音楽と写真と僕
写真にのめり込むきっかけは、大学で所属していた音楽サークルのライブの撮影でした。曲の展開に必死にくらいつき、照明の加減を見て露出を決め、演者の表情を見てシャッターチャンスを見極める。来る一瞬を逃すか逃さないかが大事な撮影です。そんな最高の一瞬を永遠にできる写真。魅了されるのに時間はかかりませんでした。しかも、撮れた写真を渡せばみんな喜んでくれる。いいことばかり。
先日、そんな気持ちを再認識できた日がありました。2,3年ほど前からよくしていただいている、シンガーソングライターの近石涼さんの初ワンマンライブ。そこで写真撮影をまかせてもらいました。涼さんは命をかけて音楽をしている、という表現が一番合うくらいひたむきに活動を続けている方で、人として尊敬している一人です。
涼さんがギターをかまえ、僕はカメラをかまえたとき、勝手にリンクできたような気がして、そこからは音楽に身をゆだねるようにシャッターを切り続けました。
音楽は一音一音の連続で成り立つのに対し、写真はそのうちのたった1/200秒ほどの短い時間を切り取ります。そこには線と点の関係が見えてきます。逆に、音楽は同じものは二度と聞くことができませんが、写真は(データが残る限り)永遠です。(これはライブに限った話で、録音することもできますが、それはあくまでも録音で生の演奏ではなくなります。)
音楽と写真。線と点。一瞬と永遠。僕にはこれら二つが切っても切れない関係に思えてなりません。音楽の最高の一瞬を切り取るための写真のようでもあるし、撮れた写真は音楽を思い起こさせるためのもののようでもあります。
このシンプルなようで複雑な関係に取りつかれて数年、今はライブを撮る機会もかなり少なくなり、撮るものも動かない道端に落ちているものとなり、音楽とは関係がなくなったようにも思えます。しかし街の景色も音楽同様、同じ一瞬は二度と来ません。僕が写真を撮り続けられる理由はこの刹那性にあるのだと感じました。その一瞬をとらえたい、思い出したい、そんな気持ちで自分の周りの美しいものにカメラを向けています。
この話題についてはまだまだ書き足りないこともあるのですが、今回のところはこの辺で。最後までご覧いただき、ありがとうございました!
最後にライブ写真を大公開!
余韻。おわり。
【今日の一曲】とりあえず聴いてください!