「雲のすみか」インド・メガラヤ州訪問記 ~シロンからバングラ国境Dawkiへ~
インド北東部メガラヤ州。絶景の地への訪問の記録(2024年10月時点)。
0.予習
『地球の歩き方』にも掲載がなく日本語の情報は限られているなか、最も参考になったのがこのa_akaneさんの記事。熱烈感謝。
1.州都シロンへのアクセス
アッサム州グワハティから陸路でのアクセスが一般的。シロンには空港もあり、コルカタやデリーなどとの間にフライトがある。
筆者はグワハティからWizzrideというアプリで予約してシェアタクシーを利用した。このアプリでは、運行時刻、乗車地点、座席位置などをリストから選んで予約できる。日本で長距離バスをネット予約するイメージに近い。出発前には運営会社とドライバーからそれぞれ確認の電話があって安心。
事前オンライン決済が必要で、筆者はUPI(↓参照)で支払いを行った。789ルピー。クレジットカード支払いもあるが、インド国外発行のカードは試していないのでわからない。また、携帯番号を2つ登録する必要がある。
宿泊していたNovotelホテルのほぼ向かいのダウンタウン病院前で乗車。
グワハティの市街を抜けて東に向かい、Jorabatから南に曲がる。Umiam湖までは片側2車線の快適な高速道路。
グワハティを出発してからシロンの市街に入るまで2時間半ほど。市街に入ってからはずっと渋滞で、最終の停車地となるPoinisukホテルには出発から3時間弱で到着。5分ほど歩いて宿泊先にたどり着いた。停車地からホテルが遠い場合は流しのタクシーと交渉するなどの一手間が必要になりそう。Uberは使えないしオートリクシャーもいない。
2.Riwai村のLiving Root Bridgeへ
シロン市街にも見所はあるが、絶景を味わうには足を伸ばす必要がある。宿泊先で車を手配してもらい、日帰りで南へ。目的地は生きている木の根で編まれた橋(living root bridge)と、バングラデシュ国境。
朝9時、出発。
渋滞する国道6号線をダラダラと東へ。Ksehbilatで西に曲がってLaitkor-Pomlakraiロードに入ると、一転して交通量の少ない田舎道を快適ドライブ。美しい丘陵景色に心躍る。
Setthlewで国道206号線に出ると交通量は増え、道もやや傷んでおり工事も随所で行われている。このあたりは標高が高くなり高原ドライブの趣。Google mapを見ると稜線を通るあたりに絶景ポイントが多数マークされており、インド人観光客が撮影に興じているが、停まることなく先を急いだ。
Pynurslaは銀行などもあって多くの人で賑わう街。そのまま国道206号を国境に向かうのかと思いきや、Dawki Road ビューポイントを過ぎてすぐ、Devil's Elbowという地点のすぐ手前で、google mapでは拡大しないと見えない細い道へと右折。Riwai村への抜け道だった。対向車とのすれ違いも困難な細道だが路面は綺麗で、交通量の少ない道を飛ばし、抜け道に入って30分ほどでRiwai村のLiving Root Bridgeに着いた。出発からここまで2時間半。
すっかり観光地化しており、大勢のインド人(と思しき)観光客で賑わっていた。メガラヤの大自然のなかに突如として現れたインド的観光地の光景は、あたかもRPGで街に到着したかのよう。これだけの観光客がどこにいたのか。
ゴムの木の根を伸ばして編み、つくられた丈夫な橋。
Living Root Bridgeはこの地に広まった技術であり、これが唯一ではない。有名どころでは、NongriatのDouble Decker Living Root Bridgeがある。やや離れているので両方を1日でめぐるのは難しそう。
3.「アジアNo. 1のきれいな村」Mawlynnong
Living Root Bridgeの見物を終え、いざ国境を目指すつもりだったが、ドライバーが一言。
「Asia's Cleanest Villageは行かないのか?」
悩んでいると、
「ここから2kmだぞ?」
と言われ、ついでに訪れることにした。振りかえるとこれは判断ミス。
その途中、Balancing Rockという石の観光地にも立ち寄り。橋 → 石 → 村が一連の観光地となっている。
「Asia's Cleanest Village」ことMawlynnong村にまもなく到着。きれいというのはゴミが落ちていないということ。
わざわざ来なくてもよかったかな、というのが正直な感想。国境へのルート上ではなく純粋に遠回り。寄らなければ日暮れ前にシロンに戻れたかも。
反対に、国境まで行かずにLiving Root Bridgeと「きれいな村」with バランス石だけを見てシロンに戻るのもあり。ここまでは道路状況が整っているから快適な観光を楽しむことができる。ここから先は苦難の道。
4.バングラデシュとの国境の街 Dawki へ
RiwaiのLiving Root Bridge前を通って戻り、国境方面へ。いろは坂(日光)のようなクネクネ道をひたすら進んで高度を下げ、いよいよバングラデシュとの国境地帯。
文字通りの「Bangladesh Border View Point」でのびる国境フェンスの写真を撮り、国境沿いにさらに東へ。狭い道を進み国道206号に出る。道がマシになるかと思いきや、そこからが地獄。路面は未舗装ではないがガタガタに壊れておりむしろタチが悪い。しかも国境貿易のトラックと観光客が混ざり交通量も多い。路面と対向車を見極めつつ、少しずつしか進めない。
リゾート開発されているDawki河口で小休止。国境ギリギリでボート遊びできるスポット。せめて河原まで行けばよかったが、日暮れまでに帰りたいので先を急いだ。
国道206号からバングラデシュ国境への道に入る。ゲートまで1kmもないが、トラックの列が道の片側を埋めているため、残りの道幅で対向車とすれ違いつつ舞い上がる砂塵のなかを進み、やっとの思いで到着。シロン出発からここまで5時間。
インド側の管理するゲートがあり、その向こうにはバングラデシュ側が見える。
遠目から写真や動画を撮っていると、インド人(と思しき)観光客が緩衝地帯まで入る様子が見えた。近づいて国境警備の軍人にパスポートを見せて話を聞くと、緩衝地帯に入ってもいいとのこと。ただしバッグを持っていくのはNGらしい。「友好国の日本人なんだからいいじゃないか」「いや規則でダメだろ」と軍人たちが揉めるが、結論はOKの雰囲気。バッグを車に戻って預けてもよかったのだが。せっかくの好意に甘えてバッグを抱えたまま緩衝地帯に入り、景色と雰囲気をじっくり堪能した。インド側に戻り、暇そうな軍人さんに国境貿易のことなどしばらく話を聞いた。
5.帰路
目的を果たし、シロンへの帰路。国道206号を西に進むのが最短ルートではあるが、東へ進路を取る。
国境からトラックの渋滞が続いている。国境からおよそ20kmほど断続的に。渋滞と言ってもダラダラ進んでいるのではなく、多くのトラックは停車。推察するにおそらくは、国境通過の許可が出るのをそれぞれに待っているのだろう。係員らしき人たちや、トラック運転手用にチャイなどを売る女性たち、移動販売車まで出ている。トラックの積荷は岩石だけ。バングラデシュへの石炭の輸出は有名だが、見る限りは白い岩石。主に石灰石だろうか。
トラックの列が途絶えてからも、トラックを中心に交通量は多く、道も良くない。
途中、Demthringで左折してDemthring-Sohmynting-Lumsharatoh ロードへ。ここはまさに絶景。交通量もほとんどなく、道も良い。
国道6号に戻り、やっとシロン市街に入るころにはすっかり暗くなっていた(北東部は経度の関係で日暮れの時刻が早い)。再び市街の強烈な渋滞をなんとか抜けて宿に戻ったのは午後6時。
出発から9時間。熟練の運転手さんの導きでも、1日でめぐるには厳しいルート。絶景を前にしても車を停めることなく、休憩もランチも取らずに進みつづけたが日暮れには間に合わなかった。早朝に出発すれば明るいうちに戻れたかもしれないが、国境付近は苛酷な悪路のため、1日でまわるのはあまりおすすめできない。
6.振りかえると
シロンでこの記事を書いているが、早くもあの景色が恋しい。心に残っているのは、滝やLiving Root Bridge、Dawki河口などの名所よりも、何気ない丘や山、村や人々の様子。とくにLaitkor-PomlakraiロードとDemthring-Sohmynting-Lumsharatoh ロードの景色。
次の機会には絶景で足を停めつつゆっくりと巡ってみたい。
7.おまけ:シロン市内(Xまとめ)
グルメ
スポット
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