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宇宙ビジネスの歩き方〜博士課程まで行った宇宙人編~
①はじめに🚗
この記事は「宇宙のはじめ方〜就活編〜」企画の第四弾です。
https://note.com/soranome/n/n2c6a0058666b
②簡単に自己紹介🚂
たなこうと申します。
小さいころから科学未来館の年パスを持って通っていた理系少年ではあったのですが、高校生のときに見た「October Sky」という映画をキッカケに、宇宙工学の道を目指すことにしました。
大学では宇宙工学を専攻していました。運良く大学の衛星プロジェクトに参加することができ、在学中から超小型衛星の開発に携わってきました。
大学院を修了後、一年間研究員として衛星プロジェクトに携わった後に博士課程へと進学し、修了後に民間企業に就職しました。
大学以外では、他のメンバーと同様TELSTARや宙畑の活動をしていました。
③宇宙ビジネスのはじめかた🛵
一貫して宇宙分野で学び・働いてきたのですが、①大学(専攻)を変える、②博士課程まで進学する、という点が他のメンバーとは異なる点なので、皆さまが今後を選択していく上での一助になればと、この2点についてつらつらと書いていきます。
a. 大学を変更🚄
私は学部・修士・博士課程と異なる大学に所属しました。
理由は至ってシンプルで、学びたいことが変わったから。
学部・修士・博士、それぞれの課程の研究テーマは「人工衛星の電源」に関する研究でした。
人工衛星の電源の研究を始めたキッカケもシンプルで、大学生のときに開発に携わった人工衛星の電源システムを担当したから。開発を通して、衛星電源の面白さが分かり、研究テーマにしたいな、と思い、そのまま博士課程まで続きました。宇宙にはコンセントがないので、電源にトラブルがあると衛星は動かなくなる、つまり衛星にとっての電源とは私たちにとっての心臓のようなものなのです。…と、衛星の電源に関するお話を書き始めるとそれだけで数万字いきそうなので、これはまたの機会に。。
なら同じ大学でいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれないのですが、研究の切り口がそれぞれ異なっていました。
学部のときには、(小型衛星に当時はまだ主電源としては搭載されていなかった)リチウムイオンキャパシタを搭載するにはどういうシステム構成にしたらいいか、ということを研究テーマにしました。
この研究テーマも面白かったのですが、卒論を書いていたときに、開発し、打ち上げた衛星にトラブルが。トラブルの原因分析を通して、そもそも設計時に運用状態を想定できていなかったがためにこのような事態に陥ったのだなあ、ということに気が付きました。運用時を見据えながら設計をするって、どうやればいいのだろう…と考えていたときに縁もあり、大学院を変えることに。
修士のときには、運用時を見据えてシステムを設計するにはどうしたらいいか、という品質保証の仕組みのような研究をしていました。
ただここでも1つの課題が気になりました。品質を保証するフレームワークはできたものの、肝心の電池自体の状態診断ができないと、運用中の品質を保証できないな、と考えたわけです。
ということで、上記のようなテーマを研究するに適した大学院を探し、博士課程も大学を変更しました。
b. 博士課程に進学した理由🚤
上記と少し被ることもあろうかと思いますが、私が就職ではなく博士課程進学をどのように決めたか、参考までに記載します。
末は博士か大臣か、なんて言われていたのは遠い昔。今では博士課程まで行くのは「少し変わった人だよね。」「え、働かずにまだ大学いるの?」なんて言われることもある世の中ですが、行けるとしたら行ってみたい、という方も多いのではないでしょうか。
そもそも博士課程に行こうというモチベーションは大きく2パターンある気がしています。1つ目は、飽くなき探究心から真理を突き止めていきたいというモチベーション。もう1つは、職業としての大学教員に憧れて、というパターン。
私の場合は、2つ目がきっかけ、進学を決めたのは1つ目のモチベーションでした。
学部生のときに携わっていた衛星プロジェクトには、博士課程の学生や研究員、助教授など、年の近い諸先輩方が多く参加していました。右も左も分からない私は、諸先輩方に多く指導して頂き、私も将来そのような立場になれたらな、などと漠然と思ったものでした。
大学院に進学し、就活のタイミング。先ほどの話でも言及しましたが、修士で研究した結果に対して、どうしても突き詰めてみたい内容もあったので博士課程に進学することにしました。が、ストレートにそのまま進学せず、携わっていた衛星プロジェクトがあと1年で解散する、というタイミングだったこともあり、1度研究員として就職してから進学しました。
博士課程について、私の師匠は「足の裏のご飯粒のようなものだ」と良く言っていました。取らないと気持ち悪いけれど、取ったとしても腹の足しにならない。結局は取った結果が重要というよりは、取る過程で何を考え、得えることができたか、ということが重要なのだと思います。(ただ、博士を取得する、ということは、その研究分野で一番の専門家になる、ということでもあるので、結果ももちろん重要とは思います)
高校や大学の同期が楽しそうに遊んでいる中で、研究し続けるだけの何かモチベーションが自分にあるのか、ということを自問してから、進学するかどうか、を決めるのも良いでしょう。とは言え、今は博士課程に在籍しながら働いている人もいますし、社会人として働きながら博士課程に通うことを推奨している企業も多くありますし、選択肢は様々にあります。最後まで迷ってなかなか選択できない、となったら、まずは博士課程に通わせてもらえるような、研究所を有する企業にまず就職してみる、というのも選択肢を残すという意味合いでは良いでしょう。
④これからやりたいこと🪂
今まで大学/メーカで小型衛星の開発に携わってきた中で、なかなか衛星データの利活用が進まないな、という課題に直面し続けています。
個人的には衛星を開発することができるだけでも楽しいのですが、それでは持続性がありません。やはり、開発するからには何かの役に立たないといけないと思うわけです。ただ、なかなかその出口が見えない。限られた人たちで出口を探しても、この問題は解決できないよなー、と思うわけです。
なので、今後はその出口を探すとともに、出口を一緒に探せる仲間も集められたらな、と思っています。
今までは特定の誰かのためにしか使われなかった衛星データが、誰でも気軽に利用できる世の中に。何か衛星データ利活用でお悩みの方いらっしゃれば、お気軽にご相談ください。
⑤おわりに🚀
以上、簡単ではありますが、私の人生の岐路について振り返ってみました。
皆さまの進路選択の一助になれば幸いです。
次回は、タコパ名人、…様々な場面でみんなを鼓舞し、みんなが脱落しそうになっても背中を押して道を切り開いてくれる、むたさんです。お楽しみに。