バトン 〜叩き〜
自分としては、バトンは「叩きに始まり叩きに終わる」っていうぐらい重要なものだと思っています。
これが出来ればバトンとしては8割出来上がったと言っていいぐらいに思っています。
叩きが出来れば後のことは殆どその延長線上にあるんじゃないかと。しゃくいも平均運動もワルツもそれ以外の応用的な振りも。
叩きって何?
どう考えても無茶苦茶なのですが、中大附属で指揮者になったときに一番最初に「指揮法教程(斎藤秀雄著)」という本を薦められるんですね。今はどうか知らんけど。
この本の中に、叩きやその他の運動についての説明があります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4276141109/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_QRMJA02ZC19KHK35FZS1
※斎藤秀雄先生が誰か?についてはもう言わずもがなだと思うので割愛します。
ということで高校時代の学指揮生活は、この本と、先輩からの「叩きの教え」が大きなウェートでした。
今の時代ならもっとマイルドな指揮法の本があると思うので絶対そっちの方が良いです。
どう考えてもど素人が読むには難解かなと。分かる部分もあるとは思いますが。
さて、叩きですが、私個人としては「叩き」って名称が微妙だなぁと思っています。
自分の中では「跳ね上げ」だと思っています。
叩きっていうと強めな能動的ニュアンスがありますが、叩きは「跳ね上げからの脱力」によって作られると思っていて、「叩きにいこう」と力んでしまうのはあまりよろしく無いことかなと。
どうやって跳ね上げるのか?
共通言語じゃないかもですが、我々が「指揮筋」と呼ぶ筋肉があります。
つっても「指揮筋」で検索したらサクっと下記の動画が出てきたので参考までに貼らせていただきます。
https://note.com/ryohirabayashi77/n/n2885ce582a94
この筋肉は「不随意筋」と呼ばれていて、要は「普通意識して使わない筋肉(=無意識のうちに使っている筋肉)」になります。まぁ普通こんなところの筋肉を意識して使わないっすよね。
で、叩きは、この「不随意筋を随意筋にする」ことによって実現されます。
叩きでやること
* 点のところで指揮筋を使って腕を撥ね上げる
* 跳ね上げの為に力を入れるのは一瞬
* 跳ね上げたら腕の力は即脱力
練習では
* 脱力の練習
* 跳ね上げ力をつける練習
が必要かなと。
脱力については、とにかく試行錯誤して自分がやりやすいスタイルを見つけてみてください。
* 基礎練始める前に体の力を抜く
* 右腕側で一発だけ強く跳ね上げて、落ちてきた腕はそのままブランブラシさせて腕全体の力を抜く練習をする
* 右腕だけ脱力って難しいので、両腕や肩の力を抜くようなイメージ
* ゆっくりのテンポで1拍子でボールが跳ねるようなイメージで練習する
* 叩きにいかない、跳ね上げ後に脱力した腕がまた打点のところに落ちてきたら指揮筋で跳ね上げてあげるイメージ
* 湯船に浸かって腕の力抜く(うまく脱力できると浮いてくる)
* etc
跳ね上げについては、
* 1拍子で同じ振りでとにかく強く跳ね上げ続ける
とか
* 左手で右手の手首あたりを押さえて指揮筋だけ瞬間的ないし持続して力を入れる(とにかく随意筋にする)
やったりしてみると。
また、基礎練としては
* 中庸なテンポ、普通サイズの絵で基礎練
* ゆっくりしたテンポで打点をヘソの前にして全身使って大きな絵を描く、強く跳ね上げる
* 早いテンポで小さい絵を描く
とか色々考えてやってみるといいです。ヤクルトの山田哲人さんが色んな種類のティーバッティングするような感覚です(勝手に一緒にするな)。
兎にも角にも叩きの安定は音楽に安定をもたらすので、自然に・意識せずに脱力と跳ね上げができるようになると、そこから先の話が出来てくるかなと。叩きが不安定なままだと、音楽もバラバラズレズレになるし、その状態で何か想いを乗っけようとしても無茶苦茶になっちゃうかなと。想いがないより遥かに良いとはいえ。
なのでもし基礎練やろうと思った方は、指揮者になった日から指揮者辞める時までこの基礎練は絶対にやめたらダメです。年単位でかかるので。
でも真面目にやったら絶対良くなってくるし、それは中大の後輩達で証明されているのでコツコツ頑張ってみてもらえれば。
(続く)