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13. 踏み出すことは怖いこと

2015年2月10日。

踏み出す前と踏み出した後では、何かが違う。
例えば、大海原に船で漕ぎ出すとき。
陸上でわやわややっている時は、こんなのいるよね、あれ持っていったらどうだろう、こんなことあったら楽しいよね、あんなことができたら絶対面白い、などなど話し合ったり準備したり。いろいろ不安はあるけれど、まだ気楽だ。なぜなら始まっていないから。

ところが、船に乗って海を進みだした途端、様相はがらりと変わる。海に入れば陸上とは環境が違う。海の上にはスーパーなんかないから、何かが欲しいと思ってもすぐには手に入らない。時には嵐が来たり、雨が降ったりして進路を見失なったりする。もしこれが一人であったり、気のしれた数人であればまだいい。ところが他に人が乗っていたりすると、食料が尽きたらどうしようとか、場合によっては船が転覆してしまったらどうしようとか、たくさん人がいるほど考えることが増えて背中にのしかかってくる。

進む、というのは怖いことだ。未知の進路を行くのであればなおさら怖い。なんとなく必要なものはわかるけれど、それを段取りよく準備するのはとても難しい。やったことがないし、本当にこの方向で合っているのか確信を持てないから。

KICK OFFを経て、本格的に始動することになったリーマンサットのコアメンバー会はしばらくこんな感じだった。

1.
平日夜、都内某所集合

2.
全員揃うまで雑談

3.
全員集合
「今日の議題なんだっけ?」
「○○と△△と□□を決めておきたいですね」

4.
「それなら●●と▲▲も決めなきゃマズくないですか??」
「■■も決めなきゃ!!」

5.
「マズい、◎◎も▽▼も決まってない、どうしよう!!??」
「次回までの宿題にしましょう」

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決めなくてはいけないことがたくさんありすぎて、あれを考えたら、じゃあこれも、と、一つ考えるごとに十個くらい考えなくてはいけないことが湧き出てくる……。

これまでは内輪の集まりだったから行き当たりばったりでもよかったかもしれない。しかしミーティングに数十人集めて、これからみんなで人工衛星作って打ち上げしましょう、と、宣言してしまった。楽しそうだけれど未知の海原に乗り出してしまった。

どうしようもなくなったら止めればいい。趣味でやるのだから、万が一うまく進まなくたって責任を問われることもないし、そもそも何もない状態なのだから失うものなどあるはずもない。
そんなことを言い聞かせて不安をごまかして見ないようにしながら、もうこうなったら進むしかない、とそんな様相だった。

火急の議題としては、「次回の定例会(2015年3月度)をどうするか」である。
まずリーマンサット・プロジェクト(仮)が決めなくてはいけないことは、「ミッション」であり、これをみんなで考えて行きたい。
ので、それを実現するために次回は「ミッション案プレゼン大会」と称して、みなさん(もちろんぼくらも含め)に考案したミッションを発表頂き、できれば暫定的にミッションを決めてしまおう、と思っている。
ミッションは一つに絞るのではなく、3つくらいの候補を立ててそれぞれやりたい人を班分け。まずは3本で走ってみる、という構想だった。

と、言葉にするのは簡単だけれど、
「どうやってミッション案を集めるか」
「どうやって決めるのか」
「ミッションを選ぶ時の基準は?」
などなど、事前に決めておかねばならないことが結構ある。
はたから見たらテキトーにやっているように見えただろうけれど、こういう地味な決め事や考え事が山のようにあった。

さらにその後、肝心要の「衛星開発」の部分はまだ何も決められていない。
何度も言うようにぼくらには人工衛星を作るノウハウが全くないからだ。

さらに、
・衛星を開発、打ち上げるための費用はどうするのか
・今後ぼくらの志に乗っかって協力してくれる人を増やすために、リーマンサットを世間に広く知らしめて行くための施策は?
などなど。

軽く挙げるだけでこれだけあるのだから、まだぼくらの考えつかないような課題が星の数ほどある。
いや、分かる範囲ですでに課題が山積みすぎて、5人でそろって「どーしよう!!!???」と頭を抱えているのが現状である

しかし、光が見える部分もある。
HPをどうするかと、新メンバーに呼び掛けたところ、幸い何名かWEBを世話できるという方が手をあげてくれた。

衛星開発の方は、ミッションを決めてから始動という感じだったけれど、WEB班を先駆けとして作ることは決まりつつあったので、まったくもって手が付けられないのではなく、少しでも進んでいる実感があったのは唯一の救いだった。

KICK OFFの当日からそのあと、ぼくらは連日頭を抱えてばかりで、これからしばらく落ち着くことはないんだろうなあ、と思っていたし、事実そうなる。
ただむりくりかもしれないけれど、なんだかんだと決めることを決めて、試行錯誤しながら前に進もうとしていたことは確かだ。

自画自賛になってしまうけれど、もし4年前に戻って当時のぼくらに会えたなら、
「お前ら本当によくやってるよ。少しずつだけど進んでいるぞ! そのままがんばれ!」と声を掛けたい。

リーマンサットに興味を持ってしまった方はこちらへ
www.rymansat.com

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kenichi_Shoji
皆さまのご厚意が宇宙開発の促進につながることはたぶんないでしょうが、私の記事作成意欲促進に一助をいただけますと幸いでございます。