黒いアゲハ蝶
昨日、仕事向かい途中、3車線の大きな道路で、追い越し車線のメイン道路で信号待ちをしていたときのこと。左側からひらひらと黒いアゲハ蝶が、車の目の前を通り、自分のいる運転席側の右窓にこつんとあたり、そのまま後ろへ飛んで行った。
なんでこんな大きな道路に、アゲハ蝶には車がもうスピードで通り過ぎる場所なのに、飛んできているのだろう。自分の方に向かって近づいてきたように感じた、すぐに右側のバックミラーを確認したけれど、アゲハ蝶はみえなくて、思わず、窓を開けて後ろを確認したけれど、さっきのアゲハ蝶の姿はみえなかった。
なぜか、一昨日急変して亡くなられたMさんが浮かんできた。
その日は、仕事休みだったため最期のMさんには逢えず、昨日仕事出勤したときに、急変して亡くなられたことを聴いた。
ーそういえば、、、
休みの前日(Mさんが亡くなられる前日)、仕事が終わって夕食を食べようと食堂へrecliningチェアーで降りてきて、まだ食事は始まっていなかった。
目が合うと手を伸ばして、私の手を取る。
いつも、手の甲にチューをしてくれる80台の高齢男性のMさん。
いつもより多くて、なかなか手を離そうとしてくれず、、、
『また明後日くるからね』というと、Mさんから
『無理しないでね』と。
がっちりと手を握って、なかなか手を離せなかったため、両手に少し力を入れて、無理やりのような感じで、手を離した。
その後も、後ろ髪をひかれる思いでMさんをみながら👋と手を振ったが、Mさんはずっと手を伸ばしてなんとも言えない表情で、私をみていた。
Mさんは脳梗塞で左半身麻痺、全介助の方だった。
以前より左頸部が痛いと言っていたため、カロナールや湿布などで対応し、左奥歯の虫歯や心不全兆候かも思いながらも接ししていた。
ところが、ここ3週間くらい前から、るい痩がみられるようになり
『お腹が痛い』と訴えることが多くなった、カロナールを定期的に1日3回内服しているが腹痛訴えあり、お通じも出ているが多量に排便することもあった。
何か、他の病気も隠れているのかもしれないと考えるも、訪問医師へは報告する。
訪問診療で行う精査は限界があり、やはり病院へ受診して精査することが望ましいのではあるが、家族の同意や付き添い、高齢であることも踏まえ、もしここで何か病気が見つかったとしても、治療なくそのままで過ごすことになる。
余生、施設内で穏やかに苦痛なく、少しでも楽しく過ごせるように環境を整えることが大事となってくる。いわゆるホスピタリティな心を持って接することであると考える。
それぞれの家庭事情もあり、本当は自宅で過ごしたいという本音も満たされないまま、本人の心の中は孤独感や寂しさ、不安、くやしさ、諦め、という複雑な感情がたくさん溜め込んでいる方々たち。
そしてMさんは少し不思議な男性だった。
会いにいくと、いつも私の背後をみている。
『なんで後ろをみているのですか?』と聞くと
『いっぱいいるから』と。
Mさんによると、ここの施設に入ってから色んなものがみえるようになったと言っていた。ベットに接ししている壁に向かって、『母親がいる』
と言っていたり、子どもが、ベットの前に3~4人立っていると話しているときもあった。
死を迎えるのが近くなると『お迎え現象』ということが時々起こる。
これまでの患者さんたちの7割以上の方が、
亡くなられた方が逢いにきたり、お迎えにきているという話を聴いた。
自分の祖母もそうだった。
Mさんの場合は幻覚?とも考えたが、私へメッセージを伝えてくれることもあった。
『これまで苦労してきたね、もうすぐそれも終わるから』
『これからは幸せになるよ』
『無理しないでね』
『自分を大事にしてね』
とケアをしているときに、突然話してくれる。
『Mさん何かみえるの?』『誰かからそう伝えるように言われているの?』と声かけると黙ってニコニコしている。
特に『無理をしちゃだめだよ』といつも言ってくれたMさん・・・
昨日、亡くなられたMさんのお部屋にお別れを言いに入ったとき、
『ありがとう』という言葉が頭や心にどんどん浮かんできた。
Mさんからもそういわれているような気がした。
Mさん!いつも不思議なmessageのような言葉、ありがとう!
無理せずにゆっくり頑張りますね(*^-^*)
出逢えて良かったです。