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THE BIKERIDERS

バイクがテレビや映画に出ると興奮する。ウヒョー、と往来で叫びたい衝動に駆られる。まあ、実際には叫ばないけれども。心の中に留めておくけれども。何故なら大人だから。TPOをわきまえているから。外で叫んだら狂人だ剣呑だと近隣住人から通報され国家権力に捕縛されてしまうから。でも、何故だろう。バイクが画面に出たら興奮するのは。わからない。わから、にゃい。語尾を猫語で可愛く決めたキューティーでハニーな俺は、久方振りに映画館を訪れた。耳に刺したAirPodsから倖田來未の歌声は聴こえてなかった。前回観た映画はユーゴスラビア紛争の傷跡が残るスロヴェニアで、田舎の村に住む青年二人がモペッドをチョッパー風に改造し旅立つ「バイカーズ」という作品で、今回は「ザ・バイクライダーズ」これまたバイク映画なのである。舞台は米国シカゴ、写真家ダニーライオンが1960年代から70年代前半にかけて実在したバイカー集団アウトローズ・モーターサイクル・クラブの日常を描写した写真集「The Bikeriders」(1968年初版)を基に構想を練り制作された。映画を観終わった俺に、「どうでしたか?」と感想を聞く者がいたならば、きっとこう答えるだろう。

「面白かったです。カッコよかったです」

おわり。小学生の日記風に簡潔に答えたい、そんな気分の日もある。でも俺はおっさん。不惑。それじゃ駄目だ。丸出駄目男。俺は、感想を書く。書いてみせる。令和の淀川長治になる。なってみせる。きっと。と、よくわからん決意に突き動かされた俺は、その映画の基になった写真集「The Bikeriders」について調査した。別の言い方すると、ググった。Amazonで八万円で売っていた。頗る高いなあと思った。説明が英語だったのでわからにゃい。翻訳機能を用いて以下に記す。

1968年、イージーライダーがアメリカの意識に轟音を立てる直前に、ダニー・ライオンはバイクライダーズを出版しました。現代のフォトジャーナリズムの画期的な作品であるこの画期的な写真とインタビューのコレクションは、ライオンが所属していたギャングの名前であるシカゴ・アウトロー・モーターサイクル・クラブに暗示された放棄とリスクを文書化しています。この新版には、30年前と同じように生々しく、生き生きとしたドラマチックな画像とインタビューで、驚くべき新しい画像が含まれています。15枚の追加の白黒写真と14枚のカラープリント--長い間行方不明と考えられていた--もともと白黒で出版された作品。著者による新しい紹介で、The Bikeridersは再び乗り、カウンターカルチャー時代の夜明けをかつてないほど捉えています。

Amazon

直訳じゃよくわからにゃかった。取り敢えず、この写真集の写真を映画の中に再現して散りばめているらしい。映画はキャシーという女性のインタビュー形式で進んでいく。インタビュアーは写真家のダニーライオン、初めはレーシングクラブだったバイクチームがギャング組織に変貌を遂げるまでの紆余曲折栄枯盛衰驕る平家は久しからず的な内容で、チームのリーダー、ジョニー(乱暴者を観てバイクチーム作るぞと一念発起、マーロンブランドの役と名前一緒すね)、ジョニーが次のリーダーとして可愛がる中核メンバー、ベニー(キャシーの旦那)、ジョニーベニーキャシーの三角関係、男男女、愛憎劇の様相もありつつ、物語は破滅へと突き進んでいくけれども、最終的には暖かい場所でハッピーエンドとも捉えられて、にゃんだ、ハーレー音最高、ファッション小物音楽映像の空気感全てが70年代まんまでタイムスリップ。で、一番思ったのは、キャシーきゃわ、ベニーかっこよ、凡庸な腐った感想しか持ち得ない俺は、到底淀川長治にはなれぬ事を悟ったのである。うくく。また、冷たい風が吹いて。

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