郷の味
ようつべの韓国まちあるきライブ配信を見て、以前から気になっていた襄陽のことを調べてみた。
襄陽、なんとなく海のイメージを持たれがちだけど襄陽市街地は江原道北部の山から流れてくる谷筋の集まるところに邑城が築かれ郷校も置かれる「山の拠点市街」だったので、本来の名産品は山の松茸・山菜と川のハゼ(ウキゴリ)でチュオタン/どじょう汁的なハゼ汁「トゥゴリタン(뚜거리탕)」が名物料理ということなんですね…。
さて襄陽の町自体は山の属性だけど襄陽郡全体で見れば海辺が続いているので各漁港での「海の名物」もあり、ムール貝がよく獲れるのでニラやセリなどの香味野菜と煮て貝汁にしたものや、コチュジャン・テンジャンで蕎麦入り麺と煮たジャン(醤)カルグクスが「海の属性の名物」で、今はこっちがメインになっているということなんですね…
韓国・江原道の北側にある襄陽、その地理的条件から朝鮮戦争禍での北側からの避難民も多くいたようで分断固定化で帰郷できなくなった「失郷民(シリャンミン)」の居住があり、その中で咸興出身の人たちが江原道高原地域で産するじゃがいもと東海岸で獲れるカレイを使って咸興冷麺を再現、それが襄陽邑のもうひとつの名物料理になっていると…
現代韓国での咸興冷麺、ガンギエイ刺身のヤンニョム和えを載せたピビンネンミョン(混ぜ麺)のイメージがあり若干のゲテモノ感もありますが本来はカレイやスケトウダラなど歯応えのある白身魚の刺身を使うもので、同じ江原道東海岸部でも襄陽郡の中心都市となる襄陽邑ではそのうち高級なカレイを引き継ぎ、港湾都市の束草は手に入りやすいスケトウダラ(明太/ミョンテ)を使うスタイルと差が出ているいうことだそうで(束草は元は襄陽郡道川面だったのが港湾開発で発展し市として独立)、興味深く思うのと同時に様々なところに国の分断が響いていて今に続いていることを実感して、なんとも複雑な心境になるのですよね…
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