有効核電荷と遮蔽から始まる単元一覧「基礎化学から無機化学」(動画で理解Vol. 4)
さて,高校化学で学ばない「有効核電荷」と「遮蔽効果」があります。
計算問題はしなくていいので,概念ぐらいは教えれば良いのにと思っています。
原子核の正電荷と電子の負電荷で「静電的な相互作用」が働いています。
想像してください。
原子核と電子が、1:1で静電的な相互作用をしている場合と
原子核と電子が,1:10で静電的な相互作用をしている場合だと
電子の感じる【原子核からの正電荷】に「差」があるのはなんとなくわかるかと思います。
また,原子核に近い電子と遠い電子でも【原子核からの正電荷】に「差」があります。
この概念を言葉にしたのが,有効核電荷と遮蔽効果です。
有効核電荷は,多電子原子において,最外殻電子(あるいは注目する電子)が中心の原子核から感じる電荷の事です。
別名,カーネル電荷とも言います。
原子核に近い電子は,有効核電荷が大きくなります。
一方,原子核に遠い電子は有効核電荷が小さくなります。
さて,前回の記事「電子殻と原子軌道の関係を明らかに。「基礎化学から無機化学」(動画で理解Vol. 3) 新学習指導要領から大学院試験対策まで」に続いてYouTube動画の概要説明です。
#5【11分】有効核電荷と遮蔽とスレーター規則
上記で「有効核電荷」は説明しました。
遮蔽効果とは,電子間の反発による内側の電子が外側の電子に及ぼす「邪魔」の効果です。内側の電子が中心の核電荷を遮蔽するため,外側の電子が感じる核電荷の電荷は小さくなります。
また,スレーター規則は,この有効核電荷と遮蔽を定量的に議論するための計算式です。
#6【9分】原子半径の規則性
周期表において,横方向を「周期」,縦方向を「族」と言います。
原子半径を考えるうえで
同周期で電子が増える(右方向)と,原子半径はどうなるのか?
同族で電子が増える(縦方向)と,原子半径はどうなるのか?
が,学ぶ上でのポイントです。
電子が増えると「原子半径」は大きくなりそうなものですが,
同周期においては,「原子半径は小さく」なります。
この理由が【有効核電荷】とも言えます。
#7【13分】イオン化エネルギー
イオン化エネルギーと原子半径には密接な関係があります。
一見,関係のなさそうな原子半径とイオン化エネルギーですが,原子半径は【有効核電荷】が影響していましたよね。
有効核電荷がわかっていればイオン化エネルギーの不規則性についても納得できます。
また,半閉殻と閉殻構造がここでも出てきます。
フントの規則による半閉殻でエネルギーがどうなるのか?
ここが面白いところです。
学問を「点」として理解するのではなく「線」や「面」として連携していることが実感できるかと思います。
#8【11分】電子親和力
考え方としては「イオン化エネルギー」と真逆の【電子親和力】についてまとめています。
「電子親和力」とは,電子を受取るさいに放出するエネルギーです。そのため,電子が1個入ることで安定化しやすいものと安定化しにくいものがあります。
まさに,半閉殻と閉殻が関係してきます。
第2周期では,p2とp5
第4周期では,d4とd9
ですよね。動画を見れば,電子親和力が「ガタガタ」した曲線を描くの納得できます。
#9【7分】イオン半径
有効核電荷と「原子半径」の関係
イオン化エネルギーと電子親和力
を学んだうえで,イオン半径を学ぶことで理解が「ズッン」と深まります。
また,イオン半径は,18世紀ごろに電子が理解されてきた背景がありますので,多くの科学者が「イオンの半径」について論じています。
有名どころではポーリングのイオン半径ですが,ゴルトシュミットやシャノンも大学では学ぶことになるかと思い紹介しています。
#10【10分】イオン化エネルギーと電子親和力はどちらが大きいか?
イオン化エネルギーは,電子を抜くのに必要なエネルギー
電子親和力は,電子を入れた際に放出するエネルギー
このイオン化エネルギーと電子親和力は,エネルギーを出し入れの関係があります。
エネルギー保存則が成り立ちそうですが,そのエネルギーには大きな差があります。
このエネルギー差が大きい理由,およびエネルギーの大きさが逆転する原子があるので,説明しています。
電子親和力がイオン化エネルギーに比べて小さい理由を答えなさい。
この問題を出せば,イオン化エネルギーや電子親和力を理解しているか判断できるかと思います。
本記事は以上です。
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