[台湾] 商標法一部改正案が行政院会議を通過
台湾では、商標法の一部条文改正案が2023年3月9日に行政院会議を通過し、立法院の審議へ送られた。改正案が立法院で可決され、総統によって公布・施行されるまで、1年から3年程度要すると見込まれる。
改正案の要点は、以下の通りである。
異議申立手続の廃止
現行の異議申立手続では、97%の事案が先登録商標と類似するとの理由を根拠としており、無効審判の請求理由とほぼ同様であった。異議申立・無効審判請求による負担を軽減するため、改正案では異議申立手続を廃止し、無効審判の請求人適格を「利害関係人」から「何人も」に拡大する。
なお、現行の商標法では、商標出願に対する情報提供制度が法的に設けられていないが、改正案では審査段階において情報提供の可能性が明文化された。
審判部の新設
現行の商標救済制度では、特許庁の査定に不服があった場合は、特許庁の上位機関である経済部に訴願を提出しなければならない。さらに、訴願の結果に不服があった場合、行政訴訟を提起することになる。
今回の改正案では、各国の商標救済制度を参考にして、再審査および係争案件を専門的に審議する「審判部」(「複審及爭議審議會」)を新設する。前者は商標登録出願への拒絶査定などに対する行政救済であり、後者は無効・不使用取消といった当事者系の審判である。(そのうち、係争案件は高度な専門的知見を要するため、改正案では弁護士による代理が必要であると規定。)審判の合議体は、3名又は5名の審判官により構成され、口頭弁論と予備手続が導入される。審判手続において、適切な心証開示、審理終結の通知などの運用がなされる。
訴願制度の廃止、特別訴訟手続の導入
改正案では、現行の訴願制度が廃止され、「再審査訴訟」と「係争訴訟」という特別訴訟手続が導入される。審判部の審議結果に不服を申し出る場合、訴願を免除し、直接に特別訴訟を提起することになる。再審査案件の場合は「再審査訴訟」、係争案件の場合は相手方を被告とする「係争訴訟」を提起する。上訴審の特別訴訟では、弁護士強制主義を採用し、行政訴訟手続きを適用せず、民事訴訟手続きを適用する。終審は、最高行政裁判所ではなく、最高裁判所で審議される。
出典:
Lee and Li Attorneys-at-Law
https://www.leeandli.com/EN/NewslettersDetail/7041.htm
台湾経済部報道発表 第3846回行政院会議で「専利法一部改正案」「商標法一部改正案」が通過(中国語)
https://www.moea.gov.tw/Mns/populace/news/News.aspx?kind=1&menu_id=40&news_id=105878