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2019第16節 東京ヴェルディ×京都サンガ

久方ぶりになりまして。

書けなかった試合がいくつかあり、おさぼりしてしまった試合もあり、書きかけの試合もありなので11-15節分はぼちぼち超簡易レビューとしてかいていきます。


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6月2日(日)

明治安田生命J2リーグ 第16節
@味スタ

東京ヴェルディ 1-4 京都サンガ
得点者:一美和成(13分・京都)、福岡慎平(18分・京都)、小屋松知哉(27分・京都)、小池純輝(63分・東京)、安藤淳(89分・京都)

※前半で試合の大勢が決まってしまったこと、京都が後半からほぼテストモードだったことを踏まえて、今節は前半のみに焦点を当てる。


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1)試合前プレビュー
2)試合展開と雑感
3)2人の立役者
4)最後に

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1)試合前プレビュー

開幕スタートダッシュこそ失敗したものの、4月途中から3連勝含む7戦負け無しで順位を上げてきた東京ヴェルディのホーム味スタに乗り込む。

しかしここまでフル出場でサンガを支えてきたアンカー庄司が前節の一発退場により出場停止。
高精度のパスと視野の広さでサンガの攻撃を操る司令塔の不在の中、京都は持ち味のボールポゼッションを見せることができるのか、そしてヴェルディは庄司不在をどう捉えて対策してくるのか。


今季から指揮を執るホワイト監督は442と4123で試してきたが、ここの所4123で結果が出ている。
また昨季のロティーナ監督がチームとしての土台をかなり作っているので、ようやく噛み合いつつあるのかなというところ。


今季のここまでの戦いぶりについては以下のnoteを参照していただければと思う。



京都としてはアンカーが変わるのでやや戦いにくさはありそうだ。
連動したプレスを受けるとかなり苦しいが、暑さを考えると相手が引いて守る時間帯も出てくるはず。プレスの緩くなる時間帯を狙って一気にゴールまで迫りたい。

キープレーヤーは重廣だ。IHの裏、アンカー脇のスペース管理に問題を抱えるヴェルディが嫌がるポジショニング、動き出しが期待できる。


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2)試合展開と雑感

◇スタメンと守備陣形

両チームのスタメンは以下の通り。


京都は出場停止の庄司に代わって福岡がアンカーに、そしてIHには宮吉が起用された。


ヴェルディは4141、451ブロックを使い分け、ラインを高く縦幅をコンパクトにしてスペースを与えない守り方。
アンカーに対してはレアンドロがケアするかたちで、基本的にはリトリートしてハーフウェイラインを越えてくるとボールに対してアタックに行くようになっていた。


京都は451のブロックで5レーンを埋めてハーフスペースやウイングへのパスコースを限定、ヴェルディのビルドアップに対してはIHが前に出て442になってプレスを行った。


両者似通っているのだが、京都のほうは451に近い陣形だったため4141のブロックで穴になりやすい”アンカー脇のスペース”を作らないようにしていた。一方ヴェルディはIHを前におびき出されアンカー脇のスペースを使われるシーンが目立っていた。

そもそもの守備の狙いとしてヴェルディは京都の両ウイング(小屋松、仙頭)に得意な形でボールを入れないように徹底しており、そこを意識しすぎた余りブロックが横に伸びがちになり、中央を締めることができなくなっていたのではないだろうか。



◇前半の流れ

京都のアンカー福岡の豊富な運動量をレアンドロ1人で見きれないヴェルディは彼をフリーにしてしまう。
その結果序盤から京都がテンポよくパスを回し、重廣や宮吉がハーフスペースを突く動きでヴェルディを陥れていた。

ヴェルディは左ウイングの小屋松、右ウイングの仙頭のところはボールが渡らないようにかなりケアをしていたようで、パスコースの遮断、SBとウイングの挟み込みで極力ボールを持たせないようにしていた。

しかしハーフスペースでDF・MFのライン間にポジショニングしている重廣をつかまえきれず、そこにボールを通されてはピンチを迎える場面が目立った。


京都はヴェルディの右サイド(WG河野、IH渡辺、SB若狭)の連携とポジションチェンジを駆使した攻撃に何度か手を焼いた(前半3:30あたりなど)ものの、アンカーの福岡が的確なコーチングで全体をコントロールし危険な場面はほぼ作らせなかった。
ヴェルディのカウンター時もリスクマネジメントしていた本多、黒木、福岡、石櫃、安藤がしっかりと対応しており、特に怖さを感じることもなかった。


◇流れを変えた一美のゴール

先制点は意外にも早く、京都が13分に決めた。
10分くらいまでは、レアンドロが守備をサボり始めたことを除けば比較的イーブンな試合だっただろう。

しかし、石櫃、仙頭、宮吉の右サイドに左IHの重廣が流れてきてボールに絡み、仙頭からパスを受けた一美が反転して強引にネットを揺らした。


重廣の空間認知能力が光ったシーンだろう。
石櫃、仙頭、宮吉の3人が狭いエリアでボール交換をしようとしており、その前にエアポケットのようにスペースが出来ていた。そこに走り込んだ重廣にボールが渡る。相手を2人引き付けてヒールパスで仙頭にスイッチ。


2人3人だけでなく、4人目が加わることで完全に崩した。

これまでは各々の一定のポジショニングを大切にしていたが、それをあえて捨てる即興性・選手の柔軟な判断がゴールをもたらした。


◇ヴェルディの崩壊

開始15分足らずでやられてしまったヴェルディ。
連動性がいつもよりなく、寄せやトランジョンで遅れを取っていたが、0-1になってからそれがより顕著になる。

ウイングも自由にさせたくない、かと言ってこれ以上重廣を自由させるわけにもいかない、というところで、中盤の守備にズレが生じ縦パスを入れられる機会が増えてしまう。

京都の2点目も重廣が最終ラインからボールを引き出したことから生まれた。
ヴェルディの右SBと右CBの間に走り込み(チャンネルラン)、SBとCBをひきつけてポストプレー。左に回っていた仙頭に預け、フリーの仙頭から上がってきた福岡へ。


途中から佐藤優平が井上に代わりアンカーポジションに入ったが、とうとう前半最後まで(京都から見て)左のハーフスペースの主導権を重廣が握り続けた。

3点目も重廣に縦パスが入ったところからだった。


前半を通して球際やトランジョン、スペース管理、個のクオリティなど全てで上回った京都が、その通りに結果を出した前半となった。


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◇雑感

後半はヴェルディが立て直してきたこと、京都が早い時間帯からテストモードに入ってゲームのコントロールを試みたことで少し違う展開になったが、大勢の決まった前半は言うまでもなく京都の試合だった。

監督が代わりまだチームを作ってる段階とはいえ、昨季のロティーナの土台があることを考えればヴェルディはもっとやりにくいチームだと思っていた。

贔屓目に見ると福岡と重廣が素晴らしかったのだが、それを差し置いても危険なエリアを締めきれておらず、連動性のある動きも少なく、今年の順位は妥当なのかもしれないという感じはした。

京都のウイングを意識しすぎたこともあるかもしれない。それにしても対戦相手としてこの出来はどうなのかと拍子抜けした。


勝てるに越したことはないが、昨季までの強さを鑑みるともう少し手応えの欲しかった試合だ。

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◇ホワイトの誤算

大きく分けて2点を考えている。

何より大きかったのは庄司不在だろう。彼がいるならば、そこをケアしながら前からプレスをかけて嵌(は)めていくという、京都が最も嫌がるプランを立てれただろう。
代わりにアンカーに入った福岡の活躍により、リトリートしてある程度パスコースとスペースを限定して守るという算段が崩れ去った。

もちろん庄司がいないことはすでに分かっているのでウイングのところに重点を絞ってスカウティングしていたように思えるが、とんだ誤算だった。


2点目はレアンドロの守備力の低さだ。ここはある程度頭に入れていて、その分45でしっかり守るプランだったのだろう。
しかし前半10分あたりから既にレアンドロが守備に関与出来ておらず、ヴェルディの守備の起点がなくなってしまったため連動性を欠いた。
中央でパスが引っ掛けられなかったため後手に周りピンチを招く、寄せやトランジョンの遅さに繋がりセカンドボールを拾えないなどの悪循環に陥った。


前半20分すぎから、京都の最終ラインに対してIHが1人前に出て442でプレスをかけてボールをサイドに誘導しようという動きは見られたものの、レアンドロのところとフリーになる・相手を引き付けてパスコースを作る福岡を制限できず空振りに終わってしまった。またIHがおびき出されて逆に穴になることもあり、中央のスペース管理に終始課題を抱えていた。


2点を失ってから何とか修正しよういう意図は見え隠れしていたが、やはりハーフタイムまで大きな修正を加えることができず痛恨の3点目を献上し万事休す。2点で抑えていたら、また違ったゲームになっていただろう。


当然ホワイト監督だけの問題ではなく、インタビューで語ったように「個人のところが少し目立つ」、個人の細かなクオリティの差(≠選手の個の能力)がもろに出た前半だったように思う。


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3)2人の立役者

この試合、中心となったのは言うまでもないだろう。

アンカーの福岡、左IHの重廣だ。


前者は運動量を生かしてレアンドロの脇でフリーでボールを受けて捌く・IHを引き付けてCBからのパスコースを創出する動きを繰り返してボールポゼッションを助けた。守備では的確なコーチングで味方をコントロールし、相手にチャンスらしいチャンスを作らせなかった。

庄司ポジションを脅かすくらいの活躍を見せてくれたのではないだろうか。


後者は常に相手に的を絞らせないポジショニングで縦パスを引き出し、前半の全3得点に絡む活躍を見せた。
ライン間でボールをうける動きは秀逸で、相手を混乱に陥れた張本人である。普段の左ウイングの小屋松だけでなく、右サイドに流れても連携の良さを見せており、改めて躍進を続ける京都に不可欠な存在であることを示した。


もう一度試合を観るときは、福岡と重廣に注目して観てほしい。福岡のコーチングでピンチを未然に防いでるシーンはいくつもあるので、特に注目してほしい。


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4)最後に


ここで右IH起用された宮吉に少しふれておきたい。

評価としては及第点といったところだろう。序盤こそ忠実にIHとしてプレーしていたものの徐々に裏抜けの動きや味方との連携で良さを出し始め2ゴールに絡んだ。この試合はウイングの動きが制限されていたが、いつもの展開であればゴール前に飛び込むシーンがもっと多かっただろうしシュートチャンスもあっただろう。

オフザボールはもちろん良いのだが、そこからさらにボールを引き出してチャンスクリエイトするという点に関してはポジション的に不慣れなのかなと感じた。また小屋松のゴールシーンで、本来ならば宮吉のシュートチャンスだったので、結果的にアシストになったものの残念である。

そういったことも踏まえ、少し厳しめに及第点とした。


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ある意味で運良く3得点を奪い終わってみれば安藤の今季初ゴールを含む4-1で勝利した京都。
今季4度目の連勝で首位との勝ち点差も3まで縮まった。ここからまだまだ上位陣との対決が続く。
次の大宮を乗り越えることが出来れば、J1自動昇格圏が現実味を帯びてくるだろう。苦しいアウェイの戦いで勝てなくとも勝ち点1を死守できるか。さらにいえば勝ち点1でいいと割り切った采配ができるか。


自動昇格はもはや夢ではない。


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