人気講師ノート4 光にもてあそばれる タバコの海洋汚染についても
【紫煙】をくゆらす。
【タバコの煙】を緩やかに立ちのぼらせる。という意味です。
タバコの煙の色は紫なのでしょうか?
これは、雲が白く、空が蒼く、夕焼けが赤い理由と同じです。この白や蒼や赤の理由については、todorokiさんが書いてあったので、そちらをご覧ください。(*他の記事も楽しいものばかりです。ぜひご覧ください。)
さて、【タバコの煙が紫の理由】においても、【レイリー散乱とミー散乱っという光の散乱現象】が関係しています。
レイリー散乱とは、光の波長よりも【小さい】粒子による光の散乱のことです。青空の理由を説明する際によく出てくる散乱です。
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ミー散乱は,レイリー散乱とは逆で,光の波長よりも【大きい】粒子による光の散乱のことです。ミー散乱は雲を形成している水蒸気などの大きい粒子によっておきます。ミー散乱は散乱強度(散乱する度合いみたいなもの)が全体的に弱く,すべての色の波長が散乱されるために,白く見えます。
以下の図は,波長と粒子サイズの関係を示すものです。
*G. W. Petty, A First Course in Atomospheric Radiation, Sundog Pub; 2006
我々が色を認識できる波長領域の光のことを【可視光線】と言います。これは前回のノートに書きましたね。
上図の可視光領域(□で囲っている部分)は,空気分子や一部のスモッグ・ダストはレイリー散乱です。水蒸気である雲・霧等はミー散乱に分類されることが分かると思います。
まとめると,可視領域の光は
粒子が小さいとレイリー散乱が起きる >> 青い(紫)
粒子が大きいとミー散乱が起きる >> 白い
さて,煙草の煙はどうでしょうか??
煙草の先端から出ている煙は,【青いんです。】
*意識してみると、結構青いです。
一方で,口から吐き出される煙草の煙は【白いんです】。
この色の変化の理由は,上記のレイリー散乱とミー散乱がわかれば簡単です。煙草の先端から出る煙は,小さな粒子(スモッグやダスト)による散乱ですので,青い光を散乱します。そのため,青っぽく(紫っぽく)見えます。
一方で,吸い込んだ小さな微粒子は,肺の中の水蒸気とくっついて口から吐き出される際に,【粒子サイズが大きく】なります。結果として,ミー散乱が起きますので,口から吐き出される煙は白っぽく見えます。
煙草の先端から出る煙は【青っぽく(レイリー散乱)】,
口から吐き出される煙は【白(ミー散乱)】に見えるということです。
煙草の煙を【紫煙】というのも,これが理由かもしれませんね。
違う?
私も禁煙2年目となります。以前は,タバコミュニケーションがとても必要だったのですが,最近は必要なくなって,寒いしタバコやめるかで2年目となりました。読者の中でも、煙草を嫌いな方もたくさんいると思います。空港やホテルなどで,喫煙者に同行せざる追えないタバコミュニケーションの状況になった際に,思い出していただければ
この話がネタにもなりますし,光の遊びを見ることもできます。
煙草を吸う飲み会ですと結構ウケますよ。
最後に,米国ハワイ州では【煙草の購入年齢を2024年までに100歳】にしましょうという法案が2019年より審議が始まりました。当然,国民の健康によるものが大きいとは思いますが,
煙草のポイ捨てによる海洋汚染が懸念されています。煙草の口元のフィルター部分はセルロース系の繊維状プラスチックを使っています。
煙草の繊維状プラスチックは,マイクロプラスチックの原因です。
スタバ等がプラスチック製のストローをやめましたが,煙草のフィルターのほうが大きな原因です。(統計データの論文がどっかに行ってしまった…)浜辺の吸い殻を再利用しようという活動もたくさんあります。
ポイ捨てはやめて,マナーを守りましょうね。
本文はここまでです。
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学生から大好評だった授業ノートを公開します。役立てていただければ幸いです。また,家でできる実験も書いていきますね。