人気講師ノート17_スペクトル変化とボキャブラリーについて
さて、本シリーズの続きはまだでしょうかという学生からの後押しがあり,書き始めたいと思います。「PCに関する記事も書いてください。保護者に見せるので!」ということなので,後述したいと思います。
今回は,前回の続き
人気講師ノート15 ランベルト・ベールの法則の適用限界について
ランベルトベールの適用限界は「知られていなかった」ようで,界隈からは反応が良かったです。
さて,
スペクトル変化とボキャブラリーについて
横軸の500nm付近に六角形のマークがのっているスペクトルがあります。このスペクトルを【基準】にして、説明していきたいと思います。
なお、前回の授業でも説明したように,縦軸の大きさで色の濃淡が決まります。
濃色効果(hyperchromic effect)
:横軸(波長)の変化はなく縦軸が大きくなる
淡色効果(hypochromic effect)
:横軸(波長)の変化はなく縦軸が小さくなる
続いて,横軸(波長)が変化することを説明します。
深色効果(bathchromic effect)
:波長が長い方向へ変化すること
浅色効果(hypsochromic effect)
:波長が短い方向へ変化すること
ただ、この深色効果と浅色効果はあまり使う言葉ではありません。より使う言葉としては,
深色効果 = レッドシフト
浅色効果 = ブルーシフト
がより使われる言葉です。
なぜ、レッド?やブルー?かというと、非常に簡単わかりやすいです。
講義3で説明したように、波長が長いとエネルギーが小さく赤外線よりの光であり,逆に波長が短いとエネルギーが大きく紫外線よりの光といえます。
そのため,波長が長くなる深色効果は【赤】外線側にシフトする。つまり、レッドシフトの事です。
波長が短くなる浅色効果は【紫】外線にシフトする。紫外線側は青い色も含んでいますので,ブルーシフトとなるわけです。
ブルーシフトやレッドシフトは、学会でもよく使われるワードですので、意味とともに理解しておきましょう。
さて、紫外可視吸光分析では,主として以下の遷移を取り扱います。
π→π*;主として有機分子(C,H,N等)
n→π*;主として有機分子(C,H,N等)
d-d遷移; 遷移金属が関与
これらの遷移は、我々に色(光)として認識できうる波長領域のことでもあります。
発色団(Chromophore)と助色団(auxochrome)
発色団の字のごとく,発色団が色を【発する】のです。
上記のd-d遷移を除けば,可視領域で【色】を発するのは【π結合が関与】しています。
つまり,π結合とは,不飽和結合だし,二重結合と三重結合
の事です。この骨格部分を発色団(Chromophore)と言います。
助色団とは,発色団のピークをレッドシフトしたりブルーシフトする官能基の事を言います。
発色団の自由電子の非局在化を促進 > 電子をより低いエネルギーで動かす(遷移) > 吸収を可視領域にシフトする。という感じです。
電子供与性(electron donor)官能基として
電子受容基(electron acceptor)官能基として
次週は、共役すると,なぜレッドシフトして,濃色効果が起きるのか?
や
指示薬が色が変化する理由 (構造が変わるからっていう回答をレポートで書いてきますが・・・それだけではつまらないです)
上記内容をYouTube動画としてまとめました。ながらで学んでいただければ幸いです。
本文は以上です。
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