ドキュメント岐阜羽島軍10.4決戦 プレーボール〜2回ウラ

18時少し前、あまおう選手がマウンドに上がる。

彼の投球練習には独特のルーティンがあった。彼の利き腕は左腕であったが、右手にはめているグローブを外し、右手で3球軽く投げてから左に戻して5球投げる。そして最後に一回人を殴るような素振りをして精神を整える。

18時ちょうど、審判のプレイボールのコールと共に試合が始まった。

ふじみ野ポヨ達のスタメンは以下の通り。
1.中村ポヨ也(三)
2.ポヨ谷ポヨ平(指)
3.ポヨナンデス(左)
4.マーくんのポヨバーガー(一)
5.ポヨ(公式)(右)
6.ポヨわさ(中)
7.ポヨッテリア(ニ)
8.ポ太郎(遊)
9.深田ポヨ美(捕)
投.ポヨ揺れ
監督.ポヨンス

1回の表、打席には先頭打者の中村ポヨ也選手が入る。
あまおう投手が構え、第一球を投じる。

高めに浮いた球を中村ポヨ也選手は見逃さず痛烈に叩くと、打球は大きな弧を描いてライトへ飛んだ。ライトのイツキ選手は追うのをやめ、打球はフェンスの上を超えていった。

先頭打者ホームラン。
優勝を決める試合は試合開始1球目から動いた。
あまおう選手は薄ら笑いを浮かべながら首を傾げた。いきなり完封はなくなっちゃったな、と思いながら気持ちを切り替える。

あまおう選手は切り替えがうまかった。続くポヨ谷ポヨ平選手、ポヨナンデス選手、マーくんのポヨバーガー選手を三者連続三振に仕留め流れをふじみ野ポヨ達に渡さなかった。
あまおう投手がベンチに戻ると、捕手のポヨ選手から「ホキID控」と言われたという。

岐阜羽島軍のスタメンは以下の通り。
1.岐阜(中)
2.あきやま(一)
3.みきちゃんさん(三)
4.ポヨ(捕)
5.にとも(二)
6.まとも(遊)
7.すこやか(左)
8.イツキ(右)
9.かなち(指)
投.あまおう
監督.しーな

1回ウラ、岐阜羽島の攻撃は岐阜選手から始まった。
ふじみ野ポヨ達先発はポヨ揺れ選手。名前の通り揺れながら落ちるナックルボールを得意とする選手だ。

第1球、自分も先頭打者ホームランをと力んで強振するもナックルボールに擦りもせず空振り。この時点で恥ずかしさのあまり何も考えることができなくなった岐阜選手は三振に倒れる。

続く2番あきやま選手は四球を選びワンナウト一塁の場面で打席には3番みきちゃんさん選手。
カウントツーツーからの5球目をうまく打ち返しレフトへのシングルヒット。

チャンスで4番のポヨ選手に回る。調子がいい時も悪い時も4番に固定され続けたことでしーな監督は叩かれ続けていたが、最後の試合まで4番を任せた。

初球から勝負に出た。振り抜いた打球はセカンドの正面をつき463のダブルプレー。これには羽島スタヂアムにかけつけたファンからもため息が漏れた。
ベンチに戻る際にはふじみ野ポヨ達のスパイだのしーな辞めろなどのヤジが飛び交い、いつもに増して球場全体が殺気立っているのが如実に現れていた。

2回表、特に見せ場なし。

2回ウラ、先頭のにとも選手が打席に立つ。
絶対に初球はストレートとヤマを張り、ボールを待ち構える。

ポヨ揺れ選手が投げたのは、ストレートだった。

大きな打球は誰もが確信したバックスクリーン直撃の特大ホームランになった。
にとも選手は狂喜乱舞しながらダイヤモンドを一周。

が、三塁ベースを踏んだ際に足をグネり、転げてしまった。歓喜に沸くスタヂアムが一瞬静まる。それでもそのまま立ち上がりホームベースを踏み、これで1-1の同点。

ベンチに戻って足を確認すると、だいぶよくない色になっており、コーチ監督その他選手もここまでか…と思っていたが、にとも選手は滝汗をかきながら自分やれます、やらせてください、と固い意思で出場を志願。これには監督もこいつインプレイ中の怪我でもないのによくWBCの時の源田選手みたいなこと言えるな…と思いつつ、出場継続を許可した。

つづく




いいなと思ったら応援しよう!