エンドロールがたまらない映画個人的3+1選【ネタバレあり】
エンドロールフェチな私がぱっと思い付いたエンドロールがたまらない映画を3本と、配信メインだったプラス1本を記憶を頼りに書き留めておく。
エンドロール。
映画やアニメ、ゲームなど作品の後にたいていある。
制作スタッフの名前や携わった企業、スペシャルサンクス、劇中歌など、作品が多くの人たちで作られていることが分かる。地元エキストラの名前も列挙されることがあり、自分の名前を探して見る人もいると思う。映画館では、作品の世界が幕を下ろし、観客が現実に帰る準備をする時間にもなろう。
エンドロールを最後まで見ない人も少なくないと思う。実際、暗い中で席を立ちスクリーンを後にする人もいる。その中で1人残されるのもまた至高なんだけど…
エンドロールが好きな人も嫌いな人もどっちでもいい人にも知ってもらいたい、ぱっと思い付いたエンドロールでまた本編中の鳥肌が再訪するような素晴らしい映画を書き留めておく。必然的にネタバレになる。
1.「メッセージ」(Arrival)
宇宙と時空を超えた壮大な物語が幕を下ろし、言葉ではない人の声が聞こえてくる。モールス信号のように一音を繰り返し呟くような声。複数の声が重なり合い、その奥でコーラスが響く。楽器が鳴り、全てが組み合わさって音楽になっていく…
全編通じて音楽を担当したヨハン・ヨハンソンの「Kangaru」。この曲そのものの素晴らしさも去ることながら、「言語」を一つのテーマにした本編を想起させるのにも十分すぎる強さがある。サブスクでもメッセージのサントラが聴けるのだが、今でもこの曲を流すと鳥肌が立つ。映画の各シーンを思い出し、エンドロールで映画館の客席に座っているような感覚になる。
2.「正しく生きる」
この映画のエンドロールへの挿入はかなり独特で実験的だ。
ラストシーン、キャリーバッグを引く音、東京の都会の喧噪、それらの環境音が大きくなり、主人公の決意と、その後の恐ろしくも美しい結末を想起させ(私はここで「この後どうなるの!?」とどきどきしていたことを覚えている。今でもキーボードをたたきながら背筋がぞわっとしている)
突如、暗転。
ここでこの映画は終わる(いや、まだこの瞬間に私はその事実に気付いていない)。そして一瞬の静寂があったかと思うと、ぽちゃーん、と、水滴が落ちる音が聞こえる。そのまま、真っ暗な画面に文字が流れ始め、エンドロール。あまりにも静かで、自分がふーっと息を吐くことすらはばかられる。実際はもうここでため息をつくしかないのだが…
ただし、私はこの作品を自宅でDVDで見た。これを映画館で初見で見ることができなかったことは人生において唯一にして最大の後悔といっても過言ではない。とにかく、これ以上の経験をまだしたことがない。
エンドロールとは難しいもので「このエンドロールがすごい」といった紹介はまずありえないし、そんなことをされてしまっては興ざめだ。ひたすら映画を見続けて、出会うしかない。それがエンドロールの魅力なのかもしれない…
3.「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」
これは今年見て衝撃的だった映画。大林監督の遺作となり、映画人生全てを注ぎ込んだような3時間余り、途切れることのない熱量を浴びせ続けられるのだが、どう締めくくったのか。
エンドロールが始まった。オープニングや本編と同様に、カラフルでレトロなデザインが目の前でうるさい(良い意味で)。と、まだまだ終わるものかとばかりにナレーションが続き、登場人物が動き回る。オープニングと演出を合わせているせいもあってか、また映画が始まるのではないかという勢いでまくし立てる。それを期待してしまう自分もいる。1人の女性を追いかけ続けた主人公たち3人とともに、それを見届けた高橋幸宏と同様に、私たちは彼らのことが好きになってしまっている。ラストを寂しくさせない、明るくて賑やかで、それだけにむしろ儚さもあるような、花火のスターマインのようなエンドロールだった。つかこうへい作品の「カーテンコール」にも通じるものがあったと思う。
おまけ.「ROMA/ローマ」(Roma)
おまけとしつつ日本で劇場公開もあった映画だけど、私はNetflixで見た。いろんなことがあった。繰り返される日常、暴動、男女関係… そして日常がまた始まる。主人公が仕えている家の階段を上り、そのまま、そのまま、エンドロールとなる。主人公が通り過ぎたその風景はもう静止しているのか動いているのかも見分けが付かない。そういうものだろう、世界とは。映画は常に動き続けるものをスクリーンに映すものだが、現実との橋渡しとなるエンドロールではもうその必要はない。これが世界だと、これが現実だと言わんばかりに、静かなシーンで幕を閉じた。
おわりに
他には「ミッドナイトスワン」はテーマ曲でまた泣きそうになったし、エンドロール後のおまけも良かった。「カセットテープダイアリーズ」など楽曲そのものが重要な作品では言わずもがな。ほかに、「ハクソーリッジ」など実在する人物にインスパイアされた作品では、本人登場があったりする。「ミッドサマー」ではキャストらの名前の一部が花になってるという茶目っ気も。兎に角、エンドロールは面白い。
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