愛知県知事リコール活動において、何故政治団体の設立を行ったか(一考察)
はじめに
個人的にウォッチしている愛知県知事リコール活動。ずっと内々にもやもやしていたのが、今回のタイトル&メインテーマの「何故政治団体化したのか」について、自分なりの考察・理解がほぼ固まったので記述してみたいと思います。
なお、リコールの会そのものから、政治団体化経緯についての発表・リリース等は私は見つけられませんでした。ゆえに、以下の記述は当方の妄想部分も多分にあります。
会のリリースや、マスコミで報道されていない記者会見等の情報があれば、改めて教えていただければ幸いです。
また、登場する人、団体等の名誉棄損、信用棄損には留意したつもりですが、違和感・表現の変更のご指導あればコメント等をいただければ幸いです。
※12/13 22:30 政治団体設立とポスター掲示、看板掲示に関する表現を一部修正しました。
リコールの会の政治団体
クラウドファンディングのHPに、政治団体である旨や、カンパが寄付金に該当しないこと等記載があり、私は「何故に政治団体?」と疑問に思っていました。個人としては、「政治団体」というフレーズにある種の胡散臭さを感じてしまうのが正直なところです。
なお、会が正規の手続きで政治団体化されていることは、愛知県公報を見るとわかります。
令和2年8月4日 愛知県公報 第126号
選挙管理委員会告示
1 法第6条第1項の規定に基づく届出に係る政治団体の名称等
〔国会議員関係政治団体以外のその他の政治団体〕
政治団体の名称
:お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会
代表者の氏名:高須 克弥
会計責任者の氏名:田中 孝博
主たる事務所の所在地:瀬戸市品野町6丁目53
届出年月日:2. 6. 2
ちなみに、同号で主たる事務所の所在地の変更も記載あります
2 法第7条第1項の規定に基づく届出に係る異動事項等
〔その他の政治団体〕
政治団体の名称
:お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会
代表者の氏名:高須 克弥
会計責任者の氏名:田中 孝博
主たる事務所の所在地
:(新)名古屋市名東区牧の原3丁目106-2
(旧)瀬戸市品野町6丁目53
届出年月日:2. 6. 5
そしてなぜかもう一回住所変更
主たる事務所の所在地
:(新)名古屋市東区古出来1-1-2
(旧)名古屋市名東区牧の原3丁目106-2
届出年月日:2. 6.22
政治団体設立状況の蛇足その1
当方もよくわからない部分が一つ。
なぜに1か月の間、それも届け出直後に事務所所在地をコロコロ変えたのか?ただ、今回の本論とは関係ありませんので、深くは追いません。
ただ、最初の瀬戸の住所は、愛知県知事リコール関係での登場人物として出てくる、水野昇氏のご生家のようです。
(魚拓版)
ちなみに、住所でググると、エキテンのサイトでも、水野氏の会社?と思われるものが出てきます。(うまく魚拓は取れず)
https://www.ekiten.jp/shop_6450177/
ちなみに、法人番号は
5180001079697
で同名の会社が出てきますが、所在地は尾張旭市。
まぁ本論とは違う話ですが。
(個人的には、水野氏の記者会見の中で、この事務所の移転経緯も聞けるかなーと期待していましたが、冒頭「事務局とは離れていた」とおっしゃるのみで聞けなかったのは残念でした)
政治団体設立状況の蛇足その2
リコールの会設立後の公報を丁寧に見ていくと、一部で問題となった請求代表者証発行の別冊も出ています(署名者は住所をさらされる、命がけ等の話題の際に、一部の方がツイッターで出されて、後から、縦覧のことだよーと混乱させていた一件。これも今回は深くは述べませんが。)
それとは別の公示です。
令和2年8月28日 愛知県公報 第133号
選挙管理委員会告示
1 法第6条第1項の規定に基づく届出に係る政治団体の名称等
〔1号国会議員関係政治団体とみなされる政党の支部〕
政治団体の名称
:日本維新の会衆議院愛知県第5選挙区支部
代表者の氏名:田中 孝博
会計責任者の氏名:渡辺美智代
主たる事務所の所在地:名古屋市中村区椿町19-7
公職の種類(法第19条の7第1項第1号に係るもの)
:衆議院議員
本支部を支部とする政党
:日本維新の会
1以上の市区町村の区域等を単位として設けられた支部
:〇
届出年月日:2. 7.30
リコール活動が終わった後、事務局長である田中氏が日本維新の会として衆議院に立候補される旨の報道がありました。
ツイッター界隈では「華麗なる転身」などの記述もあり、当方も最初は、リコール活動グダグダで、自分は国会議員転身かよーと思いましたが、政治団体設立年月日等を見ると、ずいぶん前から決まっていたことのようですね。
発表タイミングの問題で、悪い印象を持っていました。
ちなみに、会計責任者の渡辺氏は、愛知県知事解職請求の請求代表者の一人ですね。
まぁこれも本論と違う話ですが。
今回はこちらも特に追いかけ記述はしません。
政治団体設立の理由(推測含む)
さて本論です。
政治団体設立は、地方選挙や国政選挙などに立候補する際、後援会として設立されることが多いようです。これは、選挙とは関係なく、後援会名義の看板の設置が可能になることが一般的に言われる設立のメリットのようです。
※12/13 22:30「ポスター掲示が倍になる」の表現を修正
しかし今回の「お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会」は、選挙の候補者も擁立せず、なぜに政治団体なんだ?というのがずっと疑問でした。政治団体として得られるメリット、課される義務等を抜粋しながら、設立理由を考察していきます。
メリット1:選挙人名簿の閲覧と、名簿情報の政治利用
最初に思った理由がこれです。しかし現状では、このメリットを理由とする要素は少ないと思いました。
これは、政治団体になると、各自治体の選挙管理委員会で、政治活動利用を目的として、選挙人名簿の閲覧が認められます。(「閲覧」が正しい用語だったかは少し自信なし)
ただし、写真やコピーは許されず、書き写しは許されるようです。
最初は、以下仮説を立てましたが、あまり意味がないようにも思っています。
①名簿を見て書き写し、リコール活動以外の目的外利用をする
⇒単に電話帳を書き写すのとほとんど同じ。選挙人としての正確な情報が得られるだけ。しかも自治体によっては、だれがいつ何の目的で閲覧したかが公表されます(すべての自治体ではない模様)
⇒ちなみに、閲覧状況を公表している自治体では、現状閲覧した記録は見つけられず。仮に見ていたとしても、少なくとも来年には公表されるでしょう。
⇒現時点で実行した形跡がないので、今の所本目的を設立理由とするのは物証に乏しいと判断しました。
<蛇足>
リコール関係者のご職業や資金の流れを見ているうちに、営業実態がよくわからない会社も出てきて、名簿を利用したある種のマーケティングやDM配布に利用しようとしている?と勘繰っていました。
タウンメール等の利用で解決する事象ですので、思い込みで先入観を持って調べてしまいました。
②名簿を見て書き写し、リコール呼びかけの郵便配布に使う
⇒そもそも、配布されていないという声があったりする。
⇒また、わざわざ住所を書き写さなくとも、郵便局のサービス等で全戸配布のサービス(タウンメール)があります。費用面の問題はありますが、全員の書き写しをする労力を考えると見合わないと判断しました。
③署名された氏名・住所を、名簿を見て確認し有効・無効の選別を、選管提出前に実施する
⇒当初、高須院長も何かの動画で「有効無効を見る」旨をおっしゃっていましたが、実施するとすれば一番現実的な目的です。(実際、政治団体が名簿を見る理由として、後援会名簿の修正・最新版更新といったものもあるようです)
⇒しかしながら、個人情報保護や、直前まで封をする、あるがままを提出するなどの方針提示からして、当初は目的として持っていた可能性は否定できませんが、実際に利用したとは時系列的に考えにくく、理由に該当しないと判断しました。
メリット2:税制面の取り扱い その1
主な設立理由の一つがこれではないか、と現在考えているものになります。
税制面の「取り扱い」と書き、あえて「優遇」としません。
今回のリコール活動は県全体という非常に大規模なものであり、仮に人員は手弁当のボランティアとしても、署名用紙印刷や郵送だけでも膨大な費用が掛かります。そこで資金調達として考えられるのは、個人・団体寄付及び収益活動になります。
※ここから、妄想がかなり入ります。そのつもりでお読み下さい。
高須院長が呼びかけられ、院長は資産も潤沢にお持ち、慈善活動として配布することを厭わないような性格と勝手に思っていますが、ポンとポケットマネーでできない事情があるのでは?と思います。
また、協力する、として各方面からも資金がつぎ込まれるかもしれません。
しかし、政治団体以外にお金を与えることは、贈与に該当するのではないでしょうか?
贈与に該当するとなると、その額に応じて贈与税として国に納めなければなりません。
高須院長からすれば、贈与税分も含めて払う!と言いそうなものですが、仮に院長呼びかけでカンパしていただいた方の浄財を、すべて使えず、贈与税として目減りしてしまうのはいかがなものか?と考えられたのではないでしょうか?
これが政治団体への寄付であれば、贈与税はかかりません。渡したお金、集めたお金がすべてを活動に利用できます。
政治団体化の理由の一つが、この「賛同され集まったお金を、無駄なく使う」ためではないか、と思いました。
課される義務1:収支報告書の提示
次に、活動で集めたお金や使ったお金は、活動の正当性を示すためにも、どこかで公開する必要があります。
しかし、上場企業でない一法人であったり、一個人であれば、収支関係の報告を示す義務もなければ、監査等のルールもありません。
極端な話、「きちんともらった分、適正に処理しています」の一言で済ませたり、そもそも開示の必要がありません。
蛇足ですが、あいちトリエンナーレでの、表現の不自由展・その後実行委員会の会計報告も、開示されているのを見たことはありません。
そもそも、法人として処理しているのか、委員会4名の個人として処理されているのかもわからない。
表に出ているのは、「トリエンナーレ実行員会から約200万の請負契約を結んでいる」「不自由展実行員会は『ほとんど経費分しかない。』と言っている」「芸術監督の津田氏が『個人的に』展示に係る資金繰りに立替などを行っていた」事だけ(こちらの方が不透明な気がします)。国税庁じゃないとわからないですよね。
しかしそれでは、「正しい」「正しくない」の水掛け論が生まれる可能性もある。
そこで、「政治団体」という枷を付けることで、「正しく開示しなければならない」という法にのっとった扱いをすることで、自らの会計の正当性の証明をするとともに、仮定ですが、会内部でお金の不正な取り扱いを防ぐ事も目的としたのでは、と思います。
高須院長は、かつて国税申告漏れで最高裁まで争い、有罪判決を受けて追徴課税等を受けたご経験もあります。
ついては、その経験から会計の透明性についても考え、政治団体化という方法をとられたのでは?と思うのです。
(私もサラリーマン生活ですが、国税殿とやり取りする機会があり、会計透明性については、自らの業務設計とともに、どうやって不透明を除去すべきかを考えていた経験あり)
一部、クラウドファンディング会計不透明性を指摘されている方も見られますが、確かにリアルタイムの透明性は、2020/12/13時点の情報では「不透明」とも言えると思います。ただ、少なくとも来年の11月には、すべてを公表する必要があり、そこまで待ってもいいのかな?とも思います。
これについては後程少し触れます。
課される義務2:個人寄付の制限
政治団体への寄付というと、「寄付した人が税控除を受けられる」に注目しがちですが、いろいろ制限があります。
その中の一つが、金額の上限です。
個人が年間で政治団体に寄付できる金額は、150万円までです(詳細規定はまた別でありますが)。これはある意味活動の枷にもなり、極論、高須院長が「俺がすべて出す!」と言っても、150万円までしか提供できません。
そこで、資金調達の方法として、各個人からの寄付という方法と、事業収入による方法が考えられます。
寄付に関しては、前述の会計透明性の話にもつながりますが、5万円を超える金額の場合、だれからいくらもらったかの記載が必要です。
ゆえに、『変なところから』の調達も含めすべて公開されます。
当然、資金提供先の個人名からすれば、「こんなところから協力されてる!」などの糾弾リスクもあるでしょう。しかしそれも含め、高須院長の発言「呉越同舟」で進め、明らかにすることを決意されたのでは?と思います。
蛇足ですが、5万円の壁を上手く利用?したのが、鳩山由紀夫氏だと個人的には思っています。実態は秘書が勝手にやったことだそうですが、法の網を上手くくぐった、合法というか脱法というかの事象と感じました
メリット3:税制面の取り扱い その2
資金調達として、個人寄付以外に、事業収入の話を記載しました。しかしこの事業収入も、政治団体でなければ法人税がかかります。
つまり、5万円の物品購入による支援をしても、物品原価や管理費の経費を差っ引いた後での利益に対して、法人税がかかってしまいます。
贈与税の件を記載しましたが、同様に支援金を集めているのか、税金を払っているのかわからなくなってしまいます。
また、リコール活動に係る各種政治活動的費用が、法人の事業収入における経費として認められるかはよくわかりません。
その点、政治団体とすれば、原価等も差っ引いた後の利益に該当する費用を満遍なくリコール活動に利用できます。
これも政治団体設立の目的の一つでは?と思います。
課される義務3:会計の透明性
収支報告の明示ともかぶりますが、これは狙った目的というよりは、現状のリコールの政治団体の実態では?との妄想です。
印刷や配布など、リコール活動で各種支払いが生じます。景品業者が支払いに関してのツイートで一悶着あったりもしましたが、売掛費用などはどうしても発生します(業者によっては売掛ではなく、即時現金支払いを求めるところもあるでしょうし)。
しかしここで問題になるのは、キャッシュフローの問題。
クラウドファンディングでお金が集まり、実際に現金化されるには時間がかかります。一方で、署名簿の印刷や各種支払いの期日は、集まるお金が現金化されるタイミングとは関係なく設定されます。
そうしたとき、手元にある程度の現金がなければ、事業としては資金繰りが回らず、支払い遅延や、最悪黒字倒産という形にもなりえます。
政治団体の場合、最初にだれかの大きな寄付を、いわゆる資本金としてキャッシュフローをまわす事になりますが、今回の規模の活動であれば、そのキャッシュフローが相当厳しかったのでは?と推察します。
(表現失礼かもしれませんが)資本力のある高須院長の、寄付以外に「貸付金」という方法もあるかもしれません。が、返す当てのない貸付金に頼るようでは、費用面での不透明性や、やりくりに窮して「なんとかするために」悪さをしてしまう可能性もある。良心のある経営者なら、なんとか資金繰りをむやみに貸付金に頼らず、集めた資金で回そうとするのではないでしょうか?
蛇足ですが、愛知県はケチな人が多い、借金を嫌うともしばしばいわれます。愛知県の大企業であるトヨタ自動車が無借金経営だ!もよく言われる事ですが、経営を考えると、必ずしも無借金がよいとは限りません。
かくいう私も、愛知県で育った事の関係性は不明確ですが、借金に負い目を感じがちでした(苦笑)
不正署名に係る記者会見の中で、鵜飼氏の発言の中で以下がありました。
・クラウドファンディングサイトの利用を嫌った
・集まったお金を、すぐに引き出したがっていた
当初、私もこれを、一部の方の資金不正利用を目的としての行動かな?と勘繰りました。しかし、現状の私の感じ方は、単純にキャッシュフローの問題ではないか、というものです。
・会計報告の透明性の件から、すぐに(少なくとも来年には)露見する悪さをするのか?という動機が不明確な点
・各種活動の実行、支払い期日の関係で、手元に最初の現金が少なく、すぐに集まった支援金の現金化を要していたのではないか?という必要性の点
政治団体化の理由まとめ
今回はかなり長文になりましたが、政治団体化の目的と理由と、活動の実態は以下だったのでは、と推察します
①会計の透明性を担保したかった
②個々人の支援金の活用について、国税分を排除し十分活用したかった
③資本金を大きく立てる事ができず、いわゆる自転車操業状態になってしまった
次の活動時の提言
蛇足ですが、一連のごたごたから、次の活動(知事リコールにかかわらず、大規模な自治体範囲での直接請求活動)を考えた際、資金繰りの面での提言を記載してみたいと思います。
問題もあるのは承知済みです。活動開始時の参考になればと思います。
①開始前に、活動に必要な予算立てをする
ポスティング費用、印刷費用や事務用品、移動交通費、事業収益を当てにするのであれば、その制作費用や発送費用も含め、いくらぐらい必要かを事前算出しておく。
おそらく、今回も実施はされていると思いますが…。
②予算建てが終わったら、月次でのキャッシュフロー検討を行い、資本金としての必要額、収益タイミングなどの計画を立てる
月末に結局いくら手元に現金が必要か、を算定し、物販活動や寄付活動、あるいは政治資金パーティーの企画もいいかもしれません。
「高須院長とリコール活動について語らう会」とでもして、どこかのホテルのディナーショーでも設定すれば結構人が集まるのでは?
(妨害も受けるかもしれませんが(苦笑))
・・・私は今回のリコール活動、賛成でも反対でもなく、棄権の考えですが、院長との会食会であれば、額にもよりますが参加してみたいかも(笑)
コロナが無ければなぁ…。
③それら事業計画を、ある程度明らかにして、活動を行う
これが一番難しいところではありますが、何でもかんでも公表するのは経営戦略的に難しいところでもあります。資金繰りが厳しい状態に陥った時、手を差し伸べる人もいれば離す人もいる。逆に余裕があるときも同様。
また、原価などが明らかになった時、果たして人が支援品の購入などを躊躇しないか、など。
個人的には、今回のクラウドファンディングにしても、各種団体の支援カンパのお願いも「お金が足りません」「支援してください」とだけ言われても、結局何に使うねん、本当にそんだけ必要なのか?と勘繰ってしまいます。透明になれば、支援を考える人も一定数はいると思います。(ここは賛否両論あると思います)
いずれにせよ、来年11月の収支報告は要チェックですね。
また、その際にどれだけの情報を開示できるよう準備し、実行するかが、現在の「お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会」に課された社会的正義の項目だと思います。
その点、一個人としては期待しております。
今回はこれぐらいで。
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