精神科を目指さない人はどう初期研修を過ごすべき?

 どうも、はなまるです。先日のnoteで精神科を目指す医学生や初期研修医の先生に向けて記事を書きました。今回は逆です。精神科には全く興味がないよ、、、という人は初期研修をどう過ごすべきなのでしょうか。ワイなりに考察してみました。何か質問等あればtwitter(@ksksk16g)で連絡していただければと思います。

 現在の初期研修のローテートでは、初期研修2年間のうちに精神科をローテートすることが義務になっていることが多数であると思います。1ヶ月必須でローテート、というところが多いのではないでしょうか。内科系に進むと決めている人も外科系に進むと決めている人も、どんな研修医の先生もローテートすることになります。中には「精神科だけはいやだ」とか「精神科は怖い」なんて考えている先生もいると思います。今後それぞれの専門科に進む中で、どのようにすれば精神科の研修を今後に活かすことができるでしょうか。

 大学病院や精神科入院施設のある病院においては自施設で研修をすることが多いのではないかと思います。また、そうではない施設においては近隣の精神科病院で研修をすることが多いでのではないでしょうか。ワイの初期研修病院は精神科の入院施設がなく、近隣の民間病院へ研修に行きました。その頃から精神科志望であったので興味を持って取り組んでいたつもりですが、初期研修の同期は「暇だ〜」「何をしていいのかわからん」「別の科の勉強をしようかな」など言っていたことを覚えています。果たしてそれで良いのでしょうか?


<うつ病、認知症はありふれた病気>

 うつ病や認知症はこれからの長い医師人生の中で出会わないことはないと言える疾患です。今後高齢化がますます進み、労働人口の減少や労働環境の悪化から精神疾患に罹患する人は増えるのではないかと予想されます。うつ病や認知症の対応について基本を学べる機会は意外と少ないと思いますので、精神科での研修がいい機会ではないでしょうか。また、ワイも多くの初期研修医の先生に指導をしてきましたが、指導者目線だとどうしても症状の派手な統合失調症の患者さんを担当してもらいたくなります。他では滅多に経験することができないからです。しかし、今後の自身の診療に役立つことを優先するならば、上記2疾患に触れることが大いに役に立つと考えられます。問診の内容や対応の仕方、スケールの読み解き方などを知ると良いかもしれませんね。


<精神科の患者さんもいろんな科の病気になる>

 精神疾患を持っている患者さんも身体的な不調をきたす、ということも覚えておいてもらいたいです。精神科病院に長期に入院されている患者さんも救急搬送されてくる可能性はありますし、外来通院されている方も自身の科の疾患に罹患する可能性は十分にあります。初期研修の間に距離感や対応の仕方の基本を学んでおかないと、いざという時にどう対応したら良いのかわからなくなることがあります。そうならないためにもコミュニケーションのトレーニングの場として研修期間を利用することが最も効率よく現場を学べることだと思います。


<病気だけではなく生活そのものを知る練習になる>

 よく、「病気を診るのではなく、人を診る」といった言葉が使われることがあります。精神科では、問診の際に生活歴を詳細に記載します。これまでの育ちや学歴、家庭環境、結婚など内容は多岐に渡ります。背景を知ることによって診断や治療、その後の環境調整がスムーズに進むこともあります。他の科に進んだのちも社会的な背景を知りながら治療を行うことができるようになると仕事がうまく回るようになると思います。精神科ほど詳しく聴取する必要は全くないと思いますが、自身の分野で役立ちそうな項目をピックアップできると良いかと思います。


<安全第一>

 とにかく怪我はしないでください。やむを得ず隔離や身体拘束など行動制限を行っている患者さんもいます。危険かもと感じた際には不用意に近づかずスタッフと一緒に行動するべきです。


<知的水準や性格などを判断し病状説明ができるようになる>

 もしかするとこれが一番重要かもしれません。病院という職場には、本当にさまざまな方が受診されます。初期研修に来られる先生がこれまでの人生で出会ったことのないタイプの方と接する可能性があります。中には知的水準の低い人、性格が激しくトラブルになる人、会話の意図が読めずにトラブルになる人なども来院されることがあります。どれもその人の生まれ持った特性である場合があります。今後、それぞれの科に進んだ際に、この人は知的水準に少し問題があるかもなど早めに気づくことのできる能力を養っておき予測することで、医療トラブルを回避できる可能性を高めることができるようになります。それを察知する能力を養うことができるところは精神科での研修かもしれません。


<薬の名前は覚えられない>

 無理です。ワイは比較的長く初期研修中に精神科で研修しましたが覚えられませんでした。用法用量なんて覚えられるわけがありません。薬剤名は覚えられないものとして考えていた方が良いと思いますが、この薬は血圧の薬だなと考えるのと同じように、この薬は統合失調症に使用する抗精神病薬だな、とか、この薬は抗うつ薬だな、といった大雑把な分類のみわかれば良いと思います。精神科は適応外処方も多いので、それぞれの使い方を覚えることは他の科に進む先生には不要だと考えています。


 とはいえ、正直なところ、1ヶ月程度の初期研修では精神科のことは全くわかりません。本当は2〜3ヶ月研修するとわかることが増えてきて興味深く感じることができると思います。研修期間は限られていますので、それぞれが良い経験をされますようそのお手伝いになれば幸いです。ではまた、twitterで会いましょう。ありがとうございました。


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