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【娯楽メモ vol.11】『トラペジウム』



あらすじ

アイドルになることを夢見る高校1年生の東ゆうは、「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」という4つの条件を自らに課し、高校生活を送っている。ゆうが通う城州東高校は、城州地域の東に位置しており、ゆうは他の3つの方角にある高校へと足を運び、かわいい女の子と友達になる計画を進めていく。各方面で大河くるみ、華鳥蘭子、亀井美嘉という仲間を見つけたゆうは、文化祭などのイベントを通して彼女たちと結束を強めていく。次第に注目を集めるようになった4人はテレビ出演のチャンスなどをつかみ、ついにはアイドルデビューのプロジェクトも動き出す。しかし、夢への階段をのぼり続けていくなかで、大きな問題に直面する。

映画.comより


感想(※ネタバレあり)


元乃木坂46の高山一実さん原作の小説がついにアニメ映画化。原作の人気を見ると、待ち望んでいたファンも多いのではないでしょうか。

主人公の東ゆうがかなりヤバイ奴(サイコ的な)という意味で賛否両論あるらしいですが、僕はアイドルの裏側、挫折、友情、夢など、女の子たちの青春が詰まったとてもいい作品だなと感じました。

かずみんのファンながら小説は読んだことがなかったんですが、原作を知らなくても十分楽しめる内容になっていました。今度原作も読んでみたいと思います。

ただ、どんな話かあらすじくらいは知って見た方が良いかも。初めに何の説明もなくいきなり3人の友達を集め始めるので。

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アイドルのリアル

『推しの子』もそうですが、最近は純粋なキラキラしたアイドルというよりもその裏の苦労を描く作品が多いですね。

そういうのを見るたびに、アイドルってすごいお仕事だなと思います。

世間の共通認識として《理想のアイドル像》というものがあり、それ通りの振る舞いが求められます。でも、アイドル本人たちもいち女の子で、性格も違えば強みも違う。

タイトルである『トラペジウム』の意味は《不等辺四角形》なんだそうです。きれいな四角形じゃないという。

高山さんもインタビューで「うまくいく話にしたくない、グチャグチャしたところを描きたい」とおっしゃっていました。

顔も年齢も性格もそれぞれ違うものを持つ彼女たちだけど、各々が目指すアイドルの姿に向かって一生懸命努力する。仲間だからこそ支えあえる部分もあれば、噛み合わない部分もある。でも結果として、それが青春の大切な1ページになる。

そうした複雑さがかなりリアルに描かれていたように感じました。

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キャラクターの個性

東西南北から集まった4人のメンバーたちはみんな個性が分かれていて、それぞれ色んな思いでアイドルをやる姿がうまく描かれていたと思います。

東ゆう
アイドルになるという夢を叶えるために、緻密な計画をノートに書き記す姿は、南海キャンディーズの山ちゃんを見ているようでした笑。

確かにちょっと強引で性格が悪いところもあるけど、人間なら誰しもそういうずるいところは持っているんじゃないかな。表に出さないだけで。

むしろ、何としてでもアイドルに…という強すぎる信念と、そのために仲間を集めに行くという行動力は見習いたいくらいです。

4人の中で自分の取り柄は…とか悩まないあたりが図太くて羨ましいです。あと、左利きなのは何かこだわりがあるのかな。

大河くるみ
屈託のない笑顔と萌え袖に声、実はメカオタク。めちゃくちゃ可愛いですね。アイドルで一番先に人気出るけど、好みは分かれそうなタイプって感じ?

初めてできた友達と一緒に遊ぶのがただ楽しくて、流れのままにアイドルになってしまったけど、人前に立って世間に注目されるのが苦手なタイプだからアイドルって職業はつらいよね…。正直でいい子なんだけど。

「アイドル辞めたい!!」と喚くシーンとか、「くるみが壊れる前に…」とつぶやくシーンは、見ていてつらかったです。

華鳥蘭子
お嬢様って性格が傲慢なイメージですけど、それとは正反対で、性格よくて超ポジディブなの珍しくていいなと思いました。

あと運動オンチなところもギャップで高感度高いです。

メンバーの中ではお姉さんとして常に間を取り持つ仲裁役で、こういう存在大事だなと感じました。

亀井美嘉
4人の中だと、ちょっとキャラが掴みきれなかったかも?という印象でした。昔主人公の東ゆうと交流があったにもかかわらずずっと微妙に距離があって、ボランティアに一生懸命ってのも高校生だとなかなか珍しい。

あと、整形ってのが後々アイドルになってから批判されそうだなと不安に見ていたけど、彼氏問題で炎上するんだ…ってところも少し気になったかもです。

でも万人受けするルックスはさすがのもの。

工藤真司
唯一の男性キャラで、4人に深入りしすぎることなく、ちょうどいい距離感で見守ってくれていたなと思いました。

逆に4人がアイドルになってからの登場が少なかったので、その期間の工藤くんの視点も見てみたいなと。アイドルを続けられなくなって東ゆうが塞ぎ込んでしまった時とか、工藤くんが話聞いてあげたりしたんじゃないかなって想像したり。

あとこれは本当に仕方ないんだけど、4人の声優さんたちがみんなプロすぎるから、工藤くん役のJO1木全くんが少し気になってしまったのがかわいそうだな、なんて。ゲスト声優としては上手な方なんだけど、どうしても、、ね。

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歌唱シーンの演出

アイドルになった4人が初めてスタジオで歌って踊る姿。一番の見どころですね。坂道の番組みたいでした。

ライブ演出とかカメラワークとか、人間のリアルな歌唱シーンを見ているかのようで、制作陣の本気を感じました。ヌルヌル動いてましたね。さすがClover Worksさんです。

僕はSPY×FAMILYが好きなので、そこでClover Worksさんを知ったのですが、本当にアニメ制作のプロ集団だなと思っています。

東ゆうが狂ってしまった時の目に光がない感じも含め、今作は本当に作画がきれいでした。

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音楽が素敵

OP曲はMAISON desによる『なんもない feat.星街すいせい, sakuma』。

音楽に疎すぎるので許してほしいんですけど、MAISON desが「メゾン・デ」と読むことを今回初めて知りました。それから、MAISON desという歌手がいるわけではない…んですよね(?)。

じゃあMAISON desって何?その実態とは??

調べても「6畳半のアパート」という情報しかつかめないので誰か教えてください…。

とにかく、この曲がアップテンポで声も良くて。映画だとOPムービーが挿入されることあまりないですけど、これからアニメが始まる!って感じでとても良かったです。

ED曲は原作者高山さん作詞の曲。すっごくきれいな歌詞だなと思いました。

「東西南北を青春切符で旋回中」
「途中下車する勇気が今のボクにはある」
「方位磁針はなくても星がある」

といった歌詞(うろ覚え)が特に印象に残ってます。

これを4人の声優さんが歌っているのもいいですよね。アイドル時代に主人公たちに歌ってほしかったな。

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その他細部にも注目

おじいさん役の内村さんが、思ったより内村さんでした笑。役の見た目の割に声がお若い。

内村おじいさんの取り巻きである2人のおじいさんの声、高山さんと西野七瀬さんコンビだったんかい、とエンドロールで総ツッコミでした。どうりでおじいさんの声に聞こえないと思った笑。

制作の状況などで難しかったんだと思いますが、せっかくの映画なので妥協せず何とかおばあさんにしてもらえたらよかったのにと。

まぁこれはこれでおもしろポイントとしてアリなのかな。仲よさげな2人の声が聞けたので。

あと、途中で一瞬映った、スタジオ収録表の「工事中で会いましょう」とか、細かいところまで手が込んでるなと思いました。もう一回見たらまた新たな発見がありそうです。








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