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BACK TO THE 90's
皆様、新年明けましておめでとう御座います。
2023年が終わり、新しい年が到来しました。
昨年も素晴らしい音楽に恵まれ、充実した年を過ごすことができましたが、やはり1番聴いたのはHIPHOP。それも90年代。
この時代のラッパー達のエネルギーは、今の時代には無い全く異なったものだと私自身感じています。
今のように充実した設備や技術はなく、ただ我武者羅に自分の音楽と向き合い、作品を世に送り出してきた先人達の意思は途絶えること無く今の世代へと受け継がれています。
そんな90年代のHIPHOPからあまり世に知られていない絶対に聴くべきアルバムを15枚ご紹介したいと思います。
それではどうぞごゆっくりお楽しみ下さいませ。
The Ballers - A Day Late and a Dollar Short
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フロリダはオーランドを拠点に活動していたDiante Singelton, Pat Carrs, Samuel Ayers, Toneye Brownの4人から成るユニット、The Ballersが'97年に遺した幻の名盤。
90年代のG-Funk黄金期に突如として現れた彼らは、Cherrelleが1985年にリリースした" High Priority "でAlexander O'Nealを迎えた" Saturday Love "をサンプリングした屈指の名曲" Saturday "を筆頭に、最高にメロウなG-Funkアルバムを作り上げました。
The Ballersはほんとに情報が少なくて、このアルバム以外に作品を作っていたのかなどはお伝えする事が出来ませんが、この時代のG-Funkはほんとにメロウなものからハードコアなものまで多種多様なので、調べれば調べるほど面白い作品に出会えます。
これはHIPHOP好きなら絶対に聴くべき90年代必聴アルバムです!
Capital Tax - The Swoll Package
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カリフォルニアはオークランド出身のHIPHOPユニット、Capital Taxが'93年にリリースしたデビュー作。
DJのCool Al, Big M.C.にラッパーのTMD, Scruff, ダンサーのBozie, Loose Dukieから成る大所帯。
だけどその一人一人が与えられた役割をしっかりとこなし、最強のバランスを持っているのがCapital Taxの1番の強みです。
90年代初頭はまだこういったB-boyが所属しているグループも珍しくなく、パーティーから始まったHIPHOPの歴史を顕著に表しているグループでもあるかもしれませんね。
曲自体もどちらかと言えば、De La SoulやA Tribe Called QuestのようなNew School。
あの頃は世はまさにDe La Soul時代であったためにNew Schoolに影響を受けたラッパー達も多く出てきていて、Capital Taxもそのうちの1つですね。
Down Ta Erf - Down Ta Erf
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カナダはトロントを拠点に活動していたHIPHOPユニット、Down Ta Erfが'97年に残した今作。
MCのMathematikとプロデューサーのWall & Steelからなるトリオで、Jazzを多様にサンプリングした90年代半ばのEast Coast Hiphopを軸としたスタイル。
今ではカナダと言えばDrakeやJustin Bieberなど数々のアーティストがいますが、この頃はまだ未踏の地。でもこういったUndergroundで活動していたアーティストは調べれば多いようで、Mathematik率いるこのグループもその1つ。このアルバムがリリースされた2年後にMathematik自身もソロとしてデビューアルバムを出す訳なのですが、そちらもJazzを基調とした非常にチルい仕上がりで大好きです。
GuruやPete Rock、Slum Village辺りが好きな方にはぶっ刺さると思うし、万人受けしやすい作品だと思うので是非とも聴いて欲しいです!
Example - Impulses
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テキサスはヒューストンを拠点に活動していたDJ Cipher, Dekayから成るデュオ、Exampleが'97年に残した今作。
この90年代後半はジャジーなHIPHOPが主流だった時期でもあるのでこういったLofiで落ち着いた作品も少なくありません。
90年代初期のような早回し的なスタイルだったり、Busta RhymsのようなゴリゴリなEast Coast Hiphopとは一線を画すスタイルを持つ今作はJazzをサンプリングしたビートを基調としていますが、どこかTribeのようなNew School感もある新鮮な作品でもあります。
こちらも万人受け間違いなし & 捨て曲なしの神作なのでおすすめです!
Foesum - PERFECTION
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カリフォルニアはロングビーチを拠点に活動してい るT-Dubb, MNMsta, DJ Glazeの3人から成るトリオ、Foesumが'96年にリリースしたデビュー作。
元々は MNMとGlazeが高校時代に結成したPerfectionというグループが始まりで、Snoop Doggもメンバーとして活動していたらしいですが、詳しい所は分かりません。でもそれほど西海岸ではレジェンド的存在で、Easy-EやWarren Gも賛辞を贈るほどのグループなのですが、あまりFoesumが好き!っていう日本人を見掛けないので今回紹介させていただきました。
20年以上のキャリアがあり、今も勢力的に活動しているレジェンドなので、G-Rapが好きな方、西海岸をdigりたい人はまずFoesumを聴きましょう!
Ill Biskits - Chronicle of Two Losers
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バージニアはピーターズバーグ出身のUnderground Rap Duo, Ill Biskitsが '96年にリリースした今作。
Darrell DurantとCharles DeShieldsの2人からなり、クラシックなEast Coastスタイルでシンプルだけどずっと聴いていたいアルバムです。
'94年にリリースした"22 Years "という曲がLord Finesseプロデュースという事もあり、一躍注目を集めますが、そこからは商業的な成功は一切なく、HIPHOPの歴史の中に埋もれてしまいました。それでも彼らの音楽は不滅で、ファンの中では隠れた名盤として脈々と受け継がれてきました。
美しいメロディとクラシックなBoom Bapはいつ聴いても私に精神的安定を与えてくれます。
Darrell Durantは2012年に心臓発作により、御逝去されたそうです。今年で12年になりますね。
ご冥福をお祈りします。Rest In Piece🕊
Krumb Snatcha - Snatcha Season Pt. 1
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マサチューセッツはフィッチバーグ出身のラッパー、Krumb Snatchaが '98年にリリースした今作。
Gang Starrの制作にも関わり、Guruとも個人的にコラボしたり、M.O.P.やEd O.G.など名だたるメンバーとコラボしてきた彼のラップはやはり格別。
ハスキーなバラエティと力強く芯があるフロウをいかんなく発揮する彼のスキルには脱帽せざるを得ません。
M.O.P.とコラボした" W.O.L.V.E.S."はまさにbomb。
この曲をもしリアルタイムの生ライブで見ていたらと思うと、それはもう当時の人が羨ましすぎて仕方がない。この曲を聴いて首を振らない人はいないでしょう。Gang Starrとコラボした" Make 'Em Pay "もDJ Premierのビートの上で自由自在に乗るGuruとKrumb Snatchaの兼ね合いが見れて、聴いていて楽しい名曲です!
Lower Life Forms - The Whole Universe Is Ours
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ヴァージニアを拠点に活動していたUnderground duo、Lower Life Formsが '97年に残した唯一の作品となる今作。
プロデューサーのZecharian WiseとDJ Dialtonにより構成され、キックやスネアなどの音をクラシックなBoom Bapスタイルとは異なった配置に転換していき、この時代ではまず見ない、これぞUnderground!!って感じのビートを創り上げた彼らには正直脱帽です。
まさに隠れた名盤。これはお宝発見すぎたし、見つけた自分を褒め讃えたい。
Lower Life Formsの2人はこのグループの他にも
Team Demolitionとしても活動しており、'95年にはアルバムをリリースしたり、昨年には彼らの活動期間で発表できていなかったデモ曲を収録したコンピレーション作がストリーミング解禁されたりしているので是非!超カッコイイですよ!
Mac & A.K. - Westbound (For Riders Only)
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カリフォルニア出身の2人組、Mac & A.K.が '96年にリリースしたファンの間では伝説のデビューEP。
デビュー作が伝説認定されたアーティストは数える程しかいません。西海岸ではSnoopのDoggystyleがそれに該当しますが、このアルバムも大傑作です。
近年西海岸でチルいLofiラップ旋風を巻き起こしているLarry JuneとJay Worthyが2022年にリリースした「2 P'z In A Pod」が大好きなんですけど、それを90年代版にしたような作品なんですよね。
聴いてると夜にアメ車のローライダーに乗って、クラブへ行って朝まで遊びまくる情景が浮かんでくるような感じがします。
ほんとにこれは大傑作。夏の夜なんかこれしか聴けなくなるぐらいに。HIPHOPを聴く人全員におすすめする1枚です!
Poppa LQ - Your Entertainment My Reality
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カリフォルニアはサウス セントラル出身のラッパー、Poppa LQが '95年にリリースしたG-Funk大傑作!
Poppa LQはLaquan名義で '90年にデビューアルバムを出しているんですけどそれは全然G-FunkじゃなくてなんならちょっとNew Schoolっぽい感じもします。早回しのビートに一定のフロウで淡々と韻を踏んでいくスタイルがあの頃主流でしたからそれに乗っかったのかもしれませんね。
このアルバムはThe Ballersに次ぐほどG-Funkの中では好きなアルバムです。
メロウなスタイルのSouth Cetral SoldierからゴリゴリのG RapスタイルのKilla 4 My Foodまで、G-Funk黄金期の風を存分に感じる事ができる大傑作です!
Punk Barbarians - Sex, Props, Cream... And The Drama In Between
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NYはロングアイランドを拠点に活動していた4人組、Punk Barbariansが '96年にリリースした唯一作。
アーティスト名とは打って変わったジャジーでチルい90年代のEast Coast Hiphopを顕著に表しているUnderground Classicです!
Jazzを聴いてる人なら誰もがしる名トランペット奏者のDonald Byrdを迎えたThe StruggleはまさにJazzとHiphopの融合を体現した最強にして最高の曲。Punk Barbariansのメンバーが多彩なフロウを駆使し、Donaldが奏でる奥が深い激渋トランペットの音色にリズムをつける。最初から最後まで隙なんてない完璧すぎる大大大名曲です!
ほんとに今の今まで知らなかった自分を説教したいぐらいに。皆さん、これは絶対に聴いてください!
Rec Center - Lonely People
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イリノイ州出身のHiphopグループ、Rec Centerが '99年にリリースした今作。
このジャケットを見れば分かる大所帯グループで、元々9人のMCと複数のDJで結成されました。
9人もいればバランスを取るのが難しいと感じるのが普通ですが、このグループはそんなことを一切感じさせないほどのバランス力を誇り、一人一人が細かい部分を補強していきながら、このアルバムを唯一無二のクラシックへと導きました。
90年代のシカゴ周辺はDa BratやCommonのようなクラシックなスタイルを持つラッパーや、トラップを軸にしていたTwista、独自のスタイルを確立していたCrucial Conflictなどがいましたが、東や西のようなクラシックばかりな地域ではないため、歴史の彼方に埋もれてしまっているアルバム達は数多くあります。
このアルバムもそのひとつです。
この記事をきっかけに色んな人に聴いてもらいたいUnderground Classic!
Rough House Survivers - Straight from Soul
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MCのDread One, Kev, RobertoとDJ Swinnから成る4人組、Rough House Surviversが '92年にリリースしたデビューアルバム。
この頃はDe La SoulやTribe、Brand NubianなどのNew Schoolが一世を風靡していた時代。
そんな時に出てきたのが彼らです。
当時Mary J. BligeのプロデュースやPuff Daddyの右腕として活躍していたプロデューサー・Tony Dofatの力を借りてデビューしました。
アルバムの客演も豪華で、C.L. SmoothやSadat XにGrand Pubaまで!
Pubaとの曲・Stick da Butt OutではLou DonaldsonをサンプリングするなどTonyの多彩さも伺えますが、セールス的には上手くいかず、歴史の中に埋もれてしまいました。
このアルバムが好きなだけに残念ではありますが、やはりいつの時代もHIPHOPは競争が激しいですからね…
しかし!彼らの残した軌跡は絶対に途絶えさせてはいけません!このクラシックを是非とも聴いて頂いて、まだ知らぬ人へとバトンを繋いで行って欲しいと思います。
Sons of Light - Me & My Mans
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NYはクイーンズ出身のHIPHOPグループ、Sons of Lightが2018年にストリーミング解禁した未発表録音作品!
Jae Supreme, Syl Drama, Lord Pharoah, Chico Sonの4人から成りますが、このアルバムではJae SupremeがMCではなく、プロデューサーとして陰で尽力していたため、ジャケットに写っているのはそれ以外の3人が写っていますね。
クイーンズに限らず、NYで蔓延る犯罪や、自分達の意思表示、HIPHOPのルーツについて触れたこのアルバムは間違いなくクラシック!
今やクイーンズのレジェンドとして席を構えるプロデューサーのJaeが、ピアノループや多種多様なサンプリングを施し、他のMCをより引き立たせているのが聴いていて分かります。
94年がHIPHOPにおいて最も重要な年であることは間違いありませんが、その後の95年~97年辺りはいわゆるHIPHOPというジャンルの進化を目の当たりにすることができる改革の年。
もし90年代のHIPHOPをもっと掘りたい!という方がいらっしゃいましたら94年も最高ですが、その後のHIPHOPというジャンルの経過を感じていくのもまた1つの醍醐味だと思います!
Sons Of Sam - Ya Oughta Know
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ペンシルベニアはフィラデルフィア出身のUnderground Hiphopデュオ、Sons Of Samが '94年にリリースした今作。
Raphael XavierとPA-Kidの2MCスタイルのグループは、Xavが中心的存在を担っていると思われがちですが、実際のところこのグループを押し上げているのはPA-Kidの類稀なるラップスキル。
もちろんXavによるサンプリングを基調とした数々のトラックには目を見張るものがありますが、そのどんなトラックにも自由自在・変幻自在にラップをかます事が出来るPA-Kidにはそれ以上の賛辞を送る必要があります。
Xavもこのグループについて、「個人でやっていた時もビートを作っていた。それはPAも同じ。PAは俺が作るどんなトラックにも適応してくれる。元々彼のDJとして活動していた時に、マニフェスト(仲間のMC)がXayって名前をくれたんだ。」と言っています。
彼がどれだけPAのことを信頼しているのかがこの文章で伝わってきますね。
まさにそれを感じる事ができるのがこのアルバムです。
彼らの代表曲と言っても過言では無い" It's Like That "から始まり、全体的にJazzのサンプリングを使ったEast Coastらしい仕上がり。'94年といえばHIPHOP全盛期であり、数多くのクラシックが生まれた年ですが、この作品もその歴史に刻み込まれるべきクラシックです!
最後に
如何でしたでしょうか。
私もHIPHOPを本格的に聴き始めたのは高校2年生ぐらい、ちょうど5年前ぐらいですね
その時のHIPHOP市場はもうトラップ1色だったので
私もそれにつられてトラップばかり聴いていたのですが、その時に初めて聴いたJ. ColeのNo Role Modelzに衝撃を受けて、東海岸のHIPHOPについてもっと知りたいと思い、ディグるようになりました。なかなか珍しい遍歴だと私自身も感じておりますが、自分にとってあれがなかったらここまでHIPHOPにのめり込んでいなかったと思います。
今回取り上げたのは、あまり馴染みのない私個人が感じるクラシックやファンの間では名盤だけど、最近聴き始めた方にはあまり馴染みのないアルバムでしたが、その他にも沢山歴史に埋もれてしまったアルバムは数多くあります。
HIPHOPを愛するならば、その埃を被ってしまった名作達を見つけて欲しいと思います。
最後までお目通し頂き、誠に有難う御座いました。
また次の記事でお会いしましょう。
以上、SHADYでした。