いい意味で。
止まらずにペンを動かす。止まってはいけない。
ルールはそれだけ。それ以外は何もない。
もちろんいいものを作るという思考もいらない。
それはルールに含まれていないから無視でOK。
今車の6ヶ月点検で目黒の自動車販売店に来ている。
車屋ってなんか綺麗だしコーヒーとか出してくれるし、
人も少なめでめっちゃいい。
半年に一回あるこの時間が少し好き。
到着するやいなや案内係の方に車のキーをわたし、待合席へ案内される。
飲み物が書かれたメニューを見せられ、好きな飲み物を選ぶ。
特に平日のこの時間帯なんかはほぼ人がいないので、
スペースを広々使えるし飲み物も秒で運んできてくれる。
日常を優雅に演出してくれるJazzが軽やかに流れる店内の柔らかいソファから、
向かいの目黒通りを車がビュンビュン通るのが見える。
今日も世界は回っている。
自分の頭も回そう。冒頭に戻るけど止めてはいけない。
止まったとしても「止めている、進むために」でなければいけない。
回遊魚スタイル。作り手は止まったら死ぬと思ってつく続けなければいけない。
表現できなくても、表現できないことを表現すればいい。
そんなことがありきたりでつまらないのであれば、
クソに感じることをそのまま叫べばいい。
最高に感じることをそのまま叫べばいい。
やっちゃいけないことなど何一つない。何一つだ。
これをやるとどう思われる、とか。
これをやる前にこれをするべき、とか。
これだったらこっちの方がいい、とか。
何もない。なーにんにもない。何一つ。
窮屈にしているのは自分。制限をかけているのは自分。
全部の規制を外し、ただただ指が動くままに書けばいいのである。
出てきたものを眺め、うーむ、とかなんか顎に指を当てながら思い、即座に忘れる。
そしてまた次のものを書く。
それをただ続けるのみだ。
そうしないと頭の中にある自分だけのアイデアはほんの一部しか出てこない。
自分の作品に無関心になろう。いい意味で。
投げやりになろう。いい意味で。
つまんないことはやめてやろうぜ。いい意味で。
自分なんて所詮自分でしかない。いい意味で。
どうせ全ては無意味。いい意味で。
世界は愛で溢れている。いい意味で。
と、ここまで書いたことろで車屋のセールスの方が
ちょっとした会話a.k.a営業をしにきてくれた。
今の車もう10万キロ乗ってますよーということ、
8月に車検があるよー15万くらいかかるよーということ、
今乗ってる車のエンジンオイルのフィルター交換するよー金は少しかかるよーということ、
明るく楽しく話しつつ、基本的には金のかかる少し気が重くなるようなことばかりだ。
そんなことは一切表情に出さず「余裕っす^^ご丁寧にありがとうございます^^」
みたいな顔をして良いお客さんを演じている。
おっと、今ここまで書いている時に今度は整備のおにーさんがきた。
またもやお金がかかりそうですよーっとのことだ。
俺を干からびさせたいのだろうか^^
もう勘弁してくれよと思いつつ、ここでも「あーはい問題ないです^^」と良客を演じる。
まじどんだけ金かかるんだよ車ちゃん。
「もうだいぶ乗られていますけど、買い替えのご予定とかはありますカー?」と。
新車を買う余裕なんてあるわけがないがここは「あーはい、そーですねぇそろそろかなぁとは思ってますけど。」と
”可能性のある客”をやっておいた。
ご丁寧に車のカタログやら、いろんな車種の詳しい説明をしてくれた。一切買う予定はないのに。
自分に無関心になろう。いい意味で。
投げやりになろう。いい意味で。
手に負えないことは忘れようぜ。いい意味で。
自分なんて所詮自分でしかない。いい意味で。
どうせ全ては無意味。いい意味で。
世界は愛で溢れている。いい意味で。