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寝ても醒めても
今の香りは鼻が詰まってわからない。
ただ、
エアコンの水がポタポタと頬に落ちてくる。
冷たいが、実態のない水滴。
霧ヶ峰なのになぁ。
1時間ごとに吸うように調整している煙草は
過ごす時間が退屈すぎてどんどん縮まり、
もう数分ごとに吸っている。
千鳥の大吾が言ってた、
残り8本を切るとつらい。
でも今日は醜いから、
コンビニに煙草買いに行けないなぁ。
見たかったテレビは煌びやかで、眩しくて、
私は直視出来なくなってYouTubeを
テレビに繋いで精神不安定ソングを
かけている。
あの芸人さん、あのパフォーマンス、
リアタイするって決めてたのに。
録画しといてよかったなぁ。
今は7月。そうらしい。
気づいたら今年の半分が終わっていた。
こうして毎年時が経っていく気がする。
睡眠薬が効いてきたのかな、
ぼんやり意識も不安定になる。
峯田があの子は睡眠薬が好きと歌っていたな、
あれ私のことだったんだぁ。
魂がゆらゆら、どこかへ飛んでいく。
私を置いて。
そこは知らない街の、
高速道路のトンネルの手前のような場所。
魂のない私、
いや、
私じゃない私が歩いている。
正面から白いパーカーのフードを被った男と
すれ違う。
すれ違った、はずだった。
痛い。
私じゃない私は少し微笑んで、
「もう少し君といたかったなぁ」と残した。
魂のない私を殺した男は、
「誰でもいいから殺したかった」
とありきたりな発言をしたらしい。
私の、僕の、魂はどこへ行ったのかだけ
教えてほしい。
私はそれを探しにいくから。