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Recommended #2019

※以下、年末の記事をリストアして再編集したものです。

年の瀬も年の瀬、ストーリーなんかではこの一年間のご褒美とばかりにきらびやかな映像がとめどなく流れてきて羨ましいかぎりですが、かたや各社のベスト・アルバム、ソングも大方揃い踏み。大体この時期に可能な限りチェックしておくんですが大概読まずに次の年末を迎える訳です。

そもそも評論家というかいわゆるエディターの方々の仕事内容 (あくまで想像の範疇を出ませんが) 沢山音楽を聴いていてその豊富な、あるいは専門的なバックグラウンドから対象を評価するという行為は、それで食っていけるのなら憧れもありますが、これを素人がやったところで酒の、それも2-3軒目の梯子酒でようやく肴になる程度のものです。あまり美味しくない。

もっと言えば評論家先生、これを皮肉混じりに捉えると鼻につく上から目線。まっこと気に食わない…なんて話を1軒目の酒場で先輩と話していました。もはやここまでの流れでこのテキストの信憑性は皆無、地に堕ちた「堕文」な訳ですが。ロッキング・オン・ジャパン万歳。まあ、それでも良いもんは良いし、この感情を誰かに押し付けたい。ということで「おすすめ」の形を取り、この話を進めていきたいと思います。「おすすめ」、ていのいい言葉。

「2019年のベスト・アルバム」となると、基本的に今年リリースされたアルバムから、なんてことになりがちですが、いやいやちょっと待てと。昨年末に発売したものはどちらかというと今年よく聴いたんじゃないかと、なんならお気に入りのアルバムともなると前に幅1年くらい持たせた方が良いんじゃなかろうかと、そう思いまして (というのも最早2018年5月リリースがあったので) という訳で、そんな感じで、とっとと参りましょう。「リコメンデッド2019」

リコメンデッド2019「今年の私的ベスト・アルバム」

『POLY LIFE MULTI SOUL』- cero

2018年5月リリースというのがこれですね、ceroの新譜。たしか高校の時に教材としてもらった村上春樹の『レキシントンの幽霊』この短編の (階下で行われた幽霊のパーティのような) 空気を、静かに流れる川のように横たえています。
「連なる生、散らばる魂」というタイトルには色々と考えを巡らせることができたし、『夜になると鮭は』(と、これは村上春樹が訳したレイモンド・カーヴァーの作品だそうですが) ポエトリー・リーディングというものに本格的に興味を持ち始めたきっかけでもあります。大雑把に言えばパラレルワールドをベースにこの作品と村上春樹は浅からぬ関係にあるのでは、と勘ぐってもしまいますがそれは置いといて。どこか不穏で怪しげな音にご機嫌なリズムが乗っかっているとても楽しい一枚です。

『ai qing』- KID FRESINO

「己の才能に敬意を示した」と高らかに謳った『Turn.(who do) ft.jjj』を聴いてからのファンです。ヒップホップを楽しむようになったのもこの時期で、前述の先輩とその格好良さを語り合っていた記憶があります。とにかくいわゆるフロウ (歌い回し) がズバ抜けて格好良いんです。そして待望の新作。『Coincidence』の展開の意外性 、『Arcades (feat. NENE)』はゆるふわギャングとコラボしていて、これもまた良い (ゆるふわも『Escape To The Paradise』にどハマりしましたが、この曲はスーパーカーの『Free Your Soul』をサンプリングしていて、悶絶) 。とにかく、社会人になったその年の年末に聴いて、同時に同世代ということも知って当時は悶絶。それくらい格好良いアーティストです。

『ルール・ブルー』- 原田知世

原田知世さんは言わずもがな、『ブレンディ』のCMでお馴染みの。この方が歌も歌っていると知ったのは『時をかける少女』ではなく、ライブでコピーする曲に悩んでいた時、差し出された『くちなしの丘』でした。ボトルコーヒーのCMからここまで変わらぬ透明感。加えて少し低いトーンになった時の大人の陰と言うんですか、そんな感触を味わえるアルバムです。これはもうずっと聴いてました。『ルール・ブルー』というタイトルも好き。

『Weather』- Tycho

ここから今年の作品です。Tychoの新作。今年の夏はこれで乗り切りました。これまで歌が入ることはなかったようですが、ここにきてまたぴったりの声が。耳馴染みがとても良く、今年のフジロックも好評。前作に続きグラミーにノミネートされたそうです。

『「潤一」オリジナルサウンドトラック』- Koji Nakamura

これは本当にいたるところで聴いていました。それこそ起き抜けの部屋の中で、あるいはあてもなく何か聴きたいといった時に。「潤一」という短編集原作、是枝監督のチーム企画でドラマ化され、そのサントラにナカコーことKoji Nakamura (ex.スーパーカー、LAMA) が参加。サントラというもの食わず嫌いで、どうしてもシーンとリンクしてしまいがちなのではと首を傾げていましたが杞憂でした。これもまた感覚的な話ですが、一つ一つとても丁寧に作られた印象のアルバムです。

『mint exorcist』- FINAL SPANK HAPPY

最後、はりきっていきましょう。最終スパンクハッピー『mint exorcist』
スパンクハッピーというユニットは僕らが生まれた年からあるようで、一期二期と変遷をたどって今回、最終形と成る訳ですが。このアルバムの根底には「音楽は楽しいよ」ってメッセージが流れているようで、その温かみの上で聴いていられる安心感というか、童心に帰るというか、クスッと笑えるアルバムになっていると思います。

以上、「今年の私的ベスト・アルバム」でしたー。

(※順不同というか、発売日順です。一応Spotifyの自動作成プレイリスト「My Top Songs 2019」を参考に、思い入れをかなりプラスして)

最後に、「今年の私的ベスト・ソング」を少し。
YouTube のリンクを置いていきますので、まだお時間ある方は是非。

リコメンデッド2019 番外編「今年の私的ベスト・ソング」

『Make It Forever』- George Clanton
『Break-Thru』- Dirty Projectors
『EYES(feat. CONY PLANKTON)』- AAAMYYY, CONYPLANKTON
『The 1975』- The 1975 (『Notes On A Conditional Form』収録予定)
『I Don’t Think I Can Do This Again』- Mura Masa, Clairo
『Playground』- Steve Lacy

それでは皆様よいお年を。

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