主に読んでます
今日は土曜日ということで、落ち着いて漫画を読むことができた。
前回の漫画に引き続き、東村アキコで「主に泣いてます」。
女性の人生を描き出すのが天才的に上手い東村先生だが、今回はきれい過ぎる女性の話だ。もう本当に綺麗すぎて、まあそのおかげでストーリーが進んでいくのだが。全部で10巻あったのだが、10巻の途中までずっと綺麗だった。
そして、綺麗であるが故に損しまくっている。自分自身がつらい目に合いまくっているし、男女問わず周りを巻き込んで辛い目に合わせまくっている。いつまで経ってもその状況に慣れることは無いし、そのことに何か解決策があるわけではない。
ストーリーも全く読者の(自分の)思い通りに進まないし、エンディングに目を見張るような展開はない。そもそも男女の話だから恋愛の素みたいな成分はふんだんに含まれているのだが、何一つはっきりした形を得ないままに終わる。最初最終巻の後にまだなんかあるのかな?と思ってしまったくらい。
それでも読み終わった自分の心には、穏やかな感動が訪れた。ほっとしたというか、そうか、これでいいんだ、と誰かに教えてもらったような感じ。そして一度読んでしまうと、このエンディング以外ないな、と思わされてしまう。
「東京タラレバ娘」でも見られたように、東村アキコの書き口として、現実のような話にファンタジーをぶち込むことで読みやすくして、最後に現実へ戻してくれる、というのがあると思う。
今回の「主に泣いてます」でも、イヤー美人過ぎて困ることあるよねー思わせてから、でもここまでは無いだろうと笑ってしまい、そして最後は妙に納得できるオチをつけてくる。もちろんそのオチだって、100点ではない。問題がまだ残ってると言えばそうだろう。
だから面白い。
人生にだって100点の答なんかない。どんなトラブルでも、さっぱり解決、あとは何の問題もない、なんてことはほぼない。そうやって残った傷が、自分を作っているのかもしれない。
そんなことまで考えてしまう、綺麗すぎる女性の話でした。悪くない土曜日の過ごしかただった。
主に読んでます。
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