UXデザイナーが己(UXデザイナー)を定義する
GoodpatchでUXデザイナーをしています。普段はmediumでブログを書いているのですが、日本語が読みづらいので、noteに綴ってみることにしました。
概要
この業界にいると、言葉の定義が曖昧であったり、個々人で確固たる定義を持っていなかったりすると、そのもつれが後々影響を及ぼすようなことが多々ある気がしています。私は自己紹介の際に自分をUXデザイナーと名乗っています。ではそんな私はUXデザイナーをどのように定義しているのでしょうか。を解き明かす会。
UXデザイナーとは?(一般論編)
ぐぐってトップに出てきたのがこれでした。
Job Discriptionから読み解く、一般論
Job Discriptionを見てみます。
UXデザイナーとはビジネス要求及び技術的制約を理解し、ユーザーリサーチやインタビュー、サーベイを実施し、それをサイトマップ、CJM、WF、プロトタイプに落とし込める人材。更に、理想的なユーザー体験を実現するためにプロダクトの全体における機能をデザインすることが出来る。なおかつユーザーテストを通して改善を繰り返すことが出来る人。
と書いてあります。これを見てわかるように、包括的かつ横断的です。正直全てのプロになるのに15年くらいかかる気がしてきます。
要は、企画→デザイン(開発抜き)をEnd to Endで見れる人。という定義なのだと思います。一般的な定義はこんな感じに落ち着くだろうな。というところです。
UXデザイナーとは?(僕の思うUXデザイナー編)
UXデザイナーは大きく分けて二点デザインする対象があります。それは、チームとプロダクトです。チームのデザインと、プロダクトのデザインにおける要素を言語化してみます。
チームのデザイン
UXデザイナー一人ぽっちでは基本的に何も出来ません(というか私は一人では何も出来ません)。チームが必要です。
社内もそうですし、社外ステークホルダーもそうです。デザインに携わったことのないクライアント、広告系のデザインを専門に関わってきたクライアント、デジタル領域に疎いクライアント。等属性は様々です。
ただここで一つ、僕が絶対にしたくないと思っていることがあります。それは、『クライアントを否定すること』です。
デザインについて全然わかってくれない!とか、意思決定が遅い!とか、古い!とか、変えられないことに目を向けると日が暮れます。私達が信じる価値観は「デザイン」ですが、クライアントの価値観はそうではありません。価値観の違う相手にそれをインストールするのは容易いことではないです。
とはいえ、それをインストールするのがUXデザイナーの仕事です。価値観を変えることについて考え始めた時、昔別れた彼女に言われた言葉を思い出しました。それは、「人は変わらない」です。100理あると思います。ただしそれは条件付きです。「(変わるきっかけがない限り)人は変わらない」が正しい言い方なのではないでしょうか。そして、その変わるきっかけは、外発的な要因だと殆どの場合結局のところ変わりません。人に言われた程度じゃ人を動機づけるには不十分です。ただ、内発的な場合は別です。変われます。あ、自分の内側のこれが原因だったのか。自分で気づいた場合は人は変われます。組織も同じです。
少し話がそれましたが、UXデザイナーを名乗り、クライアント(及び組織)にデザインの価値観をインストールしたいのであれば、デザインをクライアントにとっての外部刺激とするのではなく、クライアントが「デザインの価値」に内発的に気づく必要があるのです。
具体的にどういうことかというと、ミニマムでスピーディに出すのがいいよ!!とか、ターゲット決めようぜ!!と口で言うのではなく、一度クライアントの言うとおりに作り、ユーザーに一緒に見せ、ユーザーから「うわ何これモリモリじゃん」と足蹴にされる経験を一緒にすると。誰しも「たしかにシンプルな機能が重要なんだ」となるわけです。それを何度も行ってもインストール出来ない場合ももちろんあると思います。それはもう価値感も違うし、お互い寄り添う意思もないのであれば一緒にやるのが間違いです。
デザインに携わる人が「デザインわかってない人マヂムリ」のような態度を取ると、価値観の押しつけにしか聞こえなくなってしまいます。デザイナー側から寄り添う意思が足りてないからなのでは?とも思います。デザインは特効薬ではないし、クライアントに融ける存在であるべきです。クライアントの内側からデザインの価値を感じる空気を意図的にデザイン出来るのが優秀なUXデザイナーなのではないでしょうか?そのために、クライアントと共にユーザーに足蹴にされる痛い目見よう!というのが私の中での解です。
プロダクトのデザインの4要素
UXデザイナーは、チームをデザインすると同時に、プロダクトもデザインします。(大変ですねw)ワイヤーフレームだのモックアップだのは、一種デザインにおける手法、手段です。それぞれの抽象レイヤーとして、何をデザイン出来れば一人前のUXデザイナーなのでしょうか?4つあげてみました。
・課題
・理想的なユーザー体験
・コンセプト
・ビジネスモデル
課題の特定
ユーザーの課題を特定する際、主観を入れずに判断出来るのが優れたUXデザイナーだと考えています。
課題を特定するための手段としてインタビューやAs is CJM等があります。ここで一つこのワーク意味ある?と思うワークがあって、5人インタビューを実施し、5人のペルソナが出来たとします。それを1つにまとめて空想のペルソナとすることたまにあるじゃないですか。あれはこちらの主観が入るので正確さに欠けると思うのです。課題とリアルな(この世に存在するという意味でリアル)ユーザーは、1対1で対応していて、このソリューションは、インタビュー3人めのここの課題に刺さる!というコミュニケーションのほうが解像度が上がるし、少なくとも一人には刺さるプロダクトになるし、確度が高いように思います。だから私は普段インタビューの結果をまとめあげるというよりは、別々の個として処理することが多いです。UXはあくまで主観なので。(行動はある程度似通うので、CJMはまとめとして書きますが、理想的にはCJMもユーザーに1対1で書きたいです)
理想的なユーザー体験
UXデザイナーの主観も入れながら、「わたしはこうあるべき」だと思う理想をデザインし、ユーザーに渡し、否定され、ブラッシュアップするまでがUXデザインです。
とはいえ、理想ってなんでしょうか?ユーザーにとってですか?おそらく100%Yesではないと思います。ユーザーと課題は1対1で対応しますが、理想的な体験の前には、UXデザイナーである「あなた」の主観が入ります。それを認知しないとこんがらがります。私はこれが理想的だと思う!というある種の押し付けが1枚挟まり、ユーザーがそれを受け取り、「これは良い!」と言うことで初めてそれは理想的な体験になります。つまり理想的な体験は検証しない限りユーザーにとっては永遠に仮説です。しかも面白いのが、大体の場合、UXデザイナーの思う理想は、ユーザーによって否定されます。UXデザインはここが面白いのです。「まあこうなるやろ」という予定調和を作りすぎない余裕もUXデザイナーのスキルの一つなのではないでしょうか。
コンセプト
私は、コンセプトを、チームにおける ものづくりにおける価値観 だと考えています。勉強不足なので割愛しますが、UXデザイナーがデザインストラテジストになるための鍵がココな気がしてます。勉強します。
どんな機能、体験を決める場合も意見は割れるものです。しかし、ステークホルダー全員が必ず合意をしている必要があるものがコンセプトだと思います。合意どころか、帰り道に口ずさむほど愛するものがコンセプトであるべきです。そしてそれは特定した課題と、理想的なユーザー体験を包括した概念であるべきで、チームという車の燃料になります。身の回りの見渡していても強烈で共感度の高いコンセプトをもつプロジェクトは上手くまわるし、チームの満足度も高く、ソリューションも一貫しています。結局一人では何もできない私達UXデザイナーにとって、コンセプトを作れる。というのはチームという車に燃料を注げる最高の要素です。コンセプトプランナーとしてのスキルも、得ねばですね。
ビジネスモデル
勉強不足なので軽く触れるに留めますが、我々が期待されていることはあくまでビジネスとして成功することです。当たり前ですが、クライアントのビジネスを誰より理解しているのはクライアントです。それを忘れてはいけません。そこで我々UXデザイナーが必要とされているのは、ビジネス(ファイナンスも含め)の基礎の理解、及びクライアントのビジネスに対する好奇心を持っている必要があります。企画職であるUXデザイナーは、デザイナーでもありビジネスマンでもあるべきです。
UXデザイナーがデザインストラテジストになるための鍵がココな気がしてます。ココに関しては今後勉強していきます。
さいごに
UXデザイナーとはなんぞや?をとりあえず今の全力で言語化してみた。定期的にアップデートしていこうと思います。noteデビューでした。
そういえば、今晩はCXOナイトに行きます。楽しみです。
Twitterもよろしくおねがいします!
よろしければサポートお願いします!集まったお金でいい記事を書くための書籍を買いまくります。