産業医からのにじいろ処方箋(#23 同性婚を巡る憲法議論についてざっくりと解説する)
【憲法24条に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」と書いてあるのだから、同性婚は禁止されていて、憲法改正をしない限りは同性婚は実現しません】とかいう誤解を撒き散らしている人達は端的に言って恥ずかしすぎます。
某新聞社までもこんな誤情報を流布しているわけで世も末です。
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241102-OYT1T50001/
憲法24条はかつて婚姻に際して家長の同意を要するなど個人の尊重に欠けていた状況を打破し、両当事者の合意を重視するという趣旨でつくられた条項で、男女の婚姻に限るという内容ではないのです。
当時は同性愛は病理化されていた時代でもあるので、同性婚は「想定されていない」状況だったにすぎません。
(そもそも被告の国ですらも、憲法は同性婚を禁止しているという主張はしていません)
子を生み育てることを保護するということが婚姻の意義であるという事自体は否定しませんが、実際には子を持たないカップルも保護されており、子の養育だけでなく親密な2人の関係を保護し社会的な承認を与える機能があることは直感的にも理解出来るところではないでしょうか。
また反対に同性カップルであっても子の養育を行うケースもあり、自然生殖ができないことをもって保護の必要がないというのは明らかな間違いです。
話はそれますが、「同性カップルが子どもを育てるなんて子どもがかわいそう!自分たちの私欲のために子どもを利用するな!」とかいうウルトラ妄想心配星人が現れることがあるのですが、同性カップルの子どもの発達や家族機能は異性カップルの子どもと大差ないことが研究で分かっています。
gh.bmj.com/content/8/3/e0…
親の性別や構成にかかわらず子どもが幸せに生きられるようにするのが大人の役目だと思います。
国会で議論すべきだとか新聞の社説で偉そうに言われていますが、日本政府の方針は「注視する」の一点張りです。
これまで国会にも法案は出されていますが審議されずに廃案となっています。
もう何年注視し続けているのでしょうか。議論が必要なら具体的に議論をしていただきたいものです。
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産業医からのにじいろ処方箋
産業医・産業保健職を主な対象として、企業の人事・労務担当者に知っておいてほしいLGBTQ+の基礎と健康問題、インクルーシブな職場作りへのヒ…
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