45分一本勝負
小学校理科の先生のお手伝いをしている。昨年4月、はじめて授業にでて戸惑ったのが、45分間で終わるということだった。1コマが終われば5分間の休憩、というより準備時間をはさんで、次の教科の45分が始まる。
1コマは小学校が45分、中高が50分、大学が90分だそうだ。「そうだ」というのは記憶が遠いからだ。そういえば、大学で90分になって長いなあと感じた気がする。就職してからは、そんな決められた時間制限はなかった。用が済めば早く切り上げるし、結論が出なければ終わらない。
先生は大変だなあと思う。45分で区切りをつけなければならないから。とくに理科の実験なんかは、学習問題(テーマ)と手順の説明から実験、それに結果までを終わらせないといけない。
時によっては、「こなしている」という場合もあるに違いない。子ども(生徒)の顔つきを見ていればよくわかる。
先日、4年生の実験があった。テーマは土による水のしみ込み方の違いを見るというもの。砂場の砂と、粘土質に近い校庭の土を振るって細かくしたものを用意した。穴をあけたポリカップにティッシュを敷き、その上に「土」を入れる。水をかけて、下穴から出る水の量と色を観察する。
「うまくいかなかったら、やり直しできるよ」
と声をかけたのだけれど、先生は目で時間がないと言う。あと5分、まとめに入らないと45分が過ぎてしまうのだ。
実験だから失敗はつきもの。なぜ失敗したのか考え、うまくいくまでやらせてやりたい。自分の目で確かめるのがいちばん。他の子どもの結果を聞いても頭にはいらないだろうに。でもねえ。45分だから仕方ない。先生も子どもも、次の授業が待っている。
何とかできないものかしら。
そうか、課外教室をやればいいのだ。放課後でも、昼休みでもいい。理科室を開放して、うまくいかなかった子どもたちにもう一度実験をやらせてあげる場をつくろうと思う。