講談社サイエンティフィクには医療系向けの入門書「好きになるシリーズ」があります。シリーズ誕生のきっかけは、担当編集者の「生物学」は面白い!という気持ちからでした。
https://note.com/kspub/n/nd71c90d04faf
引き続き、『好きになる生物学』の話をしていきたいと思います。
『くまにもわかる生物学』
ご執筆をお願いした吉田邦久先生から、はじめてお原稿を受け取ったとき、「あれ…?」という違和感がありました。
「あまり面白さが伝わってこない……」それが第一印象でした。どうすればいいのか、考えて、先生と相談して「まえがき」に書いていただいたように「くまにもわかる生物学」というコンセプトが生まれました。
12か月の講義形式の構成
『くまにもわかる生物学』のコンセプトが決まったら、次は『くま』と『先生』をどう活かした構成にしていくかということでした。
そこで、アイデアのきっかけとなったのが以下の2冊です。
各章を月として、一年で終わる設定というのは、
『園芸家12カ月』(カレル チャペック (著), Karel Capek (原名), 小松 太郎 (翻訳))を参考に思いついたように覚えています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4122069300
講義形式という設定には、
『ゆかいな生物学―ファーンズワース教授の講義ノート』(フランク・H. ヘプナー (著), 黒田 玲子 (翻訳)、朝倉書店)が参考になりました。https://www.amazon.co.jp/dp/4254170939
この『ゆかいな生物学』は、臨場感あふれる講義形式で、読んでいてわくわくしました。この本以上の生物学の入門書を作りたいと思った記憶があります。
参考にしたといっても、実際『好きになる生物学』は、くまを大学の教室に座らせるようなことはしないで、くまが先生の家に居候するという設定で、日々の暮らしの中で生物学を教えるという筋書きにしました。
月ごとに、章の内容と合わせながら季節に合わせた章タイトルを付けたのですが、うまく合っていたのか、微妙な月もあります。3月に焼き芋はおかしいという指摘も受けました。
章扉にも季節感のあるイラストを入れました。
次回は、『好きになる生物学』の締めとして、打ち合わせによく使ったお茶の水の「談話室 滝沢」について、お話していきたいと思います。