机上で随想「メリケンサック」
メリケンサックといえばパンチ力を高める事に特化した、というかそれ以外の応用がそもそも一切ないまさに不器用な男の中の男。
そんなメリケンサックだが、1個誰も触れてない重大な疑問がある。
あなたは一つだけ武器を使った戦い方を極める事が出来るとして、メリケンサックを選びますか?という話である。
メリケンサックを装着すれば素人でも瓦を割れるほどの破壊力を出せるらしい。それを例えばプロボクサーなどが装備したらそこらの鈍器も顔負けの威力が出るだろう。
だがそれは瓦のような割られる運命を受け入れた無機物に限った話。
こんなん肉球である。
リーチがあまりにも無さすぎる。
それでも己のパンチを信じパンチと向き合うための装備とも言えなくもないが、だったら何も無い方が格好がつく。
王道の武器である刀や槍が飛び交う中メリケンサックに出来ることと言えばせいぜい正確な握力測定だろう。
メリケンサックの明確な弱点の一つに見栄えの悪さがある。派手な技を繰り出そうが「それは持ち主の筋肉がすごいんでしょ」としかならない見た目をしている。
武器の団体戦があったとして確実に先鋒だろう。
メリケンサックといえば何となくタイマンのイメージがあるが、大体の長物に勝てそうにない。
負けたとしても「ただでさえ穴ボコ相手に大人気ない…」とギャラリーに思わせる事は出来そうだ。
そんなザコ間取り(1K)だが、武器の世界が無理でももう一つ生きていける道がある。
ファッションである。
正直これをファッションにしてる人と深く接したくはないが、事実指輪みたいなノリで色んなデザインがある。
そんな武器界のゴールデンボンバー、一体どんな感じに生まれ変わっているのだろうか。
このユーモアである。
しかもユーモアの分夢だったリーチが長くなるという皮肉。
Duolingo?
指を全て入れることすら諦めてしまった。メリケンサックにとっては苦渋の決断だろう。ファッション業界はこだわりだけでは生きていけないのだ。
いくらいい人でもこんなんがチラッと見えてしまったら距離を置くと思う。
ただ、いつでも携帯しておくことで万が一出先で団体戦が始まってもすぐに先鋒を務めることが出来るメリットもある。一長一短だ(リーチないけど)
そんな第2の人生を歩み始めたメリケンサックだが、彼には大きな課題があった。
条例である。
どれだけ身なりを整えようがメリケンサックはメリケンサックなので、所持は普通に軽犯罪法違反であった。
メリケンサックの明日はどっちだ。