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ソプラニーノサックス好きになったかも> 菊地麻利絵ソプラニーノサクソフォンリサイタル「閃音/佇音」(2025.1.13 @ スペース Do)

実は木管楽器のリサイタルなど普段はほとんど行かないのですが、プログラム 7 曲中 5 曲が委嘱初演という、大変力の入ったプログラムで、とても楽しみにしていました。

しかも全曲ソプラニーノ・サックスというのも大変珍しいのではないかと思います。サックスを吹かれる方々の中にはアルト、テナー、バリトンなどを器用に持ち替える方が多いですが(この時点で既に B♭ 管金管オンリーの私には理解不能ですが)、ソプラニーノまで吹かれる方は少ないのではないかと思います。

私自身、吹奏楽の経験が長いこともあって、いろいろな楽団やソリストの演奏を聴いていますが、ソプラニーノの演奏を聴くのは、おそらく高校生の時に聴いた渡辺貞夫さんのレコード(!)以来で、生で聴くのは初めてです。

そういうわけで、ある意味ほとんど予備知識や先入観なしで新大久保 DAC の地下にやってきました。

リサイタルが始まると、プログラム冒頭から特殊奏法全開の無伴奏現代曲をお見舞いされ、これは凄いところに来てしまったと一瞬思いました。しかしこの一曲のインパクトのおかげで、このあとに続く現代曲を抵抗なく聴けたように思いますので、私のように普段あまり現代曲に馴染みが少ない者にとっては、こういう始まり方は良かったかもしれません。

プログラムは最初の 2 曲が既存の作品、3 曲目以降が全て委嘱初演でした。どれも印象的な作品でしたが、私にとって最も印象的だったのは、Jean-Patrick Besingrand 氏による「Sur cette Barque instable」(Google 翻訳によると「この不安定な船の上で」)という曲で、ピアノの低音がお寺の鐘のような雰囲気を醸し出していたり、サックスなのにどこか和楽器(雅楽?)のように感じられる響きがあったりと、不思議な空間を体験しました。

また福田洋介氏による「カプリスとアンダンテ」は、ソプラニーノ・サックスの伸びやかな音色を存分に味わえる曲でした。作曲者ご本人の説明によると、アルトでの演奏も想定されているようですが、いやいやこの曲はやっぱりソプラニーノで演奏すればこそでしょ、と個人的には思います。

このような高音域の楽器というのは、楽器が小さいが故の難しさやデリケートさがあると思います。そのせいか音が高いだけで聴く側まで緊張感が若干高めになる感じがありますが、今回はそのような緊張感がなく、割とリラックスして聴けました。これは自分でも意外でした。高音域でもアルトサックスっぽい深みとか艶のある音色だったからかもしれません。

下記リンク先のインタビュー記事によると、やはりソプラニーノを演奏される方はかなり少ないようで、今回はソプラニーノ・サックスの演奏をじっくり聴ける超レアな機会だったんですね。そういう意味でも今回聴きに行けて本当に良かったと思いました。次に聴けるのがいつになるか分かりませんが、またいろいろな曲でソプラニーノの演奏を聴いてみたいです。



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