開いた時にワクワクするデザインにしたかったので、真面目さを少し控えめにして、楽しさを感じるイラストを探しました。
いろいろなイラストレーターさんの作品を見る中で、お願いしたいと強く思ったのがロンドン在住のイラストレーター、Giacomo Bagnaraさんです。
彼の簡潔で強いイラストと独特なPOPな色使いは「DESIGN FORWARD」という言葉が持つ「進める」「引っ張っていく」といった力強さを体現してくれると思いました。また、彼はイラストに意味を持たせることがとても上手なので、9つの言葉それぞれの意味をしっかり表現してくれると確信し、イラストを制作してもらいました。
オール英語でのディレクションとコミュニケーションで大変でしたが、わたしのつたない英語を理解してGiacomoが描き上げてくれたイラストがこちらです!
9つの言葉に対して、何案かラフを出してもらった中から、意味の合うものを選び、仕上げてもらいました。
また、ディレクションの中で、各イラストごとにテーマカラーを設けてほしいというお願いをしました。それぞれのイラストに対応したテーマカラーを設定することによって、より強く印象に残させることができたと思います。
冊子の仕様はどうする?
イラストレーターさんの選定・依頼と同時に、冊子の仕様も考えていきます。
サイズは、持ち運べて邪魔にならないようにコンパクトにしたかったので、はじめはA6サイズを考えていましたが、Giacomoのイラストがとても素敵なのでしっかり見てもらえるように、ひと回り大きいB6サイズで制作することにしました。
冊子の中の言葉とイラストに注目してもらうために、表紙はシンプルにすることに決めました。シンプルな中にも遊び心を入れたかったので、DESIGN BASEのテーマカラーであるグレーの紙に、ホログラムの箔で「DESIGN FORWARD Playbook」というタイトルを印刷しました。
参加できる冊子にする
今回、冊子の最後のページに、イラストをモチーフにしたステッカーを挿入しています。これはステッカーを剥がして自分のPCやスマホに貼ったりすることで、より身近な存在にしてほしかったからです。
「本」という媒体はどうしても、「本から読み手」への一方的なコミュニケーションになりがちですが、ステッカーがあることで「読み手から本」に参加できる仕様にしました。冊子を手に取った人が、自らDESIGN FORWARDへアクションできる仕組みをつくったことが、冊子をつくった意味を体現していると思っています。
完成した冊子はこちら
イントロダクションで、このPlaybookの趣旨と活用方法を伝えています。
9つそれぞれ、対応している言葉とイラストが見開きで見れます。
ステッカーはPCに貼ってみたり、
冊子自体に貼ったりして、楽しんで使ってます。
ビジョンの浸透と定着
ビジョン理解を深める言葉をつくり「Playbook」を制作したことでの成果は少しずつ現れてきてます。
わたしたちがクオーターごとに設けている成果発表の場で、このPlaybookを参考にして自分のおこなってきた「My DESIGN FORWARD」の発表をしてもらえるようになってきました。
冊子の形だけでなく、同じ内容をスライドにしておくことでURLからでも見ることができるようにしています。なるべくビジョンとのタッチポイントを増やし、身近な存在になるように工夫しています。
組織や企業に必要だとされる「ビジョン」ですが、理解されないままだったり、浸透していかない状態ではあまり意味がありません。今回はデザイナーとして、デザイン組織のビジョンを定着させる方法を考えアウトプットに落とし込んだひとつの事例をご紹介しました。
方法はこの限りではありませんが、参考にしていただけると幸いです。