【Youtube運営シリーズ】伸びる動画の特徴を機械学習で解析してみた&超大事なターゲット設定の話
この記事は前回からの続きの記事です。
<前回の記事はこちら>
はじめまして。よしだけいすけです。
僕は自転車が好きなので、自転車を楽しむ人をもっともっと増やしたい!と思い、自転車関連の仕事をしています。
そのあたりは↓のnoteに結構書いたりしたので、もしよかったらご覧ください。
で、なんやかんやで最近、知る人ぞ知る(自転車乗らない人は知らない、自転車乗ってる人の一部は知ってる笑)自転車系Youtubeチャンネル「FRAME」のプロマネ的な仕事をしていて、頑張って色々やってたら、↓のようなセミナーでの登壇をご依頼いただくようになりまして。
張り切って50枚くらいのスライドをせっせと作ったので、一回のセミナーで終わらせちゃうのもモッタイナイなと思い。
せっかくだしテキスト化しておくので、いつか誰かの参考になれば良いな〜と思います!
<Youtube運営シリーズ一覧>
①:やりがちなNG行動って?
②:いちばん大事な「ターゲット設定」&伸びる動画の特徴って? ←いまここ
③:データを起点にした企画の立て方(執筆中)
④:ちゃんと回る体制づくりとモニタリング(執筆中)
誰が見たら喜ぶチャンネルをつくるの?
ひとつ前の記事で大事!と書いたターゲットとペルソナの設定。
要はどちらも「どんな人が見たら、『このチャンネル超おもしれえ!』って思ってくれるようなチャンネルを作りたいの?」という問いなのですが、
「ターゲット」はなんとなくわかるけど、「ペルソナ」って何?という方もいると思うので、ちょっとだけ補足すると。
ターゲット…同じ性質を持つと思われる層、クラスタ(まとまり)、集団
ペルソナ…ターゲットの中でも、「特にこんな人!」という具体的な人物像
簡単に説明すると↑のように整理できます。
ここで頭の良い方は気づくと思うのですが、本来はペルソナが先に決まります。超具体的に「こんな人が見たら絶対喜んでくれる!」という人物像を発見し、その人と同じような性質を持つ集団って?と思考や調査を広げていきます。
人物像は「考える」のではなく「発見する」とあえて書いたのですが、
ここで大切なのは、自分に都合の良いターゲットを作り出さないこと。
「考え」はじめると、自分都合に走りがちです。
ありがちなミスとして、
「ゆったりサイクリングしている動画を見るのが好きな人をターゲットに、ゆったりサイクリングしている動画を作ろう!」とかっていうパターンがあります。
たしかにそういう人もいるかもしれませんが、
これは「自分がやりたいチャンネルを勝手に好きになってくれそうな人がターゲットです」と言っているに等しく、
作りたい動画が先にある
→それを見てくれる人はこんな人(だと思う)だからターゲットにする
という、自分に都合の良い順番になってしまってます。
「それってあなたの感想ですよね?」
(ダメとは言いませんが、それでヒットしてもまぐれなので、今回やりたい「持続性」、「再現性」という目的には合致しません)
本来は逆で、
こんな人をターゲットにする
→こんなひとは何に興味を持っているか調査・仮説立て
→それを動画にして仮説が正しいか検証する
です。
なんて偉そうなことを言いつつ、上の画像では全然具体性がないのですが、実は裏側で結構話し合って決めていたりします。
□FRAMEの想定ペルソナ
・45歳男性
・さいたま市在住 東京駅付近の会社に勤めている
・同い年の奥様と、13歳の娘と同居
・年収800万円 世帯年収1000万円
・健康を意識して、ランニングやウォーキングを朝や勤務後に週2~3回ほど行う
・子供が中学生になって、部活で平日の夕方や土日を留守にする機会が多くなった
・送り迎えなどに手がかからなくなったことで余暇時間が増えたことで、
せっかくなのでなにか趣味でも始めたい、と思い、会社の同僚と相談して、一緒に10万円ほどのロードバイクを最近購入した
・主に同僚と一緒に週末サイクリング、たまに一人でロングライドする
FRAMEの場合は、僕の着任時点ですでに運営していたチャンネルだったこともあるので、ここに「すでにチャンネル登録してる人をターゲットにするのか、それとも新規を狙うのか」という観点を追加した上で、このペルソナと同じような性質を持つ人をターゲットとしました。
□FRAMEのターゲット
・40~50代男性
・そこそこお金持ってる
・ロードバイクを所有している
・ロングライドや自転車旅を1回/2ヶ月以上している
・FRAMEをチャンネル登録していて、FRAME以外にもYOUTUBEやWeb検索で自転車に関して日常的に情報収集をしている
で、そんな人って存在するの?
ターゲットを設定したら終わり、ではありません。
次に大事になるのが、
そういう人ってほんとに存在するの?どれくらいのボリューム(人数)?
という観点です。
ターゲットはいるけど日本に10人です!だとしたら、チャンネル登録者はMAXでも10人。これだと(事業として)やる意味はありません。
必要に応じて官公庁や業界団体が公開しているデータを調査し、ドンピシャのものがなければ推定する必要があります。
ちなみにFRAMEの場合は、一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパン様が公開している「サイクリスト国勢調査」を参考に、ターゲットの規模を推定しました。
参考:「サイクリスト国勢調査2021」一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパン
ちなみに自転車関連だとこの他にも、総務省統計局が実施している経済センサス-基礎調査や、一般財団法人自転車産業振興協会が公開している統計データを参考にすることが多いです。要チェックや!
レジャーとして自転車を楽しむ方、健康のために自転車を楽しむ方はターゲットになりうるので、合わせて500万人ほど。
FRAMEのyoutubeデータ上、視聴者の95%は男性で、60%程は40~50代のため、掛け合わせて
500万人✗95%✗60%=285万人
が想定ターゲットボリュームになります。
仮にこの内10%くらいがチャンネル登録したとして、28万人くらい。
日本一の自転車youtuber、トップを独走する「けんたさん」の登録者数が2022年3月時点で22万人程なので、大筋では間違っていなさそうと確認できますし、伸ばす余地もまだまだありそうです。
そんな人に「刺さる」動画ってどんなん?
ここまで来て初めて、動画の内容の話になる、、と思いきや、
まだなりません。えっ?
動画の内容の前に、動画やチャンネルのフォーマット(形式)の話をしなくてはなりません。
具体的に言うと、「動画は何分がいいの?」とか、「投稿頻度ってどれくらい?」とか、そういう話です。
ここからデータの話が出てきます。
先程設定したターゲット。この人達が他にどんなチャンネルを登録しているだろうか?をペルソナから推定し、競合チャンネルを設定した上で、
その競合チャンネルの中で、他より伸びている動画にはどんな特徴がある?
というのを機械学習で明らかにしてみます。
※ちなみに使用するデータはkamuitrackerというyoutube解析サービス(有償)を使って抽出し、機械学習にはDataRobotという機械学習WEBアプリ(有償だがトライアル期間あり)を使用しました。
取得できるデータから調べてみた結果、色々明らかになります。
まずは「どんな要素が、動画の伸びる/伸びないに影響を与えるか。どの程度与えるか」を解析した結果です。
※少し専門的な話になりますが、「動画の再生数」を予測するような予測モデルにすると、そもそも長くやってるチャンネルとか大きいチャンネルのほうが伸びるに決まってますやん、となってしまうので、「動画公開時のチャンネル登録者数に対する再生数が一定以上の割合になるか」をターゲットとしてYes/Noの二値を予測するモデルにしました。
色々端折って結論だけ言うと、動画の再生数に一番影響するのは「2020年」とか「2021年」とか、「何年にその動画を投稿したか」というものでした。
これが示しているのは、少なくとも競合チャンネルの直近の再生数は、おおまかに年単位で同じような動きをしているということです。
コロナでお家時間が増えて2020年にみんな再生数が増えた、などが要因として考えられます。
面白いデータですが、知ったところで役には立たないので次に進みます。
逆に逃げるのは恥ですが役に立ちます。
次に重要なのが「タイトル」、次点で「どのチャンネルが出しているか」。
タイトルが重要そうなのは直感的にも理解できます。
じゃあどんなタイトルがいいのか?は気になるところですが、後述するのでここでは一旦おいておきます。
どのチャンネルが出しているか、が動画の伸び方に影響するのも理解できます。いわゆる勢いのあるチャンネルは、内容に関わらず再生数が伸びやすい傾向にある、ということを示しています。
分かったこと②は、「動画の長さは8~15分」。
これは具体的に使えそうな内容です。
8分程度までは、動画の長さと再生数が線形の相関関係にありそうなことが読み取れます。8~15分の間はばらつきがありつつも横ばいっぽい。それ以降はボラティリティが高いので、一旦動画の長さは、短くて8分、長くて15分の間におさめるのが良さそうです。
分かったこと③は、投稿の頻度です。
結論、前の動画から3日(つまりなか二日あける)がベスト。次点で2日(つまり1日おき)、ということがわかりました。
↑だと投稿頻度が開くほど伸びるのか?と見えてしまいますが、N数(データの数)が十分でないので度外視して考えると、前の動画からの日数が1日〜3日を切り取ると、空けるほど再生数が伸びやすい。逆に4日をすぎると6日まではどんどん下がっていく、という形になっています。
ここまでで動画のフォーマットが決まったので、いよいよ「どうやって動画の企画を立てるか!」という話に入りますが、また長くなってきたので、続編にてお会いしましょう!
③:データを起点にした企画の立て方(執筆中)へ続く