【娯楽メモ vol.8】や団「正義」
あらすじ
昼休み、伊藤から会社の屋上に呼び出された本間。そこで「部長が不正をしている」という事実を聞く。詳しい話を聞く本間だが、ゴミをポイ捨てしながら話す伊藤が気になって話が入ってこない。そこへ、遠くで遊んでいた中嶋が何度も、転がったボールを取りに訪れる。
感想(※ネタバレあり)
2年連続でキングオブコント決勝に進出しているや団さん。
ロングサイズ伊藤さんの狂人感に、本間キッドさんがツッコミを入れ、中嶋享さんが新たな展開を生み出す。
トリオコント師としては、東京03さんとはまた違った魅力のある3人組です。
キングオブコントで初めて「バーベキュー」のネタを見た時は衝撃で、めちゃくちゃ笑いました。
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いきなり垣間見える、伊藤さんの狂人感
本間さんを屋上に呼び出し、部長の不正について語り始める。しゃべりながら、右手のゴミをその場にポイ。
ここまでは現実的に(フィクション的に?)なくはない動きです。
しかしその後、左手に持っていたカフェオレを飲み干し、握りつぶし、その場に捨てる。
この段階でもう観客は「あ、こいつそういう人だ」と理解し、会場から笑いが起こります。
その間30秒。早い。
こういうシチュエーションコントは大抵、状況の説明やキャラクターの理解に時間を要します。でも、時間制限のある賞レースでも結果を残すや団さんだからこそ、最短で観客の心を掴んでいます。さすがです。
シチュエーションコントにおいて、「狂人」って強いですよね。一瞬で「変な奴」というキャラクターを確立することができて、その背景についての説明はあまり必要としません。
空気階段さんなどが代表例でしょうか。(もぐらさんの見た目が強すぎるのもありますが)
話を戻すと、ポイ捨ての流れでタバコに火をつけます。
本間さんの「喫煙所行こうか」に対して、謎の「大丈夫」。人の顔に煙を吐かない謎のマナーはあるようですが、タバコは即ポイ捨て。そして今度はモラルのない悪口ラッシュが始まる。
狂人ポイントを積み重ねていきます。
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「ボール取ってくださーい」と入ってくる中嶋さん
会社の屋上で昼休みに何してんだよ笑、とツッコみたくなる中嶋さんのバカっぽい演技。
これがまた、どっちの味方なのかわからないという絶妙な演技なので、今後こいつがどう関わってくるのか、楽しみになります。
伊藤さんが「映画を15分で解説するYouTubeチャンネルやってる」「庶務課の吉田も生理的に嫌いだから辞めさせたい」と着々と狂人ポイントを稼いでいく中、中嶋が何度もボールを拾いに来ます。
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ぴったりハマった本間さんのツッコミ
3度目にボールを拾いに来たところに、「邪魔だな!」とか「高校生じゃないんだから!」みたいなツッコミではなく、「バレーボール下手だな!」という一言。
これまで観客の心を代弁していたツッコミでしたが、ここでその少し上を行って、流れを変えた気がします。
そのまま、「こいつ、話を盗み聞きしにきた奴だろ」と、ガラッと空気が変わりました。
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爆発した狂人ぶり
これまで溜まってきた狂人ポイントを爆発させるかのように、伊藤さんが中嶋さんをテープで縛り、膝の上にブロックを乗せるという、江戸時代拷問を始めます。
ここからがや団さんの本領発揮ですよね。
「エビ攻め」という謎拷問ワードに、「何それ聞いたことない!」と即ツッコむのではなく、「エビ攻めだけはぁー!」というセリフを挟むことで、ただの唐突な1ボケで終わらせないところ。
頭をコツコツし始めて、(何…?)と思わせてから、「脳に一定のリズムで刺激を与え続けると精神が崩壊するんだよ」という怖すぎ発言。や団さんの得意分野です。
こんな風に、間とテンポに余裕をもたせ、キャラクターを最大限に引き出すや団さんのコントが、僕は大好きです。
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