名古屋市議会解散請求をふりかえる その6(選管一次集計・不成立?後)

はじめに

愛知県知事リコール活動のゴタゴタを考えるために、約10年前の名古屋市議会解散請求の振り返りを行っています。
Wikipedia情報ですが、署名収集終了~成立までの時系列を記載します。

2020年8月27日
 市長支援団体が市議会解散を求めるリコール署名を開始
2020年10月4日
 支援団体が46万5000名分の署名を市選挙管理委員会(以下市選管)に提出。
2020年10月21日
 市選管、「(署名の)一部に違法収集の疑いがある」として審査の延長決定
2020年11月24日
 市選管、有効署名数を法定数に1万2000名分不足する35万3791名と発表

2020年11月26日
 河村市長、市長辞職を表明

2020年12月1日
 署名の縦覧期間が終了。異議申し立ては3万2000名分に及ぶ
2020年12月15日
 市選管、有効署名数について法定数を超える36万9008名分と発表
2020年12月17日
 市長支援団体、リコールを本請求

今回の確認する議事は、署名が法定数に届かないと発表された翌々日市長が辞職を表明した日の定例会議事録です。

2020年(平成22年)11月 定例会 11月26日-27号

堀場章 議員(自民党)

皆さん、おはようございます。
 今、議長さんのお許しをいただきましたので、通告に従って、質問させていただきたいと思います。
 まず、その前に、正直、きょう、朝の新聞を見て大変驚きました。市長さんがやめると、来年の2月に選挙に出るというようなお話がありましたので、正直、市長さんは何を考えておるのかなと、その辺の真意も伺いたいなという思いでありますので、とりあえず申し上げておきたいというふうに思います。
(略)
 次に、議会解散のリコール署名についてお尋ねいたします。
 去る11月24日、名古屋市選挙管理委員会から、議会解散のリコール署名の審査の結果、有効署名数が35万3791筆であることが発表されました。そして、郵送による署名調査の結果、みずから署名した覚えがないとする署名が922件もあったとのことであります。
 約51万人の負託を得た市長、あなたは、こうした行為が行われることのないようしっかりとチェックし、真の民主主義の実現を呼びかけるべきではないでしょうか。みずから署名した覚えがないとする署名が922件も存在したことをあなたはどう受けとめるのか、市長のお考えをお聞かせください。
 また、地方自治法上、リコール署名にあっては、必ず対面で、自筆で署名しなければならないルールが定められておりますが、それが守られていないと思われる署名が、今回提出された署名簿の中に数多く含まれることが明らかになりました。
 そして、新聞報道によると、ネットワーク河村市長の鈴木代表は、郵送や回覧での署名集めがあったことを認める一方、署名収集のルールそのものに疑問を呈して、もうちょっと拡大的に認められるべきだ。署名集めは厳格なものではないと発言し、別のメンバーからも、目の届かないところからは「庶民革命」ですからなどと語ったということであります。
 法の規定を遵守し、あくまで民主的な手続によって署名活動を行わなければならないことを受任者にも徹底する立場にある議会リコールの請求代表者が、実は郵送や回覧での方法による違法な署名収集があったことをみずから認めるというゆゆしき事態にある中で、請求代表者は、署名のルールに違反すると思われる署名活動が行われることについてどう責任をとるべきであると思われますのか、市長にお考えをお尋ねします。
 さらに、市長は、本年10月22日のトワイライトスクール事業者選定問題調査特別委員会で、刑事訴訟法第239条第2項を引用し、公務員が職務を行うにつき犯罪があると思料するときは告発しなければならないとする公務員の告発義務について述べておられますが、仮に地方自治法第74条の4の規定による罰則を受ける違法な署名活動が明らかになった場合には、本市職員は刑事告発を行うべきと思われますか、市長の御所見を伺いたいと思います。
 きょうは、市長さんの大変な新聞発表を見まして、私も慌てたわけでありますが、きょうの質問について、いろいろ詳しく質問したいという思いで--市長さん、見てください、こんな形で省略したわけです。あなたがそういう突発的な行動に出られることについてはよくわかりませんので、少しお聞きをしたいというふうに思い、第1回目の質問は終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

河村市長答弁

おはようございます。
(略)
 次の、議会解散のリコール署名についてでございますが、まず、自署によらない署名が922筆あったということをどう考えるのかということでございます。
 まず、市民の皆さんに大変暑い、特に夏は、ことしは特に暑かったんですけれども、懸命に署名された方、ないし、また運動された方、努力されている姿を間近で見まして、現時点では法定署名数が得られなかったことは極めて残念でございます。しかし、多くのとうとい署名が無効とされたことに対しては強い憤りを感じております。
 自署によらない署名に対する認識でございますが、無論、違法な収集が認められるものではなく、私もかねてから署名活動は法令遵守のもと、適正に行われるべきと申し上げてきました。今回、結果として間違いがあったとするならば残念でございます。ただし、収集に当たっては、随時、選挙管理委員会に相談しながら進めたとも聞いておりますので、請求代表者自身に責任があるとは思っておりません
 それから、請求代表者及び受任者に対するメッセージでございますが、このような困難なことに挑戦をされたこと、そして、細かいルールに戸惑いながらも地道に署名を集められ、結果として大変多くの署名を得られたことには心から敬意を表しております。
 結果いかんにかかわらず、市民の力が政治を動かしたことは紛れもない事実であり、ぜひ誇りに感じていただきたいと思っております。
 違法と考えられる署名に対する市職員による告発でございますが、議員御指摘のとおり、刑事訴訟法第239条第2項には、一般職、特別職のいかんを問わず、公務員の告発義務が規定されておりますが、先ほども申し上げましたように、私は、請求代表者に責任があるとの認識はなく--ありません、告発するつもりはないし、職員からも告発すべきという声は寄せられておりません。
 最後になりますが、請求代表者及び受任者の皆様には、最終的な有効署名数が確定したわけではないので、最後まであきらめず、民意の実現に全力を尽くしていただきたいと思っております。私としても、最後の最後の最後まで応援したいと思っております。
 以上でございます。

私は、今回のポイントは以下と考えます。

・違法な収集活動、すなわち、対面によらない署名収集があったのは事実の模様

それが、故意なのか過失なのか、議員側は明言していません。市長側は過失と考えていると発言しているようです。
また、事実として少し怖いと思ったのは以下

・別のメンバーからも、目の届かないところからは「庶民革命」ですからなどと語った

ただ、この時に署名収集の事務局?(ネットワーク河村市長)の代表は事実を認めている模様です。愛知県知事リコール活動でのゴタゴタと、なんか似て非なる部分があってもやもやするのは私だけでしょうか?

わしの恵子 議員(共産党)

(略)
 そこで質問です。市長は、議会に対して押しつけをやめ、議会の自主的な改革に期待する立場に立つべきであると考えますが、市長の見解を求めます。
(略)

河村市長 答弁

(略)
 そういうことでございまして、このたびの46万5000人の署名の市民の力が皆さんの議会改革への意欲を、背中を押しておるということなら大変いいことなのではないかと思います
 本当に皆さんから出してほしいんですけど、議員報酬の半減とか議員定数をどうするかと。議員の指定席化、家業化させないための任期制、さらには党議拘束をどう考えるかということはまだまだたくさんありまして、ぜひひとつ--何で名古屋からやらなあかんのだというお気持ちもようわかるんですわ。桜井さんがよう言われますけど、ようわかりますけど、しかし、地域主権ということであるならば、やっぱり一定の提言を--提言というか、条例化して、名古屋から、今までの戦後のこういう--こういうというと怒られますけど、党議拘束を中心とした一つのグループによる政治というんですかね、そういうものを変えていく。議員が一人一人尊敬されるというと、今までは何だと言われるかわかりませんが、尊敬され、輝く、一人一人が自分の理念で投票していくという議会にならぬかと。ぜひ皆さんと、これは本当に協力してやりたいと本当に心から思っておりますので、ぜひ御提言をいただければ、議論をさらに深めていきたいと思っております。一緒に行動していただける方の本当に熱い提案、そしてまた、行動を本当に心からお待ちしております。お願いします。

その後

他の議事は、市議会解散請求に対しては極めて全うな?ものと、市長が辞職するのはいかがなものか、的な質疑だけで、違法な署名収集活動についての議事は見当たりませんでした。

時系列的には、解散請求が不成立と見込まれている中だったので、うがった見方をすれば、各会派いい子ちゃん発言をしておこうという打算、素直な見方をすれば、各会派署名収集の数からして自らを律しようという考え

なお、12/1に署名の縦覧期間が終了し、異議申し立ては3万2000名分に及ぶことになります。
11月定例会の最終日は12/8でしたが、この異議申し立てに対する反応は議事上は見当たりませんでした。

そして、12/15に、市選管が有効署名数について法定数を超える36万9008名分と発表、翌々日の12月17日 市長支援団体、リコールを本請求、解散是非投票との流れになっていきます。

また、翌年の2011年4月の総務環境委員会、同年6月の定例会で、名簿流出の件が議論されている模様。こちらも確認しながら、考察していきたいと思います。

最後に

愛知県知事リコール活動のゴタゴタにおいて、「10年前の…」の発言や憶測、情報について、改めてみなさんはどう思われますか?

また別の記事として、私の考察を書きたいと思います。

一連の記事、一部の方から応援のコメントもいただきました。ありがとうございます。
所詮は自己満足、自分用メモのnoteではありますが、みなさまの、自ら調べ、考えるという事の一助になれば幸いです。

みなさんはどう感じられましたか?

今回はこれぐらいで。

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