見出し画像

インドのリサーチ・ビザ取得の記録 ~2024年夏~

2024年夏、インドのリサーチ・ビザを取得した。

ただし公式にリサーチ・ビザという名称は存在せず、正確に言えば学生ビザの調査目的カテゴリー(S-5)である。

これは筆者の個人的体験を記すものであり、記載を信じたことによって読者が不利益を被ったとしても、何ら責任を負わない。

基本的な流れは、

  1. 書類集め

  2. 大使館から承認

  3. 領事部でビザ申請

となる。まず大使館で審査があって、それからビザ申請という2段階プロセスになっていることを留意してほしい。

所要期間は、大使館に審査を申請してからビザ取得まで(つまり上記の2と3)、3週間かかった。地方在住で東京の大使館に足を運べる機会が限られていたため、そうでなければ2週間程度でできたかもしれない。大使館に足を運ばなくても郵送や電話で手続きは(おそらく)可能だが、その場合はもっと時間を要する。書類に不備があればさらに時間がかかることは言うまでもない。

また、研究内容によっては許可が下りない可能性もある。筆者は政治に関わる研究をしているため若干の懸念はあったが、結果的に研究内容について何か言われる or 聞かれることは一度もなかった。

1.必要書類

書類準備のまえに、提出書類を知るため、インド大使館の担当者にコンタクトするところから始まる。大使館Webサイトの連絡先に電話やメールをしたものの、一切のレスポンスを得られなかったため、知り合いであった大使館の別の部門のインド人オフィサーを通じて担当者を紹介してもらった。

当初、窓口となるのは大使館の教育文化部門の日本人職員である。その日本人職員からメールで知らされた、大使館審査段階での必要書類は下記6点である。ただし実際にリサーチ・ビザを申請する読者は、これを鵜呑みにせず、自力で確認してほしい。

A. 大使館への提出書類

  • 申請書(Application for approval of Research Project and for Authorization of Visa、フォーマットあり):フォーマットは日本人職員から送られてきたが、写りの状態の悪いファイルであったため、インド政府の他の公館のサイトからきれいなフォーマットを入手して利用した。

  • パスポートのコピー

  • 研究計画書(Synopsis、フォーマットなし)

  • 受入証明書(Certificate of Affliation、フォーマットあり、長のサインと公印が必要)

  • 現所属機関からの推薦状(No Objection Letter、フォーマットなし)

  • 推薦状×3人(Supporting Letter、フォーマットなし):受入先でも所属先でもそれ以外でもおそらく大丈夫。筆者は現所属先だけで3通揃えた。

推薦状などはスキャンデータのプリントアウトではなく、手書きのサインや公印を押された原本が要求されていると考えるべきだろう。特に受入証明書はインド側から紙でもらっておく必要があるので、早めの準備が必要となる。筆者はそのために1度インドに行く羽目になった。なお、受入証明書などが所定のフォーマット以外でも通るかどうかは不明である。

大使館の許可が得られたのち、下記を領事部(ビザ部門)に提出した。

B. 領事部での提出書類

  • ビザ申請フォーム(Visa Application Form、下のサイトで入力して作成)

  • 大使館からの許可レターの写し(※ 原本は自分で保管)

  • 財源の証明書(研究助成などの支援がある場合はその証明書、自費の場合は銀行残高証明など)

  • 手数料(現金)

2.申請手続き

では、実際の申請手続きを振り返ってみたい。

東京のインド大使館を訪れ、担当の日本人職員に審査書類(A)を3セット(原本、写し×2)を提出。

 ↓(7日後)

大使館の担当オフィサー(インド人)からメール連絡。職場(※ お盆休み)に電話連絡したが出ないから連絡先を教えろ、と。たまたま近くにいたのですぐにメール返信後、大使館を訪問してオフィサーと面会。

 ↓(2日後)

オフィサーからメールで許可レターのデータが届く。
名前の綴りが間違っていたので修正を依頼。

 ↓(翌日)

綴りを修正されたレターのデータがメールで届く。

 ↓(すぐに行ってもよかったが自分の都合で6日後)

日本人職員にレターを取りに行く旨をメール連絡。しかし把握しておらず、「まだできていない」と返事。めげずに大使館に行き、オフィサーの部下から許可レターを受け取る。提出書類は「領事部に回しておく」とのこと。

近くのコンビニで許可レターのコピーを取り、隣の領事部でビザを申請手続き。Bを提出。大使館側から書類が回ってきていないと言われたが、無事発見され、申請を受理される。

 ↓(2日後)

ビザが完成したことをサイト上で確認。

 ↓(週明け)

領事部からビザ完成の電話連絡(そのときはすでに受領のために大使館に来ていた)。
無事、受領。

3.入国回数制限

こうしてビザは無事に発行されたが、ひとつ、大きな問題があった。それは、インド入国回数が3回に制限されていることである。大使館の日本人職員によると、今は3回制限でしか発行されないらしい。

入国が3回ということは、期間中、2回しか出国できないことになる。自分の場合は仕事で1回帰国することは確定しているため、あと1回しか出られない。この制約がなければバングラデシュなど隣国にも足を伸ばしたかったが、それは難しくなった。この制約を甘受して途中出国を計2回以内とするか、あるいはビザ再発行など何らかの方法で解決を試みるか、まだ自分の対処方針は定まっていない。

留学目的で学生ビザを取得した知人は、1年(アカデミックイヤー)あたり3回という制限が付けられていた。どうやら、学生ビザではこの3回というのが基本となっているようだ。

研究で来ている知人には、コネを使って回数制限なしのマルチプルでリサーチ・ビザを再発行させた強者もいる。

なお、ネット上で見かけた少し前の情報では、リサーチ・ビザが発行されてから1ヶ月間は入国できないという話があった。筆者や知人の最近のケースでは、そのような制約は課せられていない。

雑感

大使館側も領事部もとても協力的で、思っていたよりもスムーズに発行された。早くから情報を集め、書類をきちんと準備すれば、さほど苦労しないと思う。筆者の場合、自分の経験値を過信していたこともあり、その「早くから情報を集め、書類をきちんと準備」という部分で出遅れ、バタバタと忙しくなってしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?