結婚式で読んだ母への手紙を晒してみる
母へ
こんな機会でもなければ、あなたに手紙を書くことなどもう一生ないと思うので、
今日は思っていることをお伝えします。
あなたが覚えているかどうかわかりませんが、
実はすごく後悔していることが、ひとつあります。
何年前だったか詳しくは覚えてないですが、その日は僕の誕生日でした。
あなたは僕に電話をかけてくれて、毎年の通り、誕生日おめでとう、と言ってくれました。
でもその年はちょうど、僕の何度目かの留年、しかも卒業できないということが決定した直後で、僕はかなり気が滅入っていたので、
「僕は生まれてきたことを祝う価値のある人間ではない」と、あなたに言いました。
親であるあなたに、自分は生まれてくるべきではなかったと言ったのです。
僕はずっとそれを後悔しながら、謝ることもできず今日まで生きてきたのですが、
今日、その謝罪と訂正をさせてください。
母さん、あの時はひどいことを言ってごめんなさい。
僕は今とても幸せですし、
今までもずっと幸せでした。そしてこれからもそうです。
生まれてきて良かったと心から思っていますし、これからも思い続けられると思います。
そう思うきっかけをくれたのは、隣にいる〇〇さんですが、
こんな素敵な女性に愛してもらえるような人間になれたのは、母さんに育ててもらったおかげです。
僕はきっと、〇〇さんを幸せにできると思います。
もしも、僕と〇〇さんのあいだに新しい命が宿ったら、その子もきっと、すごく幸せに生きられると思います。
なぜならば、家族を幸せにする方法を、僕はすでにあなたから教わっているからです。
僕にとって親の見本は父さんと母さんだけだから、僕はきっと2人が僕にしてくれたようにしか、〇〇さんやその子に愛情を注ぐことはできないでしょう。
でもそれで十分すぎることを、僕は知っています。
だからあなたの人生最期の仕事は、僕がちゃんとあなたのようにできているかをチェックすることですね。
そろそろ後期高齢者に片足を突っ込んでいる年齢かと思いますが、ずっとずっと元気でいて、これからは僕ら2人のお母さんとして、
もしかすると子供のお婆ちゃんとして
見守り続けてください。
今日は来てくれてありがとう。
出来の良い息子より