名古屋市議会解散請求をふりかえる その4(当初目的と世論醸成の仕方考察)
はじめに
愛知県知事リコール活動のゴダゴダを考察するために、約10年前の名古屋市議会解散請求に至る経緯を調べていきました。
議事録をベースにコピペ記事を上げています。
これまで、議事コピペメインでしたので、今回は私の意見・考察をメインに記載してみたいと思います。
本記事は事実や真実を伝えるものではなく、私の感じ方・意見ですので、読まれる方はその点をご留意ください。
河村市長の意図は何か?
氏の経歴等はWikipediaなどで確認ください。古紙回収業で、司法試験に落ちてて、国会議員になって…という方。
私と同世代ぐらいの人だと、ビートたけしのTVタックルによく出ていたのを覚えている方もいるかな?個人的には、浜田幸一氏と並んで好きな(面白い)国会議員だなーとの印象でした。
それらも踏まえたうえで、私の印象です。
まずはポジティブな印象
・自分の考える政治の在り方:党議拘束のない、議案毎に議員が都度評決を決めるような形を実現したいのでは?
⇒崇高な政治理念に則り、とするか、壮大な社会実験をしようとしている、とするかは個々の感じ方次第
・実現の方法:世論を味方につける、法的に定められた手段を遵守する、という2点なくして実現はできないと理解しており、各々上手く扱っている。
特に世論を味方につけるという点では、当人のキャラクター等もあり、非常に上手。
次にネガティブな印象
・自分の考える政治の姿をただただ実現したい、実験したいだけ?
・「減税」を「庶民のため」と言いながら、腹の中は別の事(私利私欲)を考えていて、巧妙に隠している?
・対立構図をあおり、巧妙に世論ウケする「フレーズ」を作り出している?
・根底には、市長としての実権を握りたい、実権を握ることで「何か」をしたい?
名古屋市議会の意図は何か?
2009年(平成21年)11月定例会では、まだ建設的な議論がなされているように思えましたが、4月臨時会はひどいものになってます。
どうしても、ゴシップ好きとしては4月臨時会の内容(言った言わない、印象操作だ捏造だ)の方が面白いのですが、11月定例会もふまえての私の印象です。
まずはポジティブな印象
・一部会派を除き、それなりに市長提案の議題に基づく、二元制民主主義のあるべき姿などについて、議論を重ねている
・市長のいわば「変革」について、障害となるべき法的事項、倫理的事項、実態事項について、「反対」の立場としてではあるが、議論をし答えを探ろうとしている。
・報酬議論はいい視点を出してる。公務に係る費用を捻出する必要のない知事報酬と、公務に係る費用捻出も必要な議員報酬。比較の原則からすると、ずれているというのは確かに納得。
次にネガティブな印象
・事前説明が無いことを、何故に問題視する?無かったことを問題視し、何故に必要かを論じていないのは、自分達がチヤホヤされないことの駄々っ子?
・知事報酬と議員報酬の比較はおかしい、という論点は正論。ただ、「で、いくらが適正なのか」を「どう見出していくか」の議論は触れていない。自分たちの報酬、触れるな!としている?
・どうしても、議員の立場(議席数、報酬等)を現状保持したい、と見えてしまう。
その他の課題感
市民税恒久減税条例について、議員提案による1年限りの条例変更案で可決しています。この内容は、各会派で議論(非公開)し、委員会で会派毎すりあわせ、本会議で議決しています。
このように、市長等、市政執行部が提案し可決された条例も、議員提案という形で変更ができてしまうのも、現状の民主主義のシステムなんですね。
名古屋市の例は、市長と議会の対立による事例ですが、直接請求事例における、住民と行政&議会の対立による事例として、小平市住民投票条例の事案があります。少しだけ触れます。
東京都小平市 住民投票条例のゴタゴタ
住民投票条例制定経緯:直接請求による条例制定
<魚拓版>
都市計画事業に対する賛否について、住民投票による賛否をとるべきだ、との直接請求により、議会に上程、議会も可決した事案です。
条例制定の直接請求は、署名数が有効数に達した場合、首長が議会に当該条例制定の議事を上程します。が、議会は反対もできます。
正確な統計は各誌に譲りますが、簡単に条例制定までいかないのが実情と思います。が、今回の小平市は議会も(折れて?)賛成に回り、条例制定に至っています。
住民投票結果
先に、条例に則る住民投票結果から提示します。
魚拓版
大事なところです。
5 住民投票の成立又は不成立
不成立(投票率35.17パーセント)
賛成〇票、反対〇票でどう、ではなく「不成立」です。
さらに、不成立だとどうなるかというと
条例第13条の2の規定により住民投票は不成立のため開票は行わない。
つまり、「そもそも不成立だから開票しない」のです。
ここまでで、頭の中が???になった方は、私の執筆意図通りの反応です(笑)
今回は小平市の議事経過経緯の確認は省きます(めんどい)
日経新聞記事を引用
<魚拓版>
投票率が50%未満ならば開票しないという条件は市がその後、追加した。「(投票結果を)市民の総意として扱うため」と市は説明するが、4月に行われた市長選の投票率が37%だったことからみても、かなり高いハードルだった。
本件は、以前ツイートで紹介した本で記載があって私は知りました。
ようは、
①直接請求による条例制定署名により、一応住民投票の条例制定
②実際に投票される前に、「投票率50%以上じゃないと内容見ない」との条例修正を可決
③いざ投票。投票率50%未満だから、開票しない
これの捉え方も両面
・大きな事業、住民民意の点では、少数で間違った方向にいかないようにするべく、必要な条例改定、結果としての投票不成立
・そもそも事業停止を阻むための合法的な妨害
どちらだーと捉えるのは自由ですが、議会の力って相当強いなーと私は思いました。
そして直接請求へ
話が少しそれましたので戻します。
選挙で推した市長の提案を、市議会がはじいたので、住民が解散請求を行った、というのが公式(法的)な筋書きです。
署名活動、その後の解散請求投票において、これまでの議論・課題が正確に提示されていたでしょうか?
給与を安くした市長・自分の立場を保持する議会、のような印象だけではなかったでしょうか?
私は、上記の議論視点、課題の設定を否定しません。難しいことをわかりやすく表現し、世論に「民意」として問う行為は、手段として正しい。
国政においても、郵政民営化選挙、民主党フィーバーなど、同じことはよく発生している。良い悪い、成功だった失敗だった、正解だった間違っていたの議論は別で実施するべきとは思いますが。
党議拘束の件にしても、議員一人一人が都度考える、は正しい事だが、あまりに党議拘束が無い場合だと、そもそも政党の存在意義や、一般選挙における住民は「何をもって誰に投票するか」の選択肢としての「政党」を失わせることになると思います。
蛇足ですが、直後の選挙で減税日本は名古屋市議会で議席を席捲しましたが、次の選挙では負けています。党議拘束の件だけが理由ではないでしょうが、候補者を見るときに「この人は何をしようとしているか?」を政党名で見るというのは、現状では必要だし、影響もおおきいよな、と思います。
(その点、本当の無所属で頑張っている方はすごいのかも…)
議員報酬にしても、公務(政治活動)費用をどう見るか、というのはいい視点です。費用の透明性を、と宣うなら、第三者機関とかぬるいこと言わず、市長も議員も毎年の確定申告公表したら?というのは暴論ですかね(笑)
市長報酬・議員報酬以外の収入、各種政治活動での支出、その他生活での支出で、結局もうけがどれぐらいですよーと法人みたいに公表したらどうなんだろう…そんなことすると、市長も議員も成り手がいなくなるかな?(笑)
さておき、これまでの経緯で、かなーり市長側も議会側も、最後の方は半ば感情的になってる感あります。お互い対立していたというのは事実っぽい。
その前提を踏まえたうえで、その後の署名簿なのか受任者名簿なのかのゴタゴタを調べていきたいと思います。
皆様はどう感じられましたか?
今回はこれぐらいで。
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