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7年ぶりの訪韓ドタバタ劇【16】京畿道大探検-やらかしからの楊州郡グルグル

 延々と続けている6月の訪韓記ですが、いよいよ佳境に…

 ということで3日目にして本格的にソウルから遠出し京畿道の都市部の北端となる東豆川のマチをちょっと覗き、ここからバスを乗り継ぎ乗り継ぎで京畿道北部の「西の端」を目指していく算段でしたが「プチやらかし」があり予定が崩れ…

 乗る予定だった場所とは違うバス停だけど運行情報を確認していても一向にバスが現れず(始発地点の出発時刻は決まっているバスで始発から2つめのバス停なので本来は遅れることはないはず)なんじゃらほい…まあ韓国のローカルエリアだしあまり慌てず騒がず待ってみようと思いバス停にたたずんでいたら…

 マウルバス(コミュニティバス的なローカルバス)なので扱いが少々雑なのは承知していましたが、まさか始発の時点で15分以上遅れるわ運行管理・支援および運賃収受システムの電源すら入れずに走ってくるわは「はじめての衝撃」()そして運転席の周りにはご家族が同乗(どうやら暇潰しで便乗している様子)でお喋りが止まらない…乗客は私以外におらず道路も渋滞は無かったので、この家族を乗せるために待っていての遅延かよコノヤロウ(苦笑)
 おまけにマウルバスはクン市場の道を経由する(市場直結で買い物の便を図る施策)ことになっているけど5日市の開催日は「まともに走れない」ので別ルートになっていてその掲示もろくになく、まあほとんど決まったヒトしか乗らないので問題はないのでしょうけど、プチやらかしがなく駅へ向かわず予定のバス停で待ってたら「乗れない」ところだったわ…(プンスカ

 と、まあ移動の出だしからトラブルはあるも乗ってしまえば楽しいバス旅()

 弾むおしゃべり、弾むアクセル、弾む乗客………いやいやいや、そんな速度を出すような道じゃないのよ…こんな速度で走るバスじゃないのよキサニム(기사님/技師さん)…

 と大はしゃぎしていて、忘れていたことがありました…

 本来は南面(シンサンリ/莘山里・莘は草冠に辛)で降りて莘山5日市が立つ場所(2・7の付く日が開催日なのでこの日は開催なし)の雰囲気をちょっと見て、一般バス25-1番に乗り換えて次の目的地へ行こうと考えていたのですが(25-1番は30~40分毎に運行)爆走するマウルバスに揺られ過ぎてハイになって乗り換えをすっかり忘れ、ふと気が付いたのは湘水里を過ぎて暫くしてから。アイゴ!またまた「やらかし」案件や…

 どうしよう、速攻で降りて湘水里へ引き返すべきか…と運行情報を調べるもこの区間のバスは全てマウルバスで2~3時間毎とか1日数本の系統ばかり。これは「降りたら最悪2時間バスなし」のドツボの可能性も…

こんな車窓の場所なので…

 ええい思い切って終点の広積面(佳納里)まで行こう!ここは一般路線バスも来る運行拠点地!ということでそれに賭けて…

さて…

 やってきました佳納里のマチ。けっこうな山の中なのにしっかり「都会風味」で、朝鮮王朝中期から主要市として記録がある加羅非/鍬橋5日市が立つ歴史の裏付けのあるマチ場だとしてもこれはちょっと意表を突かれた感…

遠くの山容が印象的
一般路線バスも来ます
この通りと奥に見える空間が「カレビ5日市」の場

 本当は来る予定ではなかったけど、なんか、来てよかったなぁ…と思いながら見る川の流れ。

王朝時代から市場の横を流れていたのでしょうね…

 帰国後、そういえばここのカレビ5日市は日本統治時代の記録では鍬橋となってるのだけどこれが何でカレビ?と思って調べてみたら、鋤の韓国語が가래/カレなので鋤にまつわる意味で가래비(もしかして鋤にまつわる碑石転用の橋?)で、日本統治下で漢字を当てるときに鋤と鍬が転んでさらに湿地を意味する湫ともゴッチャになった、のか()と推測したけど、楊州市公式では「갈/ガル」が由来で가래비は「分かれ道・道が分かれるところ・二つの道に分かれるところ」というような意があり、これに(日本統治時代に)漢字を当てる際にブレた、と説明されています。確かに分岐路ではありますね…

固有語地名に漢字を当てた際にありがちな案件

 さて、ゆっくりもしていられない状況なので、先へ向かいますまたマウルバスで…

 いろいろ検索した結果、マウルバス14番で湘水里へ改めて出て25-1に乗り継ぐのがベターということで14番マウルバスに乗り込みます。

 14番マウルバス、コミュニティ/ローカルバスの括りではありますが高規格道をガンガン飛ばしてゆきます。そして車窓に往々にして展開するのが「高い目隠し塀」そして「鉄条網」…

 ああ、そうか…。マップサービスを見ていても気付かないのだけど、北の脅威に隣接する地であり米軍の駐留だけでなく韓国軍の拠点地域でもあり、軍需産業が多数立地しているのだ、と…。軍関係や敏感な地域のインフラ拠点は韓国では地図に「不記載」となるので見えていなかったけど、東豆川市だけでなく楊州市のエリアも「軍需産業都市」だったのだ、と…。
 気が付けば軍服を着た若い子が何人かバスに乗ってきては降り、という状況で「そうか、この軍需産業関係者の『生活・消費・娯楽拠点』の一端」がカレビ/佳納里なのか…と。

なるほどねぇ…

 そんなことを思いながら重苦しい鉄条網と灰色の諸施設を車窓に眺めつつ着いた、湘水里。

 地図で見たら中山間部の閑散エリアに見えるのですが、道路は通行量も多く軍用車そして産業車の通行がやたら多く、地図に載らない実態を再認識。ああ、日本にいたらあまり意識しないけど「軍」そして「国防」というのは、こういう一面もあるのだよな…と色々と考えながら5分後に来そうな25-1番を待つ湘水サゴリ(四差路)バス停の一幕。

 記事を書くにあたって改めて調べてて、そういやマウルバス3-1に乗って通り過ぎた莘山のマチ、いうほどの集積感でもなかったよなぁ佳納より印象に残ってないなぁ…と思って調べたところ、元々は湘水里にあった笠岩牛市場が洪水多発で1950年代末に廃止となるも需要は根強かったのか場所を莘山に移して再開、その後一般市場となってゆき1970年代に軍の部隊が置かれ軍需産業も興ったことから規模が大きくなり今に至る、ということだそう。なるほど昔の湘水里は一定の拠点性があり、故に道もバスルートもここに一旦集約されるような形になったのか…

なるほど1912年の地形図にありますね笠岩場基…
(場基/ジャントは市の立つ場を示す語)

 そんなこんなを知らなかった訪韓時、バス乗り換えに必死でほとんど周囲を見れていなかったのが残念。カッパウィの郷…

 さて本来の乗り換え先となる京畿道一般バス25-1番に「ようやく」乗り、本来乗り換える場所だった莘山里を「ふたたび」バスで通ります()

マチの入口は地方部のロードサイド市街地な雰囲気
中心部は市街地らしい風情

 見ようと思ってたマチも一応は見られて、さらに色々と得るものの多い「やらかし」を経た満足感というか乗るべきものに乗った安心感をひととき味わいながら、山へ分け入るバスに揺られます…(このあともバス乗り継ぎ「限界にチャレンジ」は続くのですがそれは次項で)

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