世界がなくなってしまえばいいのになって思ったことあるでしょ

あたしはそうだった ずっとそうだった

壊れた世界でひとりぼっち

なんとなくそうして終わるんだと思ってた

たとえば空からミサイルが降ってきて

家も学校も何もかもなくなってしまって

みんな死んでしまう そんな中で

なぜかあたしひとりだけが生き残って

歌を歌っているような気がした

もうすぐなくなる世界で 戦うものがない世界で 

なんとなく死んでしまうような気がしていた


そんな空想を夢見て歳をとって、

冷たい水をバケツいっぱい頭から浴びせられたとき

あたしは、まだ地球は終わらないと知って

絶望しながら安堵した 

地に足つけて歩かなきゃ

横断歩道を渡る時

車に轢かれて死んでしまうから


たくさんの色や音があふれて

たくさんのものが息をする世界で

もうすこしでなにか

掴めそうだった時に

今度は行く手を阻むかのように

汚染された空気がそこらじゅうを満たしていった

勇者じゃないけど あたしたちみんなアイテムを装備しました 

そうしないと生きていけないからね

どこにもいけなくなった

なんにもできなくなった

あたしは今度こそ地球がなくなってしまえばいいと思った

空襲警報 爆撃

ほんとうに?

夢をみているみたい 騒ぎたがりの心が黙った

あたしたち終わってしまうの

ずっと願っていたことじゃないか

ずっとそうなると思っていたじゃないか

そうでしょ

神様を信じていた14歳のあたしの瞳は

20歳のあたしの世界をどう映す?

すべてなくなってしまえばいい

消えてしまえばいい

大丈夫 痛くないよ

だって あたしは特別なんかじゃなかった

きっと

まだ息をしてる

そんな夢を見てる

2022.03.15



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